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■労働環境


「ユニクロvs.文春裁判」から浮かび上がる
「ブラック」な長時間労働の過酷な実態


■労働実態を取り上げた記事で名誉を傷つけられたと訴えた「ユニクロ裁判」は、3月末の控訴審判決でユニクロ側の控訴を棄却。大手メディアがなぜか伝えない注目裁判で見えるのは──

 カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、同社の国内店舗や中国工場の労働実態を取り上げた単行本などで名誉を傷つけられたとして、発行元の文藝春秋に計2億2000万円の損害賠償を求めた、いわゆる「ユニクロ裁判」の控訴審判決が3月26日、言い渡された。
 同判決は、昨年10月の東京地裁判決に続いて、国内店舗のサービス残業などを指摘した記述について「重要な部分が真実である」とし、中国工場の長時間労働などを指摘した記述についても「重要な部分が真実であると(ジャーナリストが)判断したことには相当な理由がある」とし、控訴を棄却した。ユニクロ側の「2連敗」である。
             ◇
「判決を言い渡します。主文。控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する」
 井上繁規・裁判長の声が、東京高裁民事808号法廷に響いた。20数人の傍聴人がどよめく。被告の文藝春秋関係者に満面の笑みが浮かんだ。
 問題となったのは、フリージャーナリストの横田増生氏が取材・執筆した「週刊文春」2010年5月6、13日号の「ユニクロ中国『秘密工場』に潜入した!」と題する記事と、11年3月25日出版の単行本『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋刊)である。
 ユニクロは周知のように、人件費や商品価格が格段に安い中国などの工場に生産を委託し、それを日本に逆輸入する方法で、国内産業の空洞化を進めながら、巨大な利益を上げてきた大企業の1つである。
 横田氏の著作によると、それだけでなく、国内店舗や中国工場で、「ブラック」と批判されるような、法律を無視した長時間労働やサービス残業を従業員にさせ、さらなる利益を挙げていることになる。
 東京高裁の民事記録閲覧室で「ユニクロ裁判」の記録を調べた。

国内ユニクロ店舗でも
サービス残業はあったか


 横田氏は単行本に次のように書いている。
「先の現役店長(30代の現役店長)はこう説明する。『…2007年4月以降は、店長が月間240時間以上働くことは禁止されました。上限を超えて働けば、出勤停止となります。…11月や12月の繁忙期となると、今でも月300時間を超えています。そんな時は、タイムカードを先に押して、いったん退社したことにしてから働いています。本部ですか? 薄々は知っているんじゃないですか』」
 これらの国内店舗のサービス労働の記述について、ユニクロ側は猛然と否定した。
 原告・ユニクロ側の「訴状」(11年6月3日、東京地裁に提出)は言う。
「(国内の)営業店舗において法律を無視した長時間過重労働を強制しているという記述内容は、ことごとく事実に反する。…内部通報制度を通じるなどしてサービス残業が発覚した場合には、原告社内の懲戒委員会において審議の上、降格処分や減給処分などの極めて厳しい処分をとっている」
 ところが、「訴状」で言及し、ユニクロが自ら裁判所に提出した懲戒委員会の「サービス残業処分事例(09年9月〜10年8月)」には、6件のサービス残業の存在が明記されていた。
 それでもユニクロ側は、12年9月6日に東京地裁に提出した「第5準備書面」で主張する。
「被告は、…(懲戒委員会資料の6件の事例について)これがサービス残業が横行している証左だなどと主張するが、この…6件は、…原告ユニクロ全店舗(808店舗)、1万8409人の従業員に対するサービス残業に関する処分事例の全てであり、この数字がいかに小さいものであるかは常識的に理解しうるものである。社会的には、無いに等しい」

違法な長時間労働は
中国工場であったのか


 横田氏は単行本で、ユニクロの中国生産工場について、次のように書いている。
「安徽省出身の沈静(17)と孫澤申(18)いずれも仮名は、地元の同じ中学校を卒業した後で、申洲針織有限公司(ユニクロの中国工場の1つ)に出稼ぎにきた。ユニクロのラインでアイロンがけをはじめて1年以上がたつ。『とくに先月(10年3月)は、午前0時や午前3時までの残業が何度もありました。でも次の日の仕事は朝8時にはじまるから、ほとんど眠る時間がありません。睡眠がとれないのが1番つらいですね。深夜の残業の時に、気分が悪くなって倒れた女の子もいました。…』」
 これらの記述も、ユニクロ側は「訴状」で全面的に否定する。
「中国の生産を委託している工場の労働環境が過酷なものであるとか、低賃金労働が行われているなどという事実も全く存在していない。…原告らは製造業者には、適法な労働環境を保持することを約する『生産パートナー向けのコードオブコンタクト』に合意することを求めており、定期的に工場におけるモニタリング調査を行うなどの活動を続け、不公正な労働実態が判明した時には、取引を中断するなどの措置をとってきた」
 この主張も、被告側が提出した、ユニクロによる「日本経済新聞」の全面広告(11年3月1日付)などで崩壊してしまう。
 ユニクロの全面広告は言う。
「もちろん、(中国工場での)過剰な残業時間や連続勤務の背景には、ユニクロの発注時期の遅れや急な計画変更のしわ寄せが生産現場に及んだと考えられる場合もあり、私たちも自らを厳しくチェックしなければなりません」
 それでもユニクロ側は、12年1月27日に東京地裁に提出した「第1準備書面」で次のように言い募る。
「ちなみに、被告は、日経新聞における広告内容を取り上げて、鬼の首でも取ったかの如く喜んでいる。しかしながら、この広告は、中国の生産委託工場に関して厳しい監視の目を及ぼしている事実を公表したものであり、『過剰な残業時間や連続勤務』が実際に存在している、ということを認めたものでもなんでもない」
 しかし、中国工場で長時間残業や児童労働など悪質な労働が多数存在することは、「訴状」が言及したモニタリング調査の結果として、ファーストリテイリング自身が明らかにしている(表参照)。
 例えば、直近の13年度の調査結果には、具体的な事例として次のような記述がある。「虚偽報告(中国)──定例モニタリングで、事実と異なる労働時間記録を提出していたことが発覚した。労働時間の記録では月の最長残業時間は36時間だったが、給与記録では最長105時間の残業が記録されていた」(同社「アニュアルレポート2013年」)
 事実がどうあろうと、“厳しい取り締まり制度があり、撲滅に努力しているのだから、長時間労働などは存在しない”とするユニクロの論理は主観的で説得力に欠ける。1、2審で敗訴したことがそれを物語る。
 それにもかかわらず、ユニクロ側は4月9日、控訴審判決を不服として、最高裁判所への上告手続きを行った。
 しかし、裁判に勝つことが本当に「ブラック企業」のイメージを拭い去る道なのだろうか。むしろメディアによる社会悪の取材告発を高額な賠償請求で黙らせる「スラップ(恫喝)訴訟」と思われるだけではないのか。
 今こそ会長兼社長の柳井正氏の見識が問われている。
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