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 防衛省幹部も「見当つかぬ」首相主導「大綱」の中身

 来年度に改定される日本防衛の指針「防衛計画の大綱」をめぐり、防衛省内で戸惑いが広がっている。過去の大綱はいずれも防衛省の官僚と自衛隊幹部が原案をつくり、閣議決定する仕組みだったが、今回は初めて首相主導で進んでいるからだ。
 具体的には安倍晋三政権下で設置された、外交・安全保障の司令塔にあたる国家安全保障会議(NSC)とその事務方の国家安全保障事務局との間で策定が進んでいる。トップを元外務事務次官の谷内正太郎氏が務め、外務省の影響が強い。防衛省幹部は「防衛省からは時折、幹部が呼ばれて意見を聞かれる程度。文案づくりにはまったく関わっていない」と打ち明ける。
 12月中には閣議決定される新大綱について、安倍首相は「これまでの延長線上ではない、数十年先の未来の礎となる防衛力のあるべき姿を追求していく」と語り、「宇宙」「サイバー」「電磁波」が新領域として加わる見通しとなっている。
 これまでの大綱は想定される脅威に備えるべき自衛隊の体制を規定するものだった。ところが、「宇宙」は情報収集衛星という名前で事実上の偵察衛星を運用する内閣府衛星情報センターが担当。「サイバー」となれば、防衛省・自衛隊ばかりでなく全省庁で取り組むべき課題となる。「電磁波」も核爆発でもなければ発生することはなく、前出の幹部は「どのような書きぶりとなるか見当もつかない」という。
 問題は官邸主導により、防衛省の見解がほとんど反映されないばかりではなく、対米追従が目立つ安倍首相の下での大綱だけに米国製の武器購入を迫られるのではないかという点だ。防衛省内には「新大綱にさらなる米国製武器の導入を盛り込み、日米貿易摩擦解消の切り札にするのでは」とのうがった見方も出ている。


 ダメ外務官僚が従三位? 歴史を冒涜する叙勲の愚

 叙勲において元大使ら外務省OBが死後に高い位階を授与されるケースが多く、一部で問題になりつつある。特に多いのが、勲二等に匹敵する「従三位」だ。従三位は律令制度が始まった奈良時代から存在し、当初は上級貴族の位階だったが、室町時代から各方面で多大な功績のあった人物が対象になった。近代では国文学者の本居宣長、日露戦争時の参謀総長、児玉源太郎、「坂の上の雲」の秋山好古、戦後は映画監督の黒澤明、小説家の吉川英治、数学者の岡潔、「昭和の参謀」瀬島龍三、版画家の棟方志功ら錚々たる顔ぶれだ。
 しかし、この10年ほどで目立つのが外務省OBへの授与だ。島静一駐イラク大使、瀧口吉亮駐ベネズエラ大使、西宮伸一駐中国大使、山田中正駐インド大使といった誰も知らない面々ばかり。在任中パワハラ、セクハラを噂された人物もいれば、1990年代にロシアに駐在し、北方領土問題解決の絶好の機会に何もしなかった失敗大使もいる。
「外務省が申請して、宮内庁がそのまま認めるようです。在学中に外務省上級試験をパスするだけで、在外勤務中は仕事もせずに優雅な特権生活を送り、死後も高い位の位階をもらえるとあってこんな安易な仕事はありません」(外務省霞クラブ記者)
 本居宣長や児玉源太郎と「セクハラ・パワハラ・失敗大使」が同列とは、日本の歴史に対する冒涜ではないのか。


 支持が広がりつつある安倍首相「内乱予備罪」告発

 前号で伝えた、憲法秩序を破壊したとして安倍晋三首相を内乱予備罪で告発した元参院議員の平野貞夫氏と弁護士の山口紀洋両氏が支持を広げている。最高検察庁からは「具体的な犯罪事実が判然としない」として告発を受理できない旨の文書が届いたが、告発理由補充書を提出。受理されるまで補充書を繰り返し提出し、それでも受理されなければ国家賠償法に基づいて稲田信夫検事総長を提訴することを視野に入れている。
 補充書は、「犯罪事実が判然としない」とする不受理の理由に強く反発している。「告発犯罪事実の逐条的吟味」として、(1)集団的自衛権の行使を容認した閣議決定、(2)野党からの国会召集要求を3カ月拒んだ上での冒頭解散、(3)森友学園の疑惑をめぐる公文書の改竄──を例示し、反証している。
 さらに、東京大学の石川健治教授(憲法学)が「(安倍首相の憲法破壊は)クーデター」と指弾していることを取り上げ、「最高検は優秀な憲法学者の見解に反論できるのか」と迫っている。安倍首相が憲法96条に定める改正手続きのハードルを下げる方策を企てたことについて、石川氏は「憲法の大本が動き、法秩序の連続性が切断される。この動きを政府レベルで進めるのはクーデターであり、安倍首相はクーデターに走った」と主張する。
 平野氏らは内乱予備罪での告発を憲法秩序の一層の破壊に歯止めを掛ける護憲運動と位置づけている。対話集会やネットメディアで市民の支持を広げるとともに、野党各党や大手メディアにも働き掛けて理解を求める方針だ。平野氏は自由党の共同代表の小沢一郎氏の懐刀として知られるだけに、動向に耳目が集まる。


 キャッシュレス決済へのポイント付与に業界難色

 来年10月の消費税率10%への引き上げに向け、政府は個人消費の落ち込みを防ぐ手立てとして、買い物をした際にクレジットカードなどキャッシュレスでの決済にポイントを付与する対策を検討している。現時点で中小の小売店にキャッシュレス決済で支払った場合、購入額の2%のポイントを消費者に還元する案が浮上している。
 だが、評判は必ずしも芳しいとは言えない。20%前後と国際的に極めて低いキャッシュレス決済の比率を無理やり高めようとする政府の意図が色濃くにじみ出ているからだ。さらに、高齢者や低所得者はクレジットカードの審査が通りにくく、ポイント還元の恩恵を受けにくい。クレジット業界や小売業界のシステム対応が間に合うかなど多くの課題も抱え、混乱を招きかねない。
 それでも、世耕弘成経済産業相の意気込みは強い。10月19日の記者会見で、キャッシュレス決済が進まなかったのは「店舗が(クレジットカード会社に)支払う手数料負担が重いこともある。手数料引き下げなどの措置を検討し、関係事業者へも協力をお願いしなければ」と述べて以降、クレジットカード会社への手数料引き下げ要請を重ねている。
 この露骨なT政治介入Uに関係業界は反発を強めている。確かに、消費税増税対策のキャッシュレス決済へのポイント還元は、現金志向の強い日本社会に世界的流れにあるキャッシュレス化を促す狙いも含まれる。
 しかし、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、政府は外国人旅客者のインバウンド需要に応え、キャッシュレス決済のインフラを整えようと躍起になっている。このため、ポイント還元策をめぐっては、むしろキャッシュレス社会の早期実現を優先したい政府の本音が透けてくる。
 確かに、中国人らスマートフォンでの決済に慣れた外国人にはキャッシュレス化促進は必要だろう。しかし、政府の対応は消費税増税対策という本来の目的を逸脱し、本末転倒になっていることは否めない。さらに、同じ消費税増税対策として浮上している「プレミアム付き商品券」をめぐっては、マイナンバー制度を活用して普及が進まない個人番号カードの交付申請をした場合に購入額を上積みする案も出ている。
 準備不足で短期間に二兎も三兎も追い求める政策に奔走する姿には危うさも漂う。


 金融メイヤーの手腕次第、念願の国際金融都市構想

「今度はいける」──。金融庁のある幹部がこう期待を寄せる構造が動き出している。東京都の小池百合子都知事が進める国際金融都市構想だ。東京をロンドン、ニューヨークと並ぶ国際金融都市へと変貌させるこの構想は、1980年代以降、何度となくチャレンジしてきたものの、思い描くような進展をみていない。「今度こそ」と意気込む東京都と金融当局の鍵を握るのは何か?
「経験を生かしてご活躍いただきたい」──。小池都知事は11月5日の記者会見で、前日銀副総裁(大和総研理事長)の中曽宏氏(64)を、東京版「金融メイヤー(市長)」に起用する人事を明かした。中曽氏は来年七月に発足する金融業界がつくる金融プロモーション組織のトップに就く。
 中曽氏が内定した「金融メイヤー」は、英国ロンドンの金融街、シティの「ロード・メイヤー」がモデルだ。小池都知事は7月に来日したシティ・オブ・ロンドンのロード・メイヤー、チャールズ・ホウマン氏と会談。両者は昨年12月に、金融分野のイベント、金融教育プログラム、グリーンファイナンス等の連携に関する合意書を締結している。
 世界的な金融街として知られるシティは、ロンドン東部の周囲一マイル四方の狭い地域にすぎないが、中心となるパタノスター広場にはイングランド銀行(中央銀行)、ロンドン証券取引所が並び、有力金融機関が拠点を構える再開発地区カナリーウォーフやヘッジファンドが集まるメイフェアなどもがあり、ニューヨークのウォール街とともに世界の金融市場を二分する存在だ。
 その歴史は古く、王室から数々の特権を与えられた自治都市の顔を持つ。その市長こそ「金融メイヤー」であり、中曽氏は東京金融街の市長として、金融都市東京を世界にアピールする役割を担うことになる。「日銀で国際畑を歩んできた中曽氏は、財務官と並ぶ金融マフィアとして海外の金融当局者と太いパイプを持つ。まさに適任」(金融庁関係者)と言っていい。
 また、東京金融市場の国際競争力を高める上で、不可欠とみられていた総合取引所も実現に向けて動きだしている。東京商品取引所は、東京証券取引所などを傘下に持つ日本取引所グループとの統合に向けて協議することで合意した。過去、何度となく俎上に上りながら実現することがなかったが、欧米やシンガポールなどの取引所と伍していくためには、株式や金利、商品先物などを一手に取り扱う取引所の存在は不可欠だ。
 インフラの整備や税制、言葉の壁など乗り越えるべき課題は多いが、中曽氏の手腕に期待が集まる。


 maneoの配当延滞で危機が囁かれるSL業界

 融資型のクラウドファンディングのソーシャルレンディング(SL)業界最大手のmaneoが、11月1日に開示した「延滞発生に対するご報告」で業界全体が沈んでしまいそうな危機を迎えている。
 遅滞発生は首都圏の五物件。次のように経過を説明している。
〈事業者C社は、不動産事業者CU社に対し、約定利息の支払いを行ないません。(中略)すべての担保不動産の任意売却をもってしてもmaneo社への元利金全額を支払うことが困難であるとの認識に至り、(中略)C社は、10月29日を期日とするmaneo社への利息の支払いを履行しない意向をmaneo社に対して示しました〉
 ここでC社というのはmaneoの関係会社リクレで、借りているのは如月マネジメントという合同会社。リクレが如月マネジメントに貸したらすぐに約定利息の支払いをしなくなり、担保物件を売却しても回収できないことが判明したためリクレは利息支払いをストップ。それに伴いmaneoも約束した配当ができないと投資家に通告したというわけだ。
 SLは、ネットを中心に投資家を募り、投資家はSL業者が組成したファンドに投資する。08年設と歴史が古く、実績もあるmaneoは、自らファンドを組成するだけでなく、金融業者として自らのプラットフォームをSL業者に提供。SL業者の利回りは10%前後と高く、それに惹かれて投資家が集まり、17年の市場規模は前年比2.5倍の1316億円だった。
 如月マネジメント向けの融資で問題なのは、五物件のほとんどが4月10日に融資が実行され、5月25日には利払いが止まっていること。さらに、リクレやmaneoの審査の甘さには、如月マネジメントや背後の親会社とのT共謀Uを疑うこともできる。業界最大手に対するそうした観測が、SL業界崩壊の予兆との観測が出る背景になっている。


 金融庁が取り組み始めた地域金融機関への支援策

 金融庁は地域金融機関との「対話」に重点を置いた行政に取り組み始めている。そこで最も重視しているキーワードは、「共通価値の創造という好循環のループを造ること」にある。
 超低金利が継続する中、地域金融機関の経営は一層、厳しさを増している。金融機関が適正な収益を確保しえないことは、とりもなおさず地域の企業や個人への資金供給に影響が及び、地域経済は疲弊していく。この負の循環を断ち切り、好循環のループを構築しようというわけだ。
 具体的には、金融庁の健全化チームではオフサイト、オンサイトのモニタリングを継続する。一方で、金融仲介機能に関しては、「地域生産性向上支援チーム」を立ち上げるとともに、財務局との共同体制の充実に努めている。
 この「地域生産性向上支援チーム」は、金融庁の職員が各地域に長期間出向き、財務局と連携して地域の企業の声に耳を傾け、金融機関に対する期待や本音を引き出す。また、地域の支援機関となる商工会や商工会議所とも連携し、地域経済の実態を把握し、その実態把握に基づき、地域金融機関と企業の価値向上や地域経済の活性化に向けた対話を行うという仕組みだ。
 この「地域生産性向上支援チーム」の稼働に伴い、よりキメの細かい企業支援の充実が期待されている。


 事業停止の「わひこ」は第2のスマートデイズ?

 シェアハウス投資で書類を改ざんしたスマートデイズとともに投資不動産にのめり込んだスルガ銀行を所管する金融庁は十月二十六日、国交省、消費者庁と連名で「アパート等のサブリースに関連する注意喚起」を促す文章を発出した。
 この背景には、「第2、第3のスマートデイズが出て、金融機関が食い物にされかねない」(金融庁関係者)という問題意識があるからだが、早くもその懸念が現実化しかねない悩ましい案件が浮上している。
「10月10日までに事業を停止し、解散・清算準備に入った不動産会社『わひこ』に絡み、スマートデイズのような書類の改ざんがあったと問題視されている」(メガバンク幹部)というのだ。
「わひこ」(東京都港区新橋、浅野恵太社長)は、不動産売買のほか、資産運用や不動産コンサルなど幅広く手掛ける不動産会社。社長の浅野氏は『9割の不動産営業マンはTお勧め物件Uを自分では買わない』という著書もあり、不動産投資セミナーの講師も務めていた。
 その「わひこ」が急成長したのが投資用不動産事業で、「2013年2月期に4145万円にすぎなかった売上高が、直近では約100億円まで急伸していた」(大手情報機関)という。しかし、この売上高拡大の陰で「投資家の融資申込書を改ざんし、金融機関から不当に融資を引き出していた疑惑が浮上している」(同)というのだ。その手口は、所得の源泉徴収票まで巧妙に改ざんされていたとされ、メガバンクや大手信用金庫も見抜けず、融資が実行されているという。まさに第2のスマートデイズとなりかねない。


 いまや地銀再編は首相の肝いり案件

 安倍首相は11月6日、成長戦略を議論する「未来投資会議」で「地方銀行や路線バス会社の経営維持は国民的課題」と指摘し、サービスが維持されるよう経営統合が可能となるルールの策定を指示した。
 地銀の再編が未来投資会議の俎上に上った背景には、長崎の親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループと同県のトップ地銀である十八銀行の経営統合が公正取引委員会の反対でなかなか認可が下りなかったことがある。両行は当初、2017年4月に統合する予定であったが、延期を重ね、最終的に公取委の認可が下りたのは今年8月。公取委が問題視にしたのは、統合により県内の融資シェアが7割に達し、競争原理が働かなくなる懸念だった。
 金融庁の森信親長官(当時)は、「県境を越えた貸出が最近増大している。県内のシェアと貸出利回りは相関しておらず、県内のシェアのみに基づいて金融機関の市場支配の有無は判断できない」と反論。公取委の杉本和行委員長は、「(公取委は)県外からの競争圧力が働くかどうかも見ている。県単位のシェアだけで判断しているのは誤解」と強調した。
 そうした溝を埋める場として官邸が支持したのが「未来投資会議」であり、議論は首相肝いりに格上げされた格好となる。杉本委員長は11月14日の記者会見で、「複数の事業者が統合しないとサービス維持できない場合は、独禁法上、問題視するものではない」と、地域の実情に応じて柔軟に対応していく用意があることを示した。まさに九州の地銀再編劇は今後の地銀統合の礎になった。


 一世を風靡した起業家がイベント市場に殴りこみ

 最近は企業の発表会やインベントの開催場所にT異変Uが見られるようになった。震源地は、東京・神宮前に昨春開業した「TRUNK HOTEL」だ。ホテルの外装には不規則な植栽があって、隠れ家風ホテルだが、最寄り駅からはいずれも7〜10分と、決して便利なわけではない。
 ホテルを運営するのは、ハウスウエディングを手がけて結婚式場の革命児といわれた、テイクアンドギブ・ニーズの創業者、野尻佳孝氏(1998年創業)が社長を務めるTRUNK。ちなみにこのホテル、チャペルやウエディング会場なども備え、今春時点での客室単価は約5万7000円と高単価ながら、客室稼働率は91%だ。
 実はこのホテルで、発表会やイベントを開催する大手企業が目に見えて増えてきたのだ。たとえば、今夏、SUVの新型「CR-V」を発表したのがホンダ。クルマは単価も高くてイメージも左右するので、これはすぐに理解できる。
 意外だったのは、秋になってセブン-イレブン・ジャパンがコンビニコーヒーの「セブンカフェラテ」のリニューアルを、イトーヨーカ堂がクリスマスケーキやおせちの発表イベントを、続けて同ホテルで行ったこと。地味な印象のコンビニやスーパーが、相次いでトレンディなホテルで開催したのである。
 それくらいだから、ほかの大手企業でも続々と開催場所としてチョイスし始めているのだろう。TRUNKではこうしたホテルを全国で10カ所展開していく構想のようで、規模はともかく、従来のような堅苦しいホテルとは一線を画している。一過性の流行なのか本物なのか、しばらく注目だ。


 中期経営計画発表も依然不透明な東芝の再建

 東芝はこのほど二〇二四年三月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。半導体メモリー事業の売却などで経営危機を脱した同社は今回、液化天然ガス(LNG)事業の売却や英原発子会社の清算も打ち出した。リスクとなる事業を切り離し、再建のスタート台に立った格好だ。
 中期経営計画「ネクストプラン」は、今期の見通しで三兆六千億円の売上高と一%台の売上高営業利益率を、まず二二年三月期に三兆七千億円と六%以上にする内容。二四年三月期は四兆円と一〇%を目指す。
 計画の最初の三年間、収益改善を支えるのはコスト削減だ。二二年三月期までに営業利益を一千八百億円上積みするが、一千二百億円強は三年間での人員削減など構造改革や調達の見直しで捻出する。その象徴が七千人の人員削減。定年退職なども含め、現状の五%に当たる人員を減らす。
 肝心の成長戦略だが、核に据えるのはインフラ事業だ。五年後に目指す四千億円の営業利益の四割前後を稼ぐ構想だ。国内外でリチウムイオン二次電池の新工場を建設し、鉄道用や車載用への販売を増やしていく。手薄だった再生可能エネルギー発電事業や、空調の製造拠点整備なども進める。
 車谷暢昭会長兼CEO(写真)は「あらゆるものがネットにつながるIoTなどデジタル技術を使ってBtoBビジネスを強化する」と話すが、同社も自ら認める通りデジタル化は後発だ。
 東芝は十月一日付で、デジタルを核にした事業変革の責任者として独シーメンス日本法人専務執行役員だった島田太郎氏を招いた。電力の送配電事業では、国内の電力大手とのパイプを生かして、電力の需要動向に応じて細かく電力量を制御し、故障防止やコスト低減につながる技術などを売り込んでいくという。
 IoT分野では三菱電機が二〇〇〇年代前半からファクトリーオートメーション(FA)事業に注力している。日立製作所も一〇年代からIoT推進を経営戦略の核に明確に据え始めた。三菱電と日立は共に巨額損失を計上するなど経営危機を体験。これを契機に構造改革を進めるなかで成長戦略を模索してきた。
 これまでの稼ぎ頭であった半導体メモリーや原子力発電などを失った東芝。身を縮めて再起を期す考えだが、車谷会長の思惑通り事が進むか不透明だ。


 業績低迷の日産社内でT西川離れUが加速?

「マイナスばかりが目立つ決算だ」(大手証券アナリスト)。
 ゴーン会長の逮捕前に日産自動車が発表した2018年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比11%減の2462億円。世界販売が減少したほか、原材料費の高騰なども重荷になった。売上高は2%減の5兆5327億円。世界販売台数は5万台減の268万3000台だった。営業利益も25%減の2103億円。原材料費の高騰に加え、研究開発・生産費用が上昇した。
 年間で見ると、16年3月期には8000億円近くあった営業利益はこの3年間で2500億円、率で言うと3割強減ったことになる。
「中国をはじめ世界的に景気減速が鮮明になる中で、原価低減や東南アジアで伸ばすトヨタ自動車に比べると、売り上げや利益面で明暗がはっきり分かれた」(同)という。
 低迷の最も大きな原因は北米事業の不調だ。「また悪い癖が出てしまった」、そう漏らすのはある日産幹部。「悪い癖」とは販売台数やシェアを伸ばそうとするあまり、販売奨励金(インセンティブ)を販売店に支給し、値下げして販売することだ。インセンティブの水準もトヨタの2倍の1台あたり4000ドルともいわれる。
 問題が「値引き販売からの脱却」にあることは西川広人社長兼CEOも十分理解している。しかし、「その西川氏の声が現場に浸透しない」(同)のが問題といわれる。一連の検査不正問題でのメディアへの説明不足や、監督官庁の国土交通省との「無用な対立」を招いた「人見知り」な性格が災いしてなかなか業績が反転できない状況が続いている。
 西川氏といえば、親会社の仏ルノーとの統合を迫る仏政府との折衝を乗り切り、「その論功行賞から日産の社長になった」(別の日産幹部)。しかし、前述のリコール対応の不手際や功を焦るあまりに北米でインセンティブ頼りの販売戦略を強いたことから「もともと人望が薄い中、西川離れが加速している」(同)という。
 一方のルノーは日産の後をぴたりとつける。ルノーグループの2017年通期決算は、売上高が前年比14.7%増の587億7000万ユーロと5年連続のプラス。2017年通期の純利益は、前年比49.5%増の51億1400万ユーロと過去最高を達成している。これまでは日産が子会社でありながら稼いでいることからルノーの大株主である仏政府も「ルノーとの統合を強く切り出せなかった」(同)が、業績が均衡するようだと「仏政府にルノーとの統合を受け入れさせる口実を与えかねない」(同)。経済低迷から抜け出せない仏政府はルノーとの統合を虎視眈々と狙っている。(「カリスマ経営者の逮捕」参照)


 トップの意気込みに反し苦戦が続くメルカリ

 メルカリが米国で苦戦している。このほど発表した2018年7〜9九月期の連結決算は最終損益が28億円の赤字。株価も低迷、6月の上場時に7170億円だった時価総額は4000億円台にしぼんだ。
 市場が問題視しているのが米国事業の動向だ。「日本だけでなく世界でフリマアプリを展開する」として14年に米国に進出したが、イーベイや新興フリマアプリのポッシュマークなど競合がひしめき、赤字が続いている。しかし「当面は投資が先行する。3年でエンジニア1000人を採用する」(山田進太郎会長)と意に介する様子はない。
 11月には旅行関連の交流サイト「メルトリップ」を試験的に始めた。旅先の写真を投稿して旅行記をつくれるサービスだが、ようやく試験的に始まった段階。フリマアプリにたまったお金などをもとに決済サービスなどを提供する予定のメルペイも、サービス開始時期は未定だ。
 しかも、シリコンバレーを中心に海外で知名度の低いメルカリの門を叩くITエンジニアは少ない。創業者の山田会長が自ら米国に乗り込んで海外市場開拓の陣頭指揮をとる。米物流大手のUPSと組んで、売り手と買い手が互いの宛名を知らせず荷物を配送できるサービスを始めるが、インパクト不足が否めない。米国での苦戦が続きそうだ。


 豪運用会社を買収する三菱UFJ信託の狙い

 三菱UFJ信託銀行は10月31日、来年半ばをメドに、約3200億円を投じて豪最大手銀コモンウェルス銀系の資産運用会社を買収すると発表した。同行は2008年に英大手資産運用会社アバディーン・アセット・マネジメントに約500億円を出資した経緯があるが、海外の資産運用会社を買収するのは初めて。資産運用ビジネスの拡大を目指して、商品品揃えの充実や海外の顧客拡大を目指す。
 関係者によると「コロニアル・ファースト・ステートは数多くの運用子会社を持つが、その中で、当社の運用戦略にマッチする子会社のみを厳選して買収した」という。豪州の金融当局は、国内の金融機関についてコアの事業に特化するよう、規制を強化しており、優良な子会社であっても売却を促していたとされる。三菱UFJ信託銀行にとっては、またとないチャンスだったわけだ。
 三菱UFJ信託銀行が目指す将来像は、グローバルな競争に伍す資産運用会社であり、世界的な有価証券の管理会社(グローバル・カストディアン)。ライバルは運用会社では米JPモルガン・チェース。グローバル・カストディアンでは、米ステート・ストリートや米バンク・オブ・ニューヨークが念頭にある。
 このため、資産運用では、数年で海外運用会社のM&A(合併・買収)に1兆円を投じる計画で、運用資産残高を100兆円規模に引き上げる方針を打ち出している。今回の買収で3200億円を投じても、まだ6800億円の買収枠があることから、次の買収戦略が同時並行的に進められているとみられている。
 一方、グローバル・カストディアンでは、受託資産が3700兆円を持つステート・ストリートなどに対し、三菱UFJ信託銀行の受託資産残高は約400兆円。今後、この差をどう埋めるかが問われる。


 個人営業の方針転換で野村HDが赤字に転落

 野村ホールディングスの今3月期中間期に異変が起きた。最終損益で60億円の赤字に転落した。深層部には、野村證券の歴史を大きく塗り替える事由がある。
 別名「ノルマ証券」。歴代のトップは個人営業の実績を背景にその座に就いてきた。その「ドル箱」の個人営業に異変が起きている。上半期の個人営業の税引き前利益は321億円。前年同期比36%の大幅な減少。ある支店長は「営業戦略の大転換の結果」で、「片足に重りをつけて営業しているようなもの。成績が上がるはずがない」と言う。
 森田敏夫社長は「預かり資産営業」に個人営業を大転換した。投資政策や投資戦略をアドバイスして顧客の口座に証券会社が扱う金融商品として現金を積み上げていく営業である。要は顧客が保有する証券商品をAからBへ言葉巧みに乗り換えさせ手数料収入を稼ぐ従来の方法を禁じたのである。
 実は1999年の証券の手数料自由化後、野村證券も何度となく欧米同様の「預かり資産営業」に軸足を移そうとする時期があった。だが結局は、地に足がつかなかった。「ノルマ証券」という染みついた体質から抜け出せなかったからである。
 今回は本物か。確かに上半期の預かり資産(現金+有価証券)は6817億円と8・四半期ぶりのプラス。また顧客が投資判断を任せる投資一任勘定は9月末で2兆8438億円と、半年で過去最高となる1400億円余り増加している。
 だが、肝心要の企業の通信簿ともいえる株価は500円台入り口から前半。1月の高値から200円以上水準を下げている。果たして生みの苦しみなのか。転換が本物か否かは、時間の経過を見守る以外にない。


 仮想通貨による寄付で難病の再生医療を支援へ

 仮想通貨といえば、1月に交換業者のコインチェックで580億円分もの仮想通貨の不正流出事件が起こり、9月にはザイフで3種類の仮想通貨が流出してひところの熱気は冷めたが、それでもまだまだ人気は高く、事件後もいくつかの仮想通貨が登場している。
 そんな中、「再生医療を支援しよう」という仮想通貨が登場した。もっぱら格闘技やアイドルのイベントで主催者と提携しT投げ銭Uに使われていた仮想通貨「SAKURA BLOOM(SKB)」コインを発行していた「NEGTEC(ネグテック)」が「SKBコインで再生医療を支援しよう」ということを始めたのだ。
 今までの仮想通貨はほとんどがICOと呼ぶ資金調達を目的に発行され、人気が出たり事業の成功が見込まれるようになると、仮想通貨の価格が上がり、購入したT投資家Uが大儲けする仕組みが多かった。が、同社はICOではなく、再生医療を支援するための仮想通貨だという。対象とするのは重症下肢虚血という治療薬のない難病の再生医療。今、血液からCD34陽性細胞を取り出して培養し患者に再投与する再生医療の臨床研究が行われ、世界初の治療法として厚生労働省に承認申請されている。この再生医療でCD34陽性細胞を分離取り出すために使用する「クリニマックス」という医療機器は1台300万円ほどするが、支援は再生医療に取り組む大学病院や研究所に購入資金をSKBコインで寄付しようという企画である。
 ネグテック社の廣野高一社長は「重症下肢虚血という病気は進行すると足を切断するしかない。が、CD34陽性細胞を投与する再生医療は足を切断する危機から救うことができる。この難病を知ってもらい、再生医療を広めるためにSKBコインによるクラウドファンディングで支援したい」という。
 具体的にはクリニマックスを欲しい医療機関を募り、医療機関のネット上にサクラウォレット(財布)をつくり、そこにSKBコインを寄付してもらう。医療機関は寄付されたSKBコインを現金化してクリニマックスを購入するという仕組みだ。SKBコインが人気になり価格が上がれば、現金の寄付より早く医療機器を購入できる。同社ではジョギングやウオーキングなどの健康運動にSKBコインを与え、寄付をしてもらう方法も検討しているという。
 海外では社会的に意義のある企画を提案する仮想通貨が広まり始めているそうだが、日本では初めての試み。再生医療支援という仮想通貨が果たして日本で人気になるか。


 名を馳せたヤクザの「半自伝映画」撮影中

 暴力団が暴力団対策法や暴力団排除条例でT骨抜きUにされる前、日本最大の広域暴力団「山口組」の中でも、東京進出の尖兵にして「武闘派」と恐れられたのが後藤忠政氏である。
 静岡県富士宮市を拠点にした後藤組を率い、5代目山口組時代には最高幹部の若頭補佐を務め、6代目山口組では舎弟に直り、引き続き最大級の勢力を誇ったが、2008年、執行部との間でトラブルを起こし、除籍処分となって引退した。
 善くも悪しくも暴力団に勢いがあった頃の代表的なヤクザで、芸能界、右翼、政治家、実業家、マスメディアなどに幅広い人脈を築いており、引退後、自らの暴力団人生を『憚りながら』という著書にまとめ、20万部を超えるベストセラーとなった。
 その後藤氏が、静岡のチンピラ時代から稼業入り、数々の抗争を経て、4代目山口組の直参となり、関東進出で名を売るまでの過程を描いた「半自伝映画」の撮影に入っている。
 監督は井筒和幸氏で主演はEXILEの松本利夫、妻役が柳ゆり菜。後藤氏の半生を材料として借りながらも、そのままシナリオにしたわけではなく、昭和の時代、自らの力と知恵でのし上がった男の「青春無頼記」といった趣となっている。
 かつてヤクザ映画といえば、暴力団社会に生きる男の義理と人情を描いた任侠映画か、組織同士の約束事の裏で欲望が渦巻く実録映画かのどちらかだった。『無頼』(仮)と名のついた後藤映画は、実録映画の範疇の青春暴力活劇である。
 だが、東映が任侠・実録映画路線を離れ、その後をVシネマが受け継いだものの、「反暴力団」の気風は映画や小説の世界に及ぶようになり、少しでも「暴力団礼賛」が入ったり、「抗争」につながりそうなものは、警察当局からの強い規制を受けるようになった。
「山口組が3分裂しており、映画がその抗争を描いたものならトラブルの原因になると、警察当局は神経を尖らせていて、ロケの許可が下りないなど撮影に支障をきたしたこともあるようです」(映画関係者)
 しかし、分裂は引退後で、直近を描くことに問題があるのは井筒監督も承知している。だから配役は若く、描く時代は古く、その分、猥雑なエネルギーに満ちているという。
 暴力団の世界が否定されるのは、時代の流れで仕方がない。ただ、過去を消すことはできず、「暴力団がいた時代」を描く映画や小説にまで過敏に反応するのは考えものだろう。


 「イッテQ!」 の抗弁通らず日テレは「文春砲」に白旗

 日本テレビは、看板番組のバラエティー「世界の果てまでイッテQ!」が、「文春砲」による「祭り企画デッチ上げ」の連続弾(ラオスの「橋祭り」=今年5月20日放送、タイの「カリフラワー祭り」=2017年9月12日放送)を受け、当初こそ抗弁していたものの、11月15日、大久保好男社長が記者会見で「疑念を生み、大変申し訳ない。視聴者や出演者、多くの関係者にお詫びします」とトップ自ら頭を下げた。
 さらに、「イッテQ!」の放送は続けるものの「祭り企画」は当面休止し、責任者の処分を検討すると「全面降伏」した。
 10月には58カ月連続で守ってきた「月間視聴率3冠王」の座から転落したばかり。民放史に残る不祥事だけに、「王者」凋落の1歩になりかねない。
 一連の「デッチ上げ疑惑」に、ネットはもちろん、民放各局や新聞各紙も一斉に批判、「日テレバッシング」の凄まじい嵐が吹き荒れ、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会からは報告書の提出を求められた。
「イッテQ!」は07年にスタート、優れた放送作品や放送人に贈られるギャラクシー賞を2回も受賞。視聴率トップの座を守る牽引役を務めてきたが、その栄光はもはや地に落ちた感がある。「フェイク」が問題視される中での今回の騒動だけに、「民放の雄」に寒風が吹き始めたようだ。


 母親だけではなかった! 父親にも高齢出産リスク

 現在の日本人の初婚年齢は、男性31.1歳、女性29.4歳。晩婚化とともに女性の平均出産年齢もついに30歳を超えた。
 出産の高齢化によって早産や流産、帝王切開、子どもの染色体異常などのリスクが高くなることは、よく知られている。従来はもっぱら母親の年齢のみが問題とされてきたが、実は父親の年齢も関係することが、医学的な調査で明らかになってきた。
 高齢出産は35歳以上の初産婦(経産婦は40歳以上)をいうが、父側の年齢には関係なく定義されてきた。しかし、米国スタンフォード大学の研究によると、父親が45歳以上だと、母親の年齢に関係なく、早産や妊娠糖尿病などのリスクが高くなるという。
 この研究は、最近10年間に米国で生まれた子ども4000万人以上を対象とした大規模な調査で、信頼性も高い。これによると、父親の年齢が25〜34歳のグループよりも、それ以上のグループのほうが、早産、2500?以下の低体重出生のリスクが高くなるという。その他の子ども側のトラブル、例えば、出産後の新生児の痙攣発作、NICUに入る確率なども高くなり、父親が高齢になるほど、この傾向は顕著になることがわかった。
 また、妊娠糖尿病も、父親の年齢が高くなるとともに増加、子どもだけでなく母親にも悪い影響を及ぼすことが明らかになった。特に、父親が45歳以上だと、NICUへの入院や妊娠糖尿病のリスクが上がる。原因として考えられているのが、精子の元になる精母細胞が加齢により劣化し、DNAなどに傷がつくこと。これが精子となり、受精して胎児になるわけだが、その過程で、母親側の胎盤にも悪影響を与えるという。
 高齢になってから子どもをつくる場合は、男性もこういったリスクを十分覚悟する必要がありそうだ。


 今や「金正恩の首席報道官」四面楚歌の韓国大統領

 韓国の文在寅大統領の国際的評価が著しく低下している。10月のASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会談で欧州の首脳たちに北朝鮮への経済制裁緩和を要請したが、「金正恩の首席報道官」と揶揄されたくらいだ。イギリスなど北に大使館を置き、情報部員が北の内部情勢を把握している国々は、北が今も核開発を続けていることを知っている。
 しかし、文政権の優先度はすべて南北関係先行型だ。その運転役を自負している文大統領だが、弊害が大きく出ている。外交部においてワシントンスクールと呼ばれる知米派を左遷し、対米関係を悪化させている。在日大使館で働く外交官も傍流に追いやり、実質米日韓による対北外交を遮断している。一方、統一部は治安警察と組んで、脱北者たちを圧迫。北からの脱出者を韓国の敵とみなし、海外に追放する構えだ。
 対日関係においても強制徴用工賠償判決でこれまでの見解を覆し、個人の請求権を認める後押しをしている。条約や国連での多国間条約はその国の議会で批准されれば国内法より優位性があるとされ、政権が代わってもその国は順守すべきというのが国際常識だが、いとも簡単に覆して恨みを晴らすための国民感情優先型の国家との印象を国際社会に植え付けてしまった。
 米国は文政権に対し不快感を強める一方で、対北との核交渉がなかなか進まないことにいら立っている。中間選挙を終え、再選を目指すトランプ大統領が水面下で背信行為を続ける文大統領に対して強い姿勢で迫るのは間違いない。


 米政権弱体化を横目に布石を打つ安倍首相

 中間選挙を終えた米国政界はすでに2020年の次期大統領選挙に向けて活動を活発化している。トランプ氏もインフラ投資や中間層への減税を切り札にしたいところだが、思惑通りにはいかず政権運営で混迷することが予想されている。ロシア疑惑では正式な報告書がムラー特別検察官から提出される予定で、しばらくは民主党が過半数を握った下院で追及が続くと予想されている。
 そうした中、米国経済はビッグアウトを迎える経済指標が出され始めており、財政赤字の拡大が懸念されている。そうなれば、財源がなくなるため、減税やインフラ投資も実行が不可能となる。こうしたトランプ政権の予想される混迷ぶりを安倍政権はすでに分析済みで、まず、中国と手打ちをし、次にロシアとの平和条約締結に政権の命運をかけることとした。
 北朝鮮の拉致問題解決は進展せず、憲法改正も機運が高まらない中、政権への支持率を上げるには2島返還に終わっても、ロシアとの関係強化を選んだ格好だ。来年の統一地方選挙や7月の参議院選挙では自民党はかなり苦戦することが予想されており、その前に長期政権として何らかの成果を上げることが不可欠だ。
 しかし、2島返還で手打ちをする日露平和条約でよしとするのか、その審判は予断を許さない。また、IMF(国際通貨基金)も最新報告書で予想しているように、20年以降深刻なリセッションが生じた時、日本が先に消費税増税を行うことの是非も問われることになる。


 国内初の金採掘を始めるカンボジアの皮算用

 カンボジアで初めてとなる金の本格的な採掘が2020年に始まる。
 採掘するのはコーヒーの産地で知られる東部モンドルキリ州のオクバウ金鉱。オーストラリアの金鉱探査開発大手エメラルド・リソーシズが7月に採掘許可を取得し、2700万豪ドル(約22億円)の資金を調達して開発準備を進めている。エメラルド社のハート社長は株主向けの声明で、「法人株主の支援のおかげで堅実に運営できる。わくわくしている」と意欲を示している。
 エメラルド社の調査では、オクバウ金鉱の推定埋蔵量は32トンで、年3トンの採掘が可能とみられている。採掘は少なくとも7年間は続けられる見通しだ。カンボジア鉱業・エネルギー省スポークスマンは「雇用拡大と経済活動の活性化につながる」と手放しの歓迎ぶり。また「税金や鉱山使用料で歳入も増加する」と皮算用している。
 フン・セン政権は昨年、最大野党を解党に追い込み、今年7月に実施された総選挙で与党が全議席を独占。民主化の後退を問題視するEU(欧州連合)は、カンボジアに対する関税優遇措置の停止に踏み切る構えを見せている。フン・セン政権は警戒を強めているが、金の採掘が軌道に乗れば、国家財政の安定化につながるという計算も働いている。
 ただ、オクバウ金鉱の開発が腐敗の温床になりかねないとの懸念もくすぶる。各国の汚職の状況を監視するNGO、トランスペアレンシー・インターナショナルのカンボジア担当者は、オクバウ金鉱に関する情報がこれまでのところ、エメラルド社からしか伝えられず、鉱業・エネルギー省は金鉱の将来性に関し、十分な情報を公開していないと批判。「鉱業・エネルギー省は金の採掘に伴う歳入が適切に処理されるか財務管理を監視する必要がある」と指摘する。


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