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リニア実験線の巨大なトンネル工事。溢れる地下水を流すバイパスには滝のような水が流れる(右下)


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実験線の影響で沢は枯れ、魚やカニの死骸が転がる


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■企業の水循環への責任


「夢の超特急」リニア中央新幹線が
日本の豊かな「水」を奪う可能性

■日本の豊かな自然は恵まれた水資源のおかげである。その「水」が奪われてしまう可能性のある開発に対して、企業は慎重を期すべきだ──(水ジャーナリスト・橋本淳司)

「薔薇色の明日」を
リニアはもたらすか


 最高時速505キロ、品川─名古屋間を40分でつなぐ「夢の超特急」リニア中央新幹線が10月にも着工される。事業主体のJR東海は環境影響評価(アセス)書と工事実施計画書を8月下旬に国土交通省へ提出済みだ。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポートでは、品川─名古屋間が開業した後の経済効果は、2050年までに10.7兆円、大阪まで一括で整備された場合は16.8兆円と報告されている。その内訳は、まずは「夢の超特急」を目当てにした外国人観光客などの増加によるもので、東京・名古屋・大阪だけでなく、途中駅周辺でも観光を中心に経済効果が見込まれるとされる。
 また、東京─名古屋間は40分、東京─大阪間は1時間という移動時間の短縮に伴って、仕事の効率がアップし、経済活動が活性化する効果も大きいとされる。
 それだけに、リニア中央新幹線に対する地元自治体の期待は高まる。今年になって京都市が、駅誘致に前のめりになった。「京都駅ルートが実現した場合の経済効果が年間810億円。現行案の奈良ルートと比べ約2倍になる」という独自の試算を公表し、リニアのルートを呼び込もうと必死になっている。
 そもそもリニア中央新幹線とは、時速約500キロで品川、名古屋、大阪を一直線で結ぶものだ。走行方式は「超伝導磁気浮上方式」。リニアモーターをマイナス269度まで冷やし、そこに電流を流して超伝導状態にし、側壁の磁石との間に生じる強い磁気により、車体を浮かせて走行する。
 品川─名古屋間は平成39年(2027年)開業を予定し、平成45年に大阪延長をめざす。JR東海が8月26日に公開した「中央新幹線品川・名古屋駅間の工事実施計画書」によると、品川を出発すると、神奈川県相模原市、山梨県甲府市、長野県高森町、飯田市、岐阜県中津川市という中間駅を経て名古屋に到着。全長286キロメートルの工程だが、都市部では大深度の地下トンネル、南アルプスの山並みでは直下に大トンネルを穿ち、経路の約八割が地下を走る。
 リニア中央新幹線の地下構造は、01年に施行された「大深度法」が適用される数少ないプロジェクトの1つになる。地下40メートル以下を大深度と定め、都市部では地上の地権者の権利が一部制限され、公共使用の場合は原則的に補償の必要がなくなる。これまでに同法が適用されたプロジェクトは、東京外郭環状道路(外環道、関越自動車道─東名高速道路間)と神戸市の大容量送水管整備事業で、リニア新幹線が3例目となる。

リニア実験線で
相次ぐ水涸れ


 歓迎の声がある一方で環境への影響やコスト、エネルギー効率について疑問視する意見も根強い。
 その1つがトンネル工事による水涸れだ。山梨県笛吹市のリニア実験線周辺には水が音を立てて流れる場所がある。静かな山の中でコンクリート水路を水が流れていく。トンネル工事の際、水脈にぶつかると構内に水が溢れる。そうなると工事に支障を来すのでコンクリートのバイパスをつくり、ほかの場所に移す。その水が音を立てて流れていく。
 すると別の場所で水涸れが起きる。すでにいくつもの沢が消えた。干上がった地面に、水で削られ丸みを帯びた石と、魚やカニの死骸が転がっている。
 井戸水や河川の渇水・減水も相次いだ。地下水の豊富な地盤にトンネルを掘削すると、風呂桶の底に穴が開いたようになり、地下水が漏れ出すことがある。大量の出水により掘削工事は難航し、地下水を使っていた人々は水に困る。
 平地の場合、砂や礫の層にある隙間に水が流れる。平地にトンネルを掘る場合、既存の井戸があれば観測記録やボーリング資料などをもとに計画を立てることができる。今回も「シールド工法」という砂利を掘ったそばから既成の壁を組み立て、地下水がトンネル内に漏出するのを極力小さくする工法が採用されている。
 しかし、山岳トンネルの場合は、簡単ではない。地下水が岩盤の亀裂の中に含まれているからだ(火山地帯を除く)。これを「裂(れっ)か水(すい)」と呼ぶ。地下深い岩盤内にどのように亀裂が入っているのか、裂か水がどの程度存在しているかを事前に把握するのは難しい。山岳トンネルを掘る時には、機械で岩を掘り崩し、一定の長さを掘り進めたところで壁にコンクリートを吹きつける。さらに鉄棒で岩盤に密着させ、防水シートを張り、コンクリートで内壁を構築する。あるいは徹底的にトンネル周辺の水を抜く。しかし、どこに水があるのかを正確に予測するのは難しく、結果として水脈を切断する可能性がある。
 笛吹市御坂町の水源である一級河川「天川」は枯渇した。同市八代町竹居の門林地区9世帯が使っていた井戸水は明らかに減った。応急対応で市の上水道に接続しているが、住民に話を聞くと、「工事前に井戸水が減ったことは1度もなかった」と言う。
(以下、本誌をご覧ください)
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