ダミー
ダミー

ダミー
問題の深刻さも浮かび上がった「FIJ」設立記念シンポジウム(写真提供/ファクトチェック・イニシアティブ)


ダミー
フェイクニュース問題を考えさせたトランプ米大統領


ダミー



購読のお申し込み

デジタル雑誌のお求めは
こちらよりどうぞ




こちらからも
お求めいただけます。



■<シリーズ>メディア激動時代(111) 神余 心


ファクトチェックが日本でも本格始動
民主主義の基盤「共通の事実」が危機

■間違った情報をもとに判断されることが正しいものでないのは自明の理。だが、現状はフェイクニュースが自由に飛び交うのに、検証コストは膨大で、まるで「格差のあるイタチごっこ」だ――

 世界中にフェイクニュースが蔓延する中、真偽を検証するファクトチェックの重要性が一段と増しているが、日本でもようやく本格的な取り組みが始まった。
 ジャーナリストや有識者でつくるNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」は4月、設立記念シンポジウムを開き、国内外から集まったファクトチェッカーが口々にファクトチェックの意義や課題を訴えた。
 ネット社会の「負」の側面ともいえるフェイクニュースは、2016年の米大統領選で注目を集め、その後、次々に顕在化し、「健全な社会」を分断しかねない元凶と目されるようになった。
 フェイクニュースの温床とされたフェイスブックやグーグルが、メディアと協働でファクトチェックに乗り出すなど、さまざまな対抗措置が取られるようになったが、その増殖は収まる気配がない。
 多様な価値が共存する民主主義の基盤となる「共通の事実」は危機に直面している。

日本でもNPO法人誕生
設立記念シンポを開催


「ファクトチェックとは、『事実に関する言明』を対象とし、『真偽・正確性』を調査・検証し、『証拠等の判断材料』を提供することです。その意義は、誤報・虚報の拡散を防止し、ジャーナリズムの信頼性を向上させ、言論の自由の基盤を強化することにあります」
 4月22日、早稲田大学国際会議場で行われた「FIJ」設立記念シンポジウムの冒頭、瀬川至朗FIJ理事長(早大政治経済学術院教授)は、200余人の参加者を前に、ファクトチェックの取り組みについて力説した。
「FIJ」は、日本におけるファクトチェックを行う組織や個人を情報面・技術面・資金面でサポートする団体として、2017年6月に設立、18年1月にNPO法人となった。
 理事には、ジャーナリストや大学教授ら幅広い分野の有識者が名を連ねる。
 設立目的には「社会に誤った情報が広がるのを防ぐ仕組みを作り、市民が事実と異なる情報に惑わされないような社会を構築すること」を掲げ、「非党派性」「透明性」「公開性」を標榜している。ファクトチェックの対象は、あくまで「事実に関する言説」であって「意見や見解」ではないと規定し、単なる「事実確認」にとどまらず「真偽検証」にまで踏み込んでいるのが特徴だ。
 最初の試みとして、17年秋の衆院選でネットメディアも参加した共同プロジェクトを実施した。
 そこでは
「安倍首相が『消費税を2%引き上げれば5兆円強の増収になる』と語った」→〔事実と認めるには不確か〕
「自民党の選挙公約から『女性活躍』の文字が消えた」→〔不正確〕
「立憲民主党のツイッターのフォロワーが急増したのは『フォロワーをカネで買ったのではないか』」→〔根拠なし〕
 など、22件の言説について、ファクトチェックを行い、真偽について検証結果を公表した。
 この日のシンポジウムには、ファクトチェックの先駆者的存在として知られる米国「ポリティファクト」のアーロン・シャロックマン事務局長や、古田大輔バズフィードジャパン編集長、乾健太郎東北大学大学院教授、坂本旬法政大教授、立岩陽一郎ニュースのタネ編集長らのファクトチェッカーが参集。ファクトチェックの現状や可能性について、それぞれの立場から報告を行い、多彩な意見が交わされた。
 シンポジウムは日本における組織的なファクトチェックの実質的なスタートとして記憶されるだろう。

世界中に広がる
ファクトチェック


 ファクトチェックは、今やフェイクニュース対策として切っても切り離せない重要な方策となっている。
 だが、もともとはフェイクニュースを念頭に置いて登場したものではない。その起源は、1920年代に米国の雑誌社が印刷前に事実関係を確認する「ファクトチェッカー」を置いたことにさかのぼるとされる。
 その後、90年代半ば以降、ネットが普及するとともに、だんだん活発化していく。
 米国では、2003年にペンシルベニア大学で「ファクトチェック・ドット・オルグ」が設立され、政治家の発言をチェックするようになった。
 07年には、フロリダの地方紙「タンパベイ・タイムズ」が、大統領選の予備選挙をきっかけにファクトチェックに取り組み、「ポリティファクト」として独り立ちした。本選挙でも候補者の発言の事実関係をチェックして報じ、09年には一連の活動が評価されてピュリッツァー賞を受賞、ファクトチェック団体として確固たる地位を築いた。
「ワシントン・ポスト」も同じ頃、政治関連の言説を中心にファクトチェックの仕組みを取り入れた。
 他にも、多くのジャーナリストやメディアがさまざまな形で活動してきた。
 そして、16年の大統領選でフェイクニュースの「拡散装置」として指弾されたフェイスブックやグーグルが、こうしたファクトチェッカーたちの協力を得て、フェイクニュース対策に注力することになったのである。
 一方、欧州のファクトチェッカーは、政治関連に限らず、ネット上に流れる情報全般について目を光らせているという。英国では「ファースト・ドラフト・ニュース」が代表的存在で、慈善団体「フル・ファクト」も知られている。ドイツでは、難民暴動事件のウソを突き止めた「コレクティブ」などが存在感を示している。
(以下、本誌をご覧ください)
ダミー
ダミー
ダミー

(C)2018 株式会社エルネオス出版社. All rights reserved.
〒105-0003 東京都港区西新橋1-22-7 丸万7号館4F 
TEL.03-3507-0323 FAX.03-3507-0393 eMAIL: info@elneos.co.jp