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キーマンになる川村東電HD会長


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■財界総理の器量


日立出身の経団連次期会長を取り巻く
原発事業と電力事業めぐる経産省の思惑

■2月13日、経団連の新旧会長交代の記者会見が開かれた。そこに見えたのは新会長となる中西宏明氏の人となりとともに、経済界が抱える「原発」というエネルギー政策だった――

ニコニコしながら
自慢ができる人物


 日立製作所会長の中西宏明氏はその日、使い慣れた茶色いブリーフケースを抱きかかえて現れた。2月13日午後、東京・大手町の日本経団連会館。今年6月に行われる新旧経団連会長の交代を世間に告げる“お披露目”の記者会見である。現会長の榊原定征氏が中西氏を新会長に起用した理由を説明している間、中西氏はブリーフケースからそっと用意していたメモを取り出して一瞥。そして、まったく緊張したそぶりも見せず、こう切り出した。
「日本経済のデフレ脱却もさることながら、今は経済の新たな回転を作っていく重要な時期にあります」。その上で、こう言ってのけた。「私もこの3年半、経団連副会長としてアクティブに発言してきましたが、思った以上に私の主張が(経団連の政策に)盛り込まれてきました」──。
 謙譲が美徳とされる日本の社会において、中西氏は用意した原稿で“自分はすごい”と言ってのける男である。それが嫌みに聞こえないのは、ニコニコしながら、べらんめえ調の言いふりをするからだろう。これが仏頂面して、上から目線の嫌みな言い方だったら、男の嫉妬心が渦巻く財界で、とっくに嫌われていたに違いない。中西氏は偉ぶるにしても、ソニーの出井伸之元会長のような恰好をつけることをしない。自然に自慢をするのだ。

会見で記者の関心事は
原発事業めぐる立場


 この日の記者会見で記者たちの関心事は、日立が英国で進める原子力事業にあった。日立が英国で進めているホライズン原発は日立単独で進めるにはリスクが大きく、日立は日英政府の支援をあてにしている。原発輸出を成長戦略に位置づける安倍政権は、ホライズン計画に対して、日本貿易保険による全額保証をつけるなどしてメガバンクから融資を呼び込む考えだ。実現すれば、日立の負担は出資額の1500億円程度で済む半面、政府系金融機関の出資や貿易保険の保証などT官Uマネーが2兆円強を賄うことになりそうだ。
 こんな虫のいい話が許されていいわけがない。「損失が発生したら国民負担に跳ね返る」。民放の女性記者が舌鋒鋭く聞いた。「原発事業は、経団連の立場とメーカーである日立の立場とを使い分けているのではないか」。ベテラン記者も問い質す。
 中西氏はこうした質問をすべて予期していたようだった。「ホライズンの前提条件はインベスタブル(投資対象として適している)かどうかだ」と切り出し、仏アレバと米ウェスチングハウスの事例を挙げた。
 アレバは、フィンランドのオルキオルト3号機の受注を請け負ったものの、安全規制強化に伴う工事の遅れなどで建設費用が雪だるま式に増え、経営危機に陥った。東芝が買収したウェスチングハウスも、米国で受注した原発計画の予期せぬコスト増などで経営破綻し、親会社の東芝も債務超過に転落した。「福島第1原発事故の影響もあって、新しい炉のコストが予見できない」。中西氏はそう語った。
 中西氏にとって原子力は悩みのタネである。彼は昨年、こう漏らしたことがある。「お客様の電力会社がこの事業で儲かっていないのだから、我々メーカーが儲けるのは非常に厳しい。アレバとウェスチングハウスの失敗でファイナンス環境は極めて劣悪。原子力は中長期的にはとても不透明だ」。そしてこう打ち明けた。「重電ビジネスは赤字にはしないが、低成長、低収益の課題事業になった。もはや『大胆な決断』をしないと立ち行かない」

日立と経産省の
バーター人事


 日立にとって原子力を含む重電事業は、屋台骨を担う本流ビジネスだった。茨城県日立市に企業城下町を形成する日立工場が発電機やタービンを製造し、駒井健一郎、吉山博吉、金井務、庄山悦彦と同工場出身者が歴代社長に就任。川村隆氏もその1人である。
 日立工場閥の貴公子だった川村氏は会長兼社長だった2009年、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ原発の受注競争で伏兵の韓国勢に惨敗を喫した苦い経験がある。時は民主党政権時代、「絶対に日本が受注する」と自信をもって民主党の政治家たちに説明してきた望月晴文経産事務次官(当時)は面目を失った。この時、経産省でインフラ輸出担当の審議官だったのが、安倍晋三首相の寵愛を受ける今井尚哉首席秘書官である。そして今井氏と民主党政治家の間を取り持ち、原発輸出のイデオローグとなったのが、国際協力銀行の前田匡史氏(現副総裁)だった。今に至るまで原発輸出はこのコンビに高橋泰三経産省官房長を加えた“原発マフィア”が仕切っている。
 川村氏は翌10年に社長職を中西氏に譲って会長に退き、12年には望月元事務次官を社外取締役に招聘した。日立のお荷物的存在だった古川一夫元社長は、経産省が所管する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事長に引き取ってもらった。このバーター人事をきっかけに日立は経産省と緊密な絆を築くようになっていく。その延長線上にあるのが、川村氏の東京電力ホールディングス会長への就任である。
(以下、本誌をご覧ください)
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