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乾期には干上がってしまう土地を10〜15キロ歩いて水汲みに行くバングラデシュの子供。
(写真WaterAid/GMB Akash/Panos)


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消費者意識の改革に取り組む花王は小学校への出張授業もやっている

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■〈シリーズ〉企業の水リスク対策(1)
 ──橋本淳司(水ジャーナリスト)


製品使用時のリスク低減を図る
ユニリーバ、花王の取り組み

■企業は製品の生産でどのくらいの水を使うのか。そこに目を奪われがちだが、それだけでは
水リスクへの対応が遅れる。その製品でユーザーがどれだけの水を使うのかが大きな問題だ──

操業に伴う全水リスクを
認識する企業は62%


 今年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で政財界のリーダーや研究者ら約750人を対象にした「世界が直面するリスク」についての意識調査が公開された。今後、人類が直面するリスクで「影響が大きい」と考えられるものの1位が「地球温暖化対策失敗」、2位が「大量破壊兵器」、3位が「水不足」だった。地球温暖化は水循環に影響を与え、干ばつや豪雨災害を引き起こすから、「水問題」がリスク・トップ3の2つを占めたともいえる。
 企業活動に水は不可欠で、温暖化や水不足は工場の操業だけでなく、原材料を生産するための水、製品を購入した顧客が使用時に使う水など、サプライチェーン全体にリスクをもたらす。水リスク対策に動き出した日本企業の動きをレポートする企画の1回目は、もっとも見えにくいとされる製品使用段階の水リスク対策を考える。

              ◇

 企業の生産活動には水が不可欠だ。工業用水の約八割は冷却や加熱用水として使用され、次に製品処理や洗浄に使用される。業種別では化学工業と鉄鋼業での使用量が多く、総使用量の六割以上に相当し、それに続くのがパルプ・紙・紙加工品製造業である。生産拠点周辺が水不足になれば生産活動に赤信号が灯る。グローバル化の進展に伴い世界各地に日本企業の製造拠点、原材料生産地があるが、多くの国で水環境は悪化している。
 国連は『2014年 世界水発展報告書』で、「世界中で、推定7億6800万人が改善された水源に依然としてアクセスできずにいる。概算では、水に対する権利が満たされていない人の数は35億人にも及ぶ可能性があり、25億人の衛生状態は改善されないままである」としている。
 今後は気候変動や水需要の増加により、2050年には、世界の人口の少なくとも40%を超える人々が水ストレスのある地域に住むことになると予想されている。企業活動においても現在のように水を使うことは難しくなるだろう。
 ロンドンの非営利団体CDP(旧団体名はカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)は機関投資家(617社、運用資産総額63兆ドル=15年現在)を代表し、企業に環境リスクへの対応戦略の開示を求めている。投資家にとって企業が水リスクを抱えているかどうかが投資先選定の判断材料になるからだ。水リスク認識や対応戦略を問う「CDPウォーター」は15年に世界の上場企業1073社に質問書を送付。日本企業は150社(時価総額を基準に選定)のうち73社(49%)が回答した。そのうち直接操業・サプライチェーンにおける水リスクを認識している企業は62%、認識した企業のうち対応戦略に取り組み始めた企業は64%だった。

衛生的な暮らしに関連する
消費材メーカーの水リスク


 サプライチェーンにおける水リスクの中で気づきにくいのが製品使用時の水である。
 これは個人の水使用量と密接な関係がある。人が生きていくには1日2リットル程度の飲み水が必要だが、生活全般を考えるとそれだけでは不十分で、衛生的な暮らしのための水が必要だ。国連は、「人間らしい生活」を続けるために1日1人当たり50リットルの水が必要とするが、その内訳を、飲用と炊事に5リットル、トイレに20リットル、シャワーに15リットル、洗濯に10リットルとしている。衛生的な暮らしのための水が90%を占め、これが不足すると病気が蔓延したり、健康状態が悪化したりする。
 衛生のための水は都市化とともに増える。日本における1日1人当たり水使用量は289リットル(11年)。東京都水道局の「家庭での水の使われ方」調査によると、風呂・シャワー40%、トイレ22%、炊事17%、洗濯15%、洗面・その他6%だった。1人当たり水使用量289リットルを元に考えると、風呂・シャワー115リットル、トイレ63.58リットル、炊事49.13リットル、洗濯43.35リットルとなっている。比較的水のある日本でも、水の少ない国・地域でも、飲用の量はほとんど変わらないが、衛生的な暮らしの水は「快適さ」「清潔さ」を求めるライフスタイルの変化とともに爆発的に増える。
 こうした水使用に関係するのが、消費材品、衣料品、トイレなどに関連する企業である。とりわけ消費材メーカーの石鹸、シャンプー、洗剤などと水利用は大きく関係している。水事情が厳しくなると製品利用に大きな影響が出るだろうし、マーケットの拡大は頭打ちになる可能性も高い。では、当の消費材メーカーは水リスクにどう対応しているのか。
 ユニリーバは世界約190カ国にヘアケア製品、スキンケア製品などの日用品を提供している。同社が主要1600製品の「ウォーターフットプリント」(製品の製造から流通、使用にいたるまでの過程で使用した水の総量)を調査したところ、製品使用時の水使用量が全体の50%を占めた。そこで、08年を基準とした「製品1回当たりの水使用量」を20年までに半減するという目標を掲げ、すすぎが1回ですむ柔軟剤入り洗剤など水使用量の少ない製品開発に注力している。
 花王でも主要製品のウォーターフットプリント調査を行ったところ、製品使用時の水使用量が全体の90%を占めた。
「花王は『きれいにする』を提供する会社ですが、お客様が十分に水を確保できないとシャンプーや洗剤を使えなくなる可能性があります。そこで水使用量の少ない製品開発をスタートさせました」(同社サスティナビリティ推進部・エコ戦略推進グループ部長 金子洋平氏)
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