ダミー
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 横田夫妻が孫に面会でも拉致問題解決に兆しなし

 北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの両親の滋さんと早紀江さんが3月10〜14日に、モンゴルのウランバートルで、めぐみさんの娘のキム・ウンギョンさん(26)と初めて面会した。そこにはウンギョンさんの娘である生後10カ月の赤ちゃんも一緒だった。
 しかし、この面会が日朝間協議の進展につながるかについては悲観的な観測が支配的だ。日朝関係に詳しい外務省幹部も「今回の面会実現は1つのエピソードにすぎない。これをきっかけに日朝交渉が進んでいくほど甘くない」と認めている。横田さんとウンギョンさんのやり取りからも、めぐみさんに関する新しい材料は出されなかったとされる。
 今後は「拉致問題を解決済み」とする北朝鮮が態度を軟化させるかが焦点となる。この点に関して飯島勲・内閣参与は、横田夫妻の面会について記者団から感想を求められると、「外交カードとしては失敗の策かもしれない」と懸念を示した。飯島氏は昨年5月の訪朝以来、外交当局を関与させず、安倍首相と金正恩・第一書記のトップ会談で「全面解決」する方策を模索してきた。しかし、今回の面会があくまで外務省主導だったことに、飯島氏は強い不満を抱いているわけだ。
 その外務省が何よりも気にするのが米国の目だ。これに関して日朝交渉に精通する元外務官僚の1人は解説する。「日朝交渉はどうしても拉致被害者がいる北朝鮮側が主導権を握る。核・ミサイル問題を最重視する米政府は日本の『拉致先行』を許さないだろう」。その辺りを踏まえて今後、首相がオバマ政権にどう説明し、理解を求めるかも重要だ。


 消費税再引き上げは衆院解散との駆け引き

 「7〜9月期の経済情勢を見極めて今年の12月に判断する」。消費税率を2015年10月に10%へ再引き上げするかについて安倍晋三首相はこう表明しているが、実際は「もう1つ重要な要素も考慮するだろう」との声が自民党内の一部でささやかれ始めた。「もう1つの要素」とは、衆院解散の時期だ。
 政界では現在、高い安倍内閣の支持率から、次期衆院選は16年夏の参院選とのダブルとみる向きが多い。しかし、その時に政権に強い逆風が吹いていれば、「衆参ともに敗北しかねないリスクがある」(自民党選対筋)のも事実だ。他の解散・総選挙のタイミングとして想定されるのは、(1)首相が自民党総裁選で再選を果たした直後の15年秋、(2)16年1月の通常国会冒頭、(3)新年度予算成立後の16年4月、(4)参院選後の16年秋から任期満了の12月──の4つ。このうち、首相が年末に消費税率の再引き上げを決断すれば、その影響で(1)は事実上消える。
 だが、首相に近い自民党議員は「ダブル選はない。逆風でなければ、憲法改正を争点に来年秋に解散だろう」と指摘する。
 そもそも、衆参の選挙や党総裁選の前には来年4月の統一地方選もあり、「重要な選挙、政治日程がいくつも控えていると、国民に痛みを課す決断はしづらい」(民主党実力者)といえる。もし首相が年末に見送りを決断した場合、「経済の失速回避」を理由に挙げるのは確実だが、同時に、解散のタイミングも考慮したのは間違いない。その時は、憲法改正を争点にした「来年秋の解散」が一気に現実味を帯びてきそうだ。


 憲法解釈変更を急ぐ背景に法制局長官の健康問題

 小松一郎・内閣法制局長官が、筋金入りの集団的自衛権行使容認論者であるのは周知の通りだ。最近、国会内の廊下で共産党議員と口論し、自民党幹部から「振る舞いが度を越している。節度あるやり取りを」と注意された。安倍首相は1月末の衆院予算委で集団的自衛権の行使容認問題について、容認の解釈変更を夏までに閣議決定し、同時に関連する自衛隊法を改正すると表明した。戦後初の憲法解釈変更にしては拙速すぎるが、首相官邸高官によると、小松長官の健康問題が影響していた。
 1月24日、小松長官は都内の病院に検査入院し、末期の胃がんであることがわかった。首相官邸は、長官不在の国会審議が長期化するとして、2月初め後任人事の検討を始めた。小松長官は官邸の動きを察知したのか、病床から首相に宛て「命に代えてでも解釈変更を自分の手で行います。私の職務を解かないでほしい」と直訴。首相は「戦死を覚悟している」と感動し、続投を決めた。
 小松長官は2月24日、悲壮な覚悟をもって職場に復帰した。痩せ衰えていたが、菅義偉・官房長官は記者会見で「週に1回程度の通院で済み、職務に差しさわりはない」と平静を装った。しかし、首相周辺は「国会審議中に倒れる事態もありうる」と最悪の事態まで想定している。
 政権運営とは情にほだされて行うものなのか。そのテーマは、半世紀以上も続いてきた憲法解釈を変えることである。1人の人間の死と引き換えに急ぐ課題ではないはずだ。存命期間と競争するより、まず国民の声をじっくり聞くことから始めるのが当然だろう。


 集団的自衛権行使容認へ、「北朝鮮」名指しで煽る首相

 憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認を目指す安倍晋三首相は2月10日の衆院予算委員会で、「北朝鮮が米国を攻撃し、北朝鮮に武器弾薬が運ばれている。輸送を阻止できるのに阻止しなくていいのか」と述べ、「国の固有名を挙げないほうがいいが、多少わかりやすく話をするために北朝鮮という例を挙げた」と述べた。
 だが、防衛省幹部は「北朝鮮が米国を攻撃する可能性より、米国が北朝鮮を攻撃する可能性のほうがずっと高いが、いずれにしても米国と北朝鮮の戦争であれば、全国に米軍基地を抱える日本は戦争に巻き込まれている。日本有事になれば、米軍を守るのは個別的自衛権で可能になり、集団的自衛権を持ち出すまでもない」と言う。
 日本有事に至らない場合でも、武器弾薬を乗せた船舶を阻止するのは「海上警備行動」の発動により可能となる。日本有事になりそうな場合は「周辺事態」を認定すれば、船舶検査法に基づき北朝鮮へ向かう船を阻止できる。
 同幹部は「戦争になれば、米国は最初に北朝鮮の港湾に機雷をまくだろう。それで船舶の入港はできなくなるし、米国まで届く弾道ミサイルを北朝鮮は持っていない」とたとえ話の矛盾点を指摘する。
 安倍首相は「北朝鮮」の名前を出せば、国民から支持されると考えたのだろう。日本は首相が国民の不安を煽る珍しい国になった。


 難航するTPP交渉めぐり農業改革で4つ巴の暗闘

 環太平洋連携協定(TTP)交渉は、日本が農業関税五分野の死守にこだわるのに対し、米国があくまでも原則撤廃を求めて最終攻防を繰り広げ、全く予断を許さない。日本国内では、その争点の農業の競争力強化のための改革をめぐって4つ巴の暗闘が行われている。
 その4つ巴プレーヤーの中心にいるのは首相官邸。そこに政府の規制改革会議、自民党農林族、全国農業協同組合(JA)中央会が加わる。
 このうち首相官邸は、TPPをアベノミクス成長戦略の要(かなめ)に位置付けているため、農業がらみで交渉決裂という危機シナリオを回避し、日本主導で有利な譲歩をとりつけたいのが本音。そのためにも譲歩に備えて大胆な改革で農業を成長産業にする競争力強化政策を打ち出す構えだ。その布石に政府の規制改革会議、産業競争力会議、経済財政諮問会議の3機関と連携して改革推進態勢づくりに躍起だが、この3機関は、農業改革については首相官邸に近い立ち位置にいる。
 問題は残る2つ。JAは改革にネガティブな守旧派が圧倒的に多いが、往時の影響力はないため、農業改革には前向きであることを示してJA組織の温存を図りたいのが本音。
 これと連携姿勢をとるのが、JAグループに政治票田を仰ぐ自民党農林族議員だ。コメの生産調整(減反)廃止政策を打ち出す首相官邸中心の政高党低状態に危機感を深め、党主導の政策決定に戻そうと躍起だ。ただ農政通の石破茂・幹事長が改革志向でいるだけに、JAグループ温存派の農林族も1枚岩ではない。最後は石破氏がどういう落としどころで臨むのかが焦点で、農業改革をめぐる4つ巴の出口は複雑だ。


 東電新生プラン「総特」、東電債務めぐる神経戦続く

 東京電力の新総合特別事業計画(以下、総特)が認定された。いわば「東電新生プラン」と位置付けられるもので、「閣議決定に従い、東電も自らの役割に沿って全力で『1歩前に出る』とともに、関係者に必要な協力を求める」と謳われている。
 総特の中身は多岐にわたるが、焦点となるのは金融機関への協力要請の部分だ。取引金融機関は借り換え等を含め与信残高を維持する一方、総特に基づく2兆円の新規与信に応じることと、分社化、HDカンパニー制を了承し、かつ、既存の債務の借り換えごとに一般担保を外していく一方、新たな与信には一般担保を付さないことが明記された。
 中でも主要取引金融機関が神経を尖らせているのは、私募債形式による融資の取り扱いだ。大震災前まで東電の資金調達は公募社債が中心で、銀行融資はその補完的な位置付けにあった。しかし、震災を受け社債調達がストップする中、主要金融機関は2011年3月末に約2兆円の緊急無担保融資を実行し、東電を支えた。その後、社債の償還資金の融資等で採られているのが、私募債形式による融資である。これは東電が特別目的会社を通じて私募債を発行し、それを担保に金融機関が融資に応じているもので、このスキームにより金融機関は一般の債権者に対して優先的に返済を受けられる一般担保を確保している。
 だが政界の一部には、金融機関が一般担保を有していることは、東電が経営破綻した場合、被災者・被災企業に優先して弁済を受ける権利を有しているようなもので、即時に見直すべきとの意見も根強く、「取引金融機関には貸し手責任があり、債権放棄に応じるべき」との強硬意見も聞かれる。総特はまとまったものの、東電債務をめぐる神経戦は続く。


 「虎の子」技術流出の裏に技術者への低すぎる待遇

 東芝の半導体メモリーの技術情報が韓国の半導体大手、SKハイニックスに不正流出されたとして、東芝の提携先である米サンディスクの元技術者が不正競争防止法違反容疑で逮捕された。
 杉田吉隆・容疑者は米韓など複数の半導体メーカーを経て、2003年にサン社に転職。半導体の故障原因を解析する研究を担当し、07年から退職直前の08年までの間、東芝の「NAND型」フラッシュメモリーの研究データを無断でコピーし続けていたという。NAND型フラッシュメモリーはスマートフォンなどに使われるもので、東芝の大きな収益源となっており、被害総額は1000億円ともいわれ、東芝はSKハイニックスに損害賠償を求めている。
 韓国との間で特許など知的所有権をめぐる争いで記憶に新しいのは、新日鉄住金が、同社の電磁鋼板技術が不正に韓国製鉄大手のポスコに流出したとして1000億円の損害賠償を起こしている事件だが、東芝や新日鉄住金のように事件が表面化して明らかになるケースは希だ。ある大手電機メーカーの幹部は「韓国をはじめとする他国への技術流出は日常茶飯事に近い」と打ち明ける。
 最近では日本の「虎の子」技術の象徴とされる車載電池でも、東芝と同じような技術流出が疑われている。
 問題となっているのは昨秋退社したパナソニックの車載電池の開発者。トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン、米ゼネラル・モーターズなど大手自動車メーカーに一目置かれる技術者で、三洋電機の出身者だった。この人物は自宅をすでに引き払っており、今も行方不明だ。
 経済産業省は日本企業の「虎の子」技術を守るため、不正競争防止法を段階的に強化してきた。しかし、企業に対する罰金は最高で3億円と、米国の3割強にとどまる。個人の罰金も最高1000万円で、上限がない米国などと比べて抑止が働きにくい。さらに政府は、技術を国外流出させた場合の罰則を強化する検討を始めたが、技術を持ち出す者に共通するのはリストラや会社の待遇に不満を持つ点で、韓国メーカーのある幹部は「高度な技術を持つのに、日本は技術者への待遇が低すぎる」と言う。日本メーカーは技術者への公平な評価や待遇を考え直す必要がある。


 STAP細胞の疑惑生んだ理研の“不都合な真実”

 「ノーベル賞級の大発見」から一転して「捏造疑惑」まで浮上する「STAP細胞」。「理化学研究所」(理研)の小保方晴子・ユニットリーダーらが科学雑誌「ネイチャー」に掲載した論文からはデータの改竄や他の論文の丸写しが見つかり、いまだ論文通りに「STAP細胞」を再現できた研究者もいないという。問題の背景を探ると、理研の“不都合な真実”が浮かび上がる。
 実験は、理研のスタッフを中心にした4チーム12人で行われた。中でもまだ若い小保方さんを助けて「2人3脚」で論文を書き上げたのが、小保方さんが所属する理研「発生・再生科学総合研究センター(CDB)」の笹井芳樹・副センター長だった。
 再生医療の研究者の1人はこう説く。「実のところ、小保方さんがやったようなデータ改竄などを共著者が見抜くのは難しい。研究の世界は共同研究者の“不正”を疑わない“性善説”で成り立っているためです。ただし今回、笹井さんが執筆を主導したとなると事情は異なる」。
 笹井氏は、今年1月に開かれた「STAP細胞」論文の発表会見の“演出”も担当。小保方さんが祖母譲りの割烹着を着て実験することや、研究室の壁をピンクや黄色に塗り替えることを発案したとも報道された。さらに会見では、同じ万能細胞で、京大の山中伸弥教授が開発した「iPS細胞」と比較する資料まで配布、「STAP細胞」の“優位性”を強調したのだった。
「笹井氏は再生医療の第1人者で、以前は山中教授とライバル関係にあり、むしろ格上だったのです。ところが、iPS細胞の登場で立場は逆転し、山中教授はノーベル賞を受賞。研究予算もiPS細胞ばかりに流れていた。対抗心があったのは間違いない」(前述の研究者)
 その笹井氏、今春のセンター長就任が取り沙汰されていた。功を焦ったことで論文の吟味が疎かになったようにもみえるが、同じことがノーベル賞科学者でもある野依良治・理研理事長にもいえるかもしれない。
 野依氏の目下の課題は、国が新設する「特定国立研究開発法人」に理研が選ばれるかどうかだった。国立のスーパー研究機関といえる存在で、選ばれると予算などあらゆる面で優遇されるが、選から漏れると「二流」の烙印が押されかねない。理研関係者の「民主党の蓮舫議員に『2位じゃダメなんですか?』と理研のスパコン事業がコケにされ、仕分けされそうになったのを覚えていますか。特定法人への“格上げ”は理研にとって死活問題で、存在感を示す必要があった。しかも、野依氏が理研トップに君臨してすでに10年余り。一部には交代論もあったといわれ、『STAP細胞』の発表は野依氏にとっても絶妙のタイミングだったのです」の証言は重い。


 クラウドファンディング解禁、リスクマネー活性化に不足

 金融庁はリスクマネーの活性化に向けた金融商品取引法の改正案をまとめた。今国会での成立を目指す。ネット上でクラウド(大衆)を対象にベンチャー企業が資金調達を行えるように仲介事業者の参入規制を緩和し、上限50万円までなら誰でも未上場企業に投資することを可能にする。これにより技術やノウハウ、アイデアを持ちながらも資金のめどがつかなかったベンチャー企業に資金調達の道を開く。アベノミクスが目指す成長戦略の一環だが、投資家保護の観点に立った規制も多く、スモールビキニングに徹した内容。リスクマネーの活性化という点では力不足の感は否めない。
 日本は1600兆円(2013年9月末現在)という膨大な個人金融資産を抱えている。野村資本市場研究所によると、その内訳は預貯金が54%、保険と年金が27%、リスク資産である株式や債券、投資信託など有価証券は合計で15%弱にとどまっている。これに対して米国は、債券や株式、投信などリスク資産が全体の40%弱で、預貯金はわずか13%弱。リスク商品での運用は50%を超えている。
 この違いは、戦後、間接金融(銀行)に優位性を与えることで重工業を中心に経済再建を目指した日本の資本政策に起因している。日本はリスク資産である直接金融(証券)を脇に追いやることで少ない資金を金融機関に集め、傾斜配分など資金の効率的な活用を図ってきた。
 この差別的な資本政策が戦後の日本を高度成長に導いたのだから、政策としては時宜にかなった合理的な選択だった。だが、高度成長を経て金融資産大国になった今、この“成功体験”が足枷となって、リスク資産市場は停滞したままである。
 それだけに投資型クラウドファンディングの解禁は、日本の資本市場にとっては画期的なもの。とはいえ、個人投資家が本当にリスクを取るのか。今回の解禁スキームは安全運転に力点がかかりすぎている。
 リスクと自己責任に基づいた制度としては確定拠出年金(日本版401k)がある。導入から10年以上たつが、加入者の6割は依然としてリスク資産を忌避し、安全資産である預貯金での運用を選択している。
 クラウドファンディングは401kとの比較ではリスク性ははるかに高い。投資の上限規制を設けているとはいえ、その市場に個人の金融資産を誘導するのは決して簡単ではない。下手をすると、新規参入した事業者がAIJ投資顧問のような詐欺行為に手を染めかねない危険性すらある。腰を据えてリスクマネーの活性化を目指すなら、暴力団や詐欺行為の排除など仲介事業者に関する規制は当然としても、投資家保護に関する規制は不要である。必要なのは、リスクを承知の上でベンチャー企業に投資する個人投資家の優遇策だ。例えば、他の資産との損益通算を認めるだけで日本のリスクマネーは一気に活性化するはずである。
 日本の個人金融資産の6〜7割は高齢者が所有する。リスクマネーの活性化には、こうした世代の資金を取り込む必要がある。この世代はリスクに対する耐性が強い。金融資産の構成も多様化している。クラウドファンディングで損失を出しても、株式や投信の利益で損益通算できれば継続的な投資が可能になる。リスクマネーを活性化する条件は投資家保護ではない。リスク投資のインセンティブを高めることである。


 NOVAの二の舞かリソー教育が売上高水増し

 個別指導塾「TOMAS」などを展開する「リソー教育」は6年間にわたり売上高を約83億円水増し計上していた問題で、証券取引等監視委員会は3月7日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで4億1477万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した。
 監視委によれば、リソー教育は実施しなかった授業分の料金を、返還義務の生じない「当日欠席」に見せかけて売上高を過大に計上。また、子会社の「名門会」は、無料や割引で提供していたサービス授業について正規料金で売上を計上していた。
 一方、リソー教育は元名古屋高検検事長を委員長とする第三者委員会を設置し、2月に過大計上を認定する報告書をまとめた。これを受け有価証券報告書を訂正するとともに、昨年9月に就任したばかりの伊東誠社長ら代表取締役3人が責任をとって辞任した一方、創業者で大株主の岩佐実次会長が会長兼務の形で社長に復帰した。しかし、過去の売上の過大計上を勘案すれば、リソー教育は一時債務超過であった可能性が高く、財務の立て直しは容易なことではない。3月10日には東証がリソー教育を特設注意市場銘柄に指定した。
 監視委は、当初は同社の粉飾が長期にわたり組織的かつ悪質とみて刑事告発することも検討した。しかし、強制調査に乗り出せば、利用者への返金が遅れ、契約者保護が図れない可能性があるとして課徴金納付命令に切り替えた経緯がある。
 メインバンクの三菱東京UFJ銀行はじめ取引金融機関はひとまず静観しているが、社債の償還もあり、返金請求が急増すれば事態は急転しかねない。
 金融界では07年に経営破綻した英会話塾「NOVA」の二の舞となりかねないと懸念されている。


 野村・大和グループで相次ぐ女性トップ&取締役

 野村ホールディングス執行役員の真保智絵氏(48)が、4月1日付で野村信託銀行の社長に就いた。女性の積極登用はアベノミクスの核の1つで、「なでしこ銘柄」入り狙いのパフォーマンス的な側面も否めないが、証券最大手の野村ホールディングスから、グループ会社とはいえ女性トップ誕生が大きな話題になった。
 一方、アベノミクスとは関係なく、早い段階から女性の登用を進めてきた大和証券グループ本社は、内心出し抜かれたという思いもあったろう。その推進役が2004年から11年まで社長を務めた鈴木茂晴会長。社長就任当初から女性の積極活用を表明し、09年には傘下の大和証券や大和総研で一挙に4人の女性役員を誕生させた。この6月には本丸の大和証券グループ本社でも初の女性取締役が誕生する。09年から執行役員を務めてきた田代桂子氏(50)だ。86年に総合職で入社した後、国際引受部を皮切りに、89年から2年間、米国のスタンフォード大学のビジネススクールに留学してMBA(経営学修士)を取得。シンガポール、ロンドンと海外赴任が続き、最近は常務執行役員で事業法人担当や米州担当、大和証券キャピタル・マーケッツアメリカホールディングスインク会長を歴任した。
 今回、田代氏は海外副担当の取締役となる。50歳という若さもあり、日比野隆司・現社長の後継候補の1人に浮上した。日比野氏は東日本大震災後直後の11年4月に登板。常識的な任期3期6年なら、あと3年で後継者を絞り込むことになる。田代氏は社内きっての国際派で、ポスト日比野としての資格は十分ある。


 読売社内で不協和音生む2人の女性執行役員誕生

 読売新聞東京本社で今春、初めて2人の女性執行役員誕生が内定した。6月の同社株主総会後、発令される。白石興二郎社長が進める「女性の管理職積極登用」と「執行部若返り」の一環で、南砂(みなみまさご)・編集局総務と福士千恵子・メディア局次長が昇格予定だ。ただ、2人の登用には、社内の一部から不満が漏れ始めている。
 白石社長は政治部の出身。安倍晋三首相とも親しく「女性登用」では、意見が一致。が、社内の批判の矛先は2人の適格性に向いている。南総務は日本医大卒で医師免許を持ち、1985年採用の途中入社組。解説部、医療情報部長などを歴任した。「突然の入社過程はどうだったのか。それに編集局的にいえば、抜いた、抜かれたのない平穏なコース。見方にもよるが、取材力、原稿執筆力はどうなのかな」(同社幹部)。
 一方の福士局次長は早大政経卒で、83年の定期入社。山形支局から婦人部、生活情報部長などを経ての現職だ。「サバサバした性格だが、記者としての能力は並みの感じ。“女性登用”の掛け声に、無意識で本人も乗っていたのでは」(別の同社幹部)。
「南総務はここ数年、読売主催の医療シンポジウムなどで司会やコーディネーターを精力的に勤めている、いわば読売の“おもてなし”の代表格。執行役員入りは当然」(同社関係者)などの擁護論もあるが、こうした「人事の不満」の表面化は同社では珍しい。「新しもの好きの白石社長のグリップが緩んできたのでは」(事情通)との見方も出ている。


 新薬開発や買収でつまずきっ放しの武田薬品

 武田薬品工業は、降圧剤カンデサルタン(商品名ブロプレス)の宣伝で業界の自主ルールに違反する不適切な点があったことを認めて謝罪。しかし、長谷川閑史社長は「臨床研究のデータ改竄、捏造を行ったことはない」と断言し、「誇大広告」にも当たらないとの認識を示した。ブロプレスの2012年度の売上高は1696億円で、武田の最大の稼ぎ頭となっている。
 最近の武田は、このブロプレス以外でも失態が相次いでいる。その1つが、糖尿病治療薬の新薬候補品(パイプライン)の開発中止だ。次世代の糖尿病薬として15年度以降の発売を予定し、年商2000億円規模の大型新薬になるとみられていた。それだけに、「生活習慣病分野に依存する経営戦略の見直しを余儀なくされる」(大手証券アナリスト)とみる向きが多い。
 武田は、日米欧や南米、アジアなど約6200人の糖尿病患者を対象にした最終臨床試験(治験)を実施。しかし、一部の患者から肝機能の低下につながる可能性のあるデータが見つかり、肝臓専門の学者5人で構成する独立委員会がデータを分析していた。しかし、独立委が肝機能の低下につながるリスクを指摘したため、武田は開発中止を決めた。
 一方、11年に1兆円を投じて買収したナイコメッドも売り上げが伸び悩む。がんやうつ病などの新薬開発も進めているが、「投資に見合う成果を得られていない」(同)。いよいよ長谷川社長がヘッドハンティングした英グラクソ・スミスクライン(GSK)出身のクリストフ・ウェバー氏が社長に就任。このヘッドハンティングも期待外れに終われば、いよいよ武田の将来は危うい。


 黒船ハイヤー来襲でスマホ戦争が勃発

 スマホを活用してハイヤーを配車するサービスが注目されている。米ベンチャー企業、ウーバー・テクノロジーズの日本法人、ウーバージャパン(塩濱剛治社長)がこの3月から本格スタートさせ、専用のアプリケーション「ウーバー(Uber)」をダウンロードして登録すれば、スマホの地図上で場所を指定するだけで、ウーバージャパンが提携しているハイヤー会社が最寄りのタクシーを配車してくれるというもの。料金は最低金額800円で、毎分65円、1キロメートルごとに300円が加算される。支払いは登録したクレジットカード決済と、便利だ。
 ウーバー社は米国サンフランシスコのベンチャー企業で、2009年にサービスを開始、グーグルの投資ファンド「Google Ventures」が2億5800百万ドルを投資するなど、話題を呼んだ。すでに31カ国・地域の81都市でサービスを提供している。自社でハイヤーを所有するわけではなく、ハイヤー会社と提携しているところがビジネスモデルのミソ。いってみれば旅行代理店のようなもので、タクシー業界を規制している道路交通法や業界ルールに縛られずに、タクシー会社にはできない自由なサービスを展開できる。
“黒船”ウーバーの上陸に危機感を持った日本交通や大和自動車交通など6社は、共同で「スマホdeタッくん」を立ち上げて対抗姿勢を見せており、タクシー業界にもスマホ戦争勃発の様相を呈している。


 起死回生の新商品で採算悪化が心配なワタミ

 ワタミが展開する事業は「外食」「介護」「宅食」が3本柱。開示されている4〜12月期で見ると、宅食が「全般の低迷を下支えしている」と映る。だが同社の小田剛志・経営企画グループ長は、宅食の現状を「12月最終週の1日平均のお届け数は27万1000食と、前年同期に比べ1万8000食の増加にとどまりました」と、過渡期を迎えたことを示唆した。
 現に、ワタミと同様に居酒屋チェーンを展開するモンテローザの参入や、生協(コープ)、セブン・イレブンが店頭弁当とは別枠で宅食を開始するなどライバルが続出している。現状を知るアナリストは、「新規参入が容易な状況をつくり出したのは実はワタミ自身」とする。ワタミは「まごころ御膳」で先鞭をつけ斯界を開拓、伸長してきた。アナリストは、「要するに、おかずの種類・ボリューム、注文・支払い、チラシ広告の形態等でワタミスタンダードができ上がっており、それを踏襲するだけで参入を可能にした」と言う。
 ではワタミは今後、どう巻き返しを図っていくのか。拠点数は差別化の武器になる。が、その武器を活かすには差別化商品の投入が不可欠で、このほど横浜市・川崎市の市場に「まごころこばこ」を投入した。「まごころ御膳」は送料込みで540円。対する「まごころこばこ」は税込み474円。利用者側には、週5日配達で月間1310円の費用減となる。
 ただし「ワタミではまごころ御膳と変わらない満足感を味わっていただけるとするが、これが落とし穴にならないとも限らない」(前出アナリスト)という指摘もある。つまり、利用者の新商品への乗り換えが進むことでの採算の低下だ。宅食市場での勝ち残りを賭けたワタミの戦略は、吉と出るか凶と出るのか。


 グローバル化元年を迎えるソフトバンクの「扇の要」役

 全米3位の通信会社スプリントの買収に続いて4位のTモバイルUSをも買収の対象にするソフトバンク。業容拡大が著しいが、孫正義社長率いる同グループの扇の(かなめ)役が青野史寛・執行役員人事部長だ。「グループの人材配置は今、青野さんが孫さんの参謀役を務めています」と、ソフトバンクの中堅社員は語る。
 青野氏は子供の時に父が交通事故で死去。母の苦労をみて、高校卒業後、飲食店で働きながら予備校に通い、奨学金を得て慶応大を卒業。リクルートに就職し、江副浩正氏にかわいがられたが、リクルート事件に巻き込まれてしまう。リクルート在職中に新卒採用支援を手掛けた縁でソフトバンクに転職。ボーダフォン日本法人を買収後の、年間3000人もの大量採用に手腕を発揮した。
 同グループで若手幹部を発掘するソフトバンク・アカデミアという経営塾を開催し、その事務局を切り盛りしてきたのも青野氏だ。幹部候補生たちに孫氏の前で新規事業をプレゼンする機会が与えられる。
 そのアカデミアの席上で起きたのがヤフー社長交代の珍事だった。長期政権化した井上博雅・前社長下で若手中堅が続々流出する事態を憂いた村上臣氏が、孫社長に内部告発。それに衝撃を受けた孫氏の命を受けて、陰で動いたのが青野氏だった。ヤフーの体制を一新させ今の宮坂学社長以下、村上氏も含む新経営陣誕生に道を開いた。そのヤフーは「爆速」を掲げて快進撃を続けている。
 その青野氏が今取り組んでいるのが、4月以降の新体制の構築だ。スプリントの買収により、今までの日本中心の布陣を変えないといけない。シリコンバレーに1000人規模の研究開発拠点を築いたのを皮切りに、北米のソフトバンク子会社を強化し、日本から有為の中堅・若手を異動させ、国際化を推進している。「今年はグローバル化元年になる」。ソフトバンク幹部がこう語る中、青野氏に期待が集まる。


 会長選で露呈した薬剤師会のゴタゴタ

 昨年、公益社団法人になった日本薬剤師会が相変わらず揺れている。2月下旬の薬剤師会会長選挙で、異例の4選出馬した現職の児玉孝会長が副会長の山本信夫・東京都薬剤師会会長に敗れた。副会長として児玉会長を支えてきた人物が、「側近による強権政治を排する」と訴えたのだから内部の権力争いとしか見えない。
 このところ、薬剤師会には逆風が吹き続けている。2年ごとの調剤報酬改定では中央社会医療審議会で医療側から「儲けすぎだ」などの意見が噴出。結局、4月から実施される調剤報酬アップは消費税相当分程度しか認められず、実質ゼロ。さらに、高血圧や糖尿病などの重複慢性病患者には「主治医機能評価」として院内処方が認められてしまった。
 しかも、横浜市金沢区薬剤師会や東京薬剤師会、長野県薬剤師会上田支部、さらには調剤チェーン薬局経営者が集まる保険薬局協会から脱会・休止を突きつけられている。加えて、強硬に反対していた一般薬品のネット販売も認められてしまった。
 児玉会長の念願だった薬剤師会館建設についても、昨年2月には港区六本木の土地90坪を7億6000万円で購入したが、その予定地は会館建設には手狭なことが判明。隣接地の購入を地主に持ちかけたが「定期借地なら貸す」といわれて頓挫。薬剤師会の臨時総会で会館建設が否決され、窮地に追い込まれていた……。
 こんな四面楚歌の状態での会長選挙では児玉会長がいかに側近で固めていたとはいえ勝ち目は薄かったのかもしれない。


 ネット配信で挫折続きの日テレが「Hulu」買収

 日本テレビ放送網が、米国の動画配信大手「Hulu(フールー)」の日本向け事業を買収、今春から定額制の動画配信サービスに本格参入することを決めた。08年に設立された「Hulu」が日本上陸したのは11年秋。月額1480円で、映画、ドラマなど1万3000本以上のコンテンツを、パソコン、スマホなどを使って見放題にするサービスを展開してきた。米国では400万人以上の利用者を抱えるが、日本では加入者が増えず、12年春には一気に980円まで値下げしたものの集客にはつながらなかった。
 一方、日本テレビは、05年秋に鳴り物入りで有料の動画配信サービス「第2日テレ」を立ち上げたが、利用者が伸びず低迷。08年秋には完全無料モデルに移行したものの、コンテンツが貧弱なため事実上頓挫してしまった。10年暮れには、新たに有料サービス「日本テレビオンデマンド」をスタート、無料の「第2日テレ」を吸収して一本化を図ったが、これもまた低空飛行だった。
 有料動画配信サービスの市場は、18年度に1631億円、現状より65%増えるという明るい予測もある。実際、NTTドコモの「dビデオ」会員は400万人を超えるなど、通信各社の積極姿勢が目立つ。
 その一方で、本業の放送に気兼ねしてコンテンツを出し惜しみするテレビ局主導のサービスは旗色が悪い。「日本テレビ参入」で市場の景色は変わるが、「挫折」の不安は消えない。


 急拡大の太陽光発電、経産省が“バブル退治”

 過剰セールス、脱法の権利売買、違法勧誘、株価操作……。こんな“無法”がまかり通っているのが太陽光発電ビジネスの現場である。
「無料見積もりキャンペーンです」と言って老人家庭に上がり込み、証拠が残らないのをいいことに、「必ず儲かります」などと言ってしつこく勧誘、数百万円の安くはない契約を結ばせる。あるいは、太陽光発電の認定を経済産業省から受けたものの、事業をやる気などなく、権利売買でひと儲けを企む輩もいる。さらに、太陽光発電への進出を材料に株価操縦を企む証券関係者もいる。
 さすがに経産省も動いた。再生エネルギーで突出する太陽光発電への偏重を是正すると同時に、認定を受けながら事業を進めない悪質業者を排除する“バブル退治”だ。
 太陽光発電は、電力会社に再生エネの全量買い取りを義務付けた固定価格買い取り制度導入時に、当時の事業採算の目安とされた三十円台後半を上回る「四十二円で二十年間」と価格が設定され、事業者側に絶対的有利な条件下で参入が急増。詐欺的業者やブローカーなど有象無象が登場するバブル状態を招いた。
 太陽光発電協会によると、2013年の太陽電池国内出荷量は前年の約3倍の750万キロワットに達した。
 一方、経産省の発表では、12年度に認定を受けた4699件のうち、運転開始済みはわずか1049件のみ。土地も設備もいずれも未決定のケースが571件。無回答を合わせた672件は認定取り消しに値すると発表した。認定を得れば、その年度の価格のままで電力会社が20年間買い取る仕組みのため、パネルの価格下落を待って設備建設に未着工なケースや、権利を売買する目的で認定を受けただけのケースが多い現状が露呈した。
 この過熱を冷やすために、経産省が3月7日、再生エネの買い取り価格を審議する調達価格等算定委員会に示した14年度の案は、企業向けの太陽光発電の買い取り価格(税抜き)を1キロワット時当たり32円とした。制度がスタートした12年度の40円から13年度には36円に下がり、2年連続のダウンとなる。太陽光発電パネルの性能向上や価格下落を反映した価格案としているものの、再生エネの発電設備の97%が太陽光発電という現状を是正したい経産省の意向も強く働いたとみられる。ただ、風力や地熱などとの比較においても、買い取り価格を引き下げるべきだといわれていたのだが、来年度の結果は現状維持に等しい価格といえるものだった。
 こうした措置を強行すれば、たしかに違法業者やブローカーは痛手だろうが、それではまだ手ぬるい。マスコミはブームの裏側を検証するべきだし、捜査当局は一罰百戒で悪徳業者を除去する時にきている。


 認知症の誤診には要注意、セカンドオピニオンが肝要

 物忘れが激しくなれば、誰もが先ず心配するのが認知症だろう。しかし、認知症と紛らわしい別の病気があり、治療できることが多いことをご存じだろうか。例えば、医療現場からこんな統計が報告されている。愛知県の八千代総合病院の物忘れ外来を受診した1516人の中で、治療可能と診断された人は85人もいたというのだ。
 そのうち28人がうつ・抑うつ状態で、最も多く、そのほかにも認知症を伴わない幻覚・妄想、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、脳腫瘍、心因性のものと続く。
 特に、うつや抑うつ状態はアルツハイマー型認知症と関係が深く、過去にうつ病になった人はアルツハイマーになりやすいといわれている。また、アルツハイマーの初期症状にうつや抑うつ状態があるため、専門医といえども識別が難しく混同されやすいという。アルツハイマーと診断された人の中には、うつ病の治療をすれば改善する人も少なくないということだ。
 経験豊富な専門医が診れば、その違いはある程度、判別できるという。例えば、うつや抑うつ状態の場合には、午前中は気分が落ち込み、やる気もない状態が強いが、午後から夕方にかけて少し元気になる傾向があり、1日の中で気分の変化があるが、アルツハイマーでは変化はない。また、うつでは自分を責めることが多く、他人と接することを嫌がり、引きこもることが多いが、アルツハイマーには引きこもりはなく、逆に他人を責めたり疑い深くなることが多く、無遠慮になったり馴れ馴れしくなったりするという。また、喜怒哀楽が乏しくなるのもアルツハイマーの特徴だ。
 一見すると認知症と診断されても不思議はない病気は、ほかにも多い。慢性硬膜下血腫や急性期脳梗塞などで症状が出ている場合には、元となる病気の治療をすればよくなるが、見逃せば命にもかかわる。さらに、ビタミンB12が欠乏して貧血になった場合にも、物忘れや意欲低下など、認知症とよく似た症状が現れる。過去に胃を切除した高齢者にはビタミンB不足の人も多く、安易に認知症と診断されがちだ。
 誤診を避けるためにも、経験豊富な専門医のセカンド・オピニオンを取ることをお勧めしたい。


 ウクライナ危機で加速、欧州のシェールガス開発

 ロシアによるウクライナへの軍事介入とクリミア半島の編入表明で、米欧とロシアの緊張が極限に達する中、ロシアの天然ガスに大きく依存する欧州で、シェールガスの開発を推進する動きが強まっている。天然ガスの調達への不安が高まり、「頼みの綱」として再度注目を浴びている。
 ロシア産天然ガスの多くはウクライナ経由で欧州に届けられている。そのロシアが米欧の制裁への対抗措置として天然ガスの供給を止める事態もありうる。そうなれば、中東欧諸国で天然ガスが不足した2009年のガス危機の再現となる。
 シェールガスの採掘に用いる水圧破砕法は、大量の水や砂、化学物質を頁岩層に高圧注入するため、環境破壊が懸念されている。ただ、欧州連合(EU)のエネルギー集約型企業は、シェールガスでエネルギーコストを抑えている米国のライバル企業に競争力で太刀打ちできなくなるとの懸念から、これまでシェールガスの開発を切望していた。
 ウクライナ危機発生後、EUはエネルギーのロシア依存から脱却し、資源を多様化する方法をこれまで以上に真剣に検討している。EUは3月中旬、シェールガスは「地域固有のエネルギー資源」であり、ロシア産天然ガスの削減分を補うことができるとの見解を表明。欧州議会はシェールガス開発を円滑に進めようと、石油や天然ガスの採掘に適用する環境規制を強化する法案の策定に当たりシェールガスは対象外とした。
 またポーランドは、シェールガス産業に対する6年間の減税措置を実施する方針。欧州では英国とともにシェールガスの開発に力を入れている同国だが、外資は税制や将来の規制への懸念から参入に及び腰だったため、法を整備して外国企業を誘致する。トゥスク首相は「今ではガス安全保障は欧州諸国の主権の基本的な必要条件」と述べている。
 米エネルギー情報局の推計によると、ウクライナのシェールガスの可採埋蔵量は欧州3位の1兆2000億立方メートルで潜在力は高い。ロシアがクリミア沖の黒海の天然ガス田まで編入すれば、ウクライナのエネルギー資源はシェールガスに限られる。ウクライナはシェブロンやロイヤル・ダッチ・シェルとシェールガス開発に向けた契約を結び、エネルギー自給体制を強化しつつある。


 育児費用の高額負担が総選挙前の英国で問題視

 来年の総選挙を控える英国では、さまざまな分野で与野党間の論戦が展開されているが、ここにきてクローズアップされてきたのが子育て負担の問題だ。住宅ローンよりも託児費用が高いという調査結果も出て社会問題化している。野党・労働党などは緊縮財政による補助金のカットを主な原因として批判、政府・与党は防戦一方となっている。
 民間団体「家族・子育てトラスト」の年次報告書によると、2人の小さな子供を終日預けた場合、両親が払う費用は年1万1700百ポンド(約200万円)に上り、標準世帯の抱える住宅ローン(7207ポンド)より62%も高いことが分かった。子供2人を短時間預ける場合でも7549ポンドが必要という。
 英国の育児費が国際的に比べても高いことは従来から指摘されており、経済協力開発機構(OECD)の2011年の調査によると、家計に占める育児費用の割合は26.6%。託児費などが年収累進性になっているスイス(50.6%)に次ぎ、加盟諸国の中では2位。米国(23.1%)や日本(16.9%)よりも高く、OECD平均(11.8%)や、近隣の欧州諸国のドイツ(11.1%)、フランス(10.4%)に比べると倍以上となっている。
 労働党による独自調査では、ロンドンで必要な標準的な年間の育児費用は1万4000ポンドで前年比19%と急増している。英国の他の地域に比べても25%高い。
 労働党は「育児費は給与の5倍のペースで上昇しており、女性の社会進出を妨げる大きな要因ともなっている」と主張。3、4歳の子供の託児費用が無料になる時間を週15時間から25時間に延長することで約1500ポンド家計負担を軽減、その財源については金融機関への増税で賄うことを公約に掲げている。
 一方、保守党・自由党の連立政権は、保育士1人が世話をできる子供の数を1歳以下は3人から4人に、2歳では4人から6人に引き上げる改革案をまとめたが、保育士団体などが強く反対。連立政権内でも意見が対立し、実現が危ぶまれている。
 英国のマクロ経済の数値は景気回復の傾向を示しており、与党・保守党は緊縮財政の成果を主張する。ただ、育児費用だけでなく住宅費、光熱費、交通費などの値上がりで市民の生活水準は悪化するばかりで、保守党は支持率で労働党に大きく差をつけられている。来年5月に見込まれる総選挙に向けては、9月のスコットランド独立の住民投票や、欧州連合(EU)との関係見直しなど、重要な政策課題が目白押しで、キャメロン首相も積極的な取り組み姿勢を見せる。ただ、選挙民の足元の生活がままならぬ状況では、こうした論点への関心は相対的に低くなっているようだ。


 1つのキャラで100億円超、恐るべし女児向け商売

 「プリキュア」なる未就学女児向けアニメをご存じか。日曜朝にテレビ朝日系列で放映され、2004年からすでに10年間10シリーズを制作。「美少女戦士セーラームーン」(1992〜97年)をしのぐ大ヒットとなっている。普通の少女たちがプリキュアという戦士に変身し、敵と戦うキャラクターが女児たちに受け入れられた。関連玩具を開発したバンダイナムコの13年4〜12月期プリキュアシリーズ売上高は69億円、14年3月までの通期では102億円を見込む。
 そしてプリキュアの人気をしのぐ勢いなのが、小学低学年女児をメーンターゲットとしたアニメ「アイカツ!」(アイドル活動の略)。バンダイナムコが12年10月に販売開始した、アイドルとファッションをテーマとしたカードゲームで、玩具店などに設置されているゲーム機にカードを読み込ませてプレーする。
 ゲームの稼働と同時にテレビ東京系でテレビアニメも放送開始。原案もバンダイが作り、アニメもグループ企業が手掛けた。「アイカツ!」は初年度2・四半期だけで18億円を売り上げた。13年度は第3・四半期までに117億円、通期見込みは141億円と、プリキュアを上回るまでに急成長。「アイカツおじさん」なる成人男性ファンも出現した。
 バンダイグループのキャラクター別売上高トップは機動戦士ガンダムの693億円(13年度通期見込み)。アイカツは仮面ライダー(298八億円)、ワンピース(264億円)、スーパー戦隊(258億円)に次ぐ5位。女児向けキャラクター侮ることなかれである。


 東京マラソンにもやらせ問題が発覚

 「東京マラソン2014」が2月23日に開催され、約3万6000人が新宿、銀座、浅草など、都心の目抜き通りを駆け抜けた。しかし、その途中には残念な光景があった。
 独占中継のテレビ局が番組を盛り上げるためにタレントやアナウンサーに出場させていたのだが、一部区間を走らず、流線型グラスファイバーボディーで覆われた人力タクシーで移動していたランナーがいる。テレビ局のカメラマンやスタッフが取り囲んでいるからすぐわかる。中継した日本テレビの総合広報部は、移動したのは実況スタッフだけと完全否定するが、その場では「日テレ、ズルするな!」という怒号もランナーの間から飛んでいた。
 東京マラソンはニューヨーク、ロンドン、ボストン、ベルリンと並ぶ5大市民マラソン大会として世界中から評価されている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックまであと6年。このような光景が横行すれば、爽やかな「スポーツの祭典」を汚してしまう。
 もちろん、まじめに完走した有名人ランナーは多数いるが、番組出演のランナーは広報宣伝のためという理由で抽選が免除され優先的にゼッケンを取得している。この憧れの大会に毎回応募して1回も当たったことのないランナーが大勢いる中でこれは不公平との指摘もある。
 東京マラソンは日本テレビとフジテレビが1年交代で中継を担当しているが、スポーツの祭典を半ば独占できるのはテレビ局による私物化ともいえる。公的なスポーツ大会が民間テレビ局の「利権」となっているのも、自由競争の原則に反するといわざるをえない。


 アリババがNY市場上場へ、活況呈す中国ネット企業

 中国の電子商取引最大手の阿里巴巴(アリババ)集団がこのほど、ニューヨーク市場で新規株式公開(IPO)を行う方針を打ち出した。早ければ4月にも上場する見通し。資金調達規模は150億ドル(約1兆5000億円)を超え、米国では、フェイスブック(2012年、160億ドル)以来の大型案件となる見込みだ。
 中国では電子商取引が急速に広まっており、アリババをはじめとするインターネット関連企業が急成長している。アリババはその代表格で、ソフトバンクが36.7%の株式を保有し、筆頭株主となっている。
 アリババは電子商取引だけでなく、傘下にはインターネット決済サービス会社の支付宝(アリベイ)を擁している。ネット決済市場ではアリベイのシェアは5割近い。アリベイはファンドなど金融商品の販売にも乗り出している。
 こうした躍進ぶりに米国の投資家も強い関心を持っている。アリババのニューヨーク上場方針発表を受けた3月17日の米株式市場では、同社に出資しているヤフーの株価が大幅上伸した。上場先の取引所も争奪戦を繰り広げており、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」によると、ニューヨーク証券取引所(NYSE)が一歩リードしている模様だ。IT企業が多く上場しているナスダック市場は米ツイッターの上場案件もNYSEに奪われており、連敗となる可能性がある。
 アリババ以外にも、資金需要の高まりを背景に中国のネット関連企業の米国上場の流れは加速する見通しだ。中国版ツイッターを運営する微博も先にニューヨーク市場でのIPOを申請。5億ドル(約500億円)を調達する予定だ。これらの先行組の上場が成功すれば、他の中国ネット企業の上場が相次ぐ公算が大きい。


 中国と米国は密かに「通貨同盟」を締結した?

 オバマ大統領は日本、フィリピン、韓国訪問を前にして、ミシェル夫人をわざわざ北京に1週間も派遣した。その本音は、中国のご機嫌とり以外に考えられない。
 2012年にワシントンから2人の男が北京の中南海を訪れた。SWIFT(国際銀行間通信協会)へ出向中の大統領補佐官と、財務省の通貨担当スペシャリストである。秘密交渉がもたれた模様だが、それ以降に何が起こったかを見れば、その交渉の中身は推察できる。
 米国議会とマスコミは「人民元が不当に安く操作されている」とする中国非難を急にトーンダウンし始めたのだ。さらに、中国は3年前から「IMF改革を急げ」としてIMFのSDR(特別引き出し権)の通貨バスケットへ人民元の参加を声高に要求してきたが、これに沈黙を始めたのも奇妙である。
 どうやら米ドルと人民元ががっしり組むことで、ブレトンウッズ体制(つまりドル基軸制度)の崩壊の危機を免れる算段を話し合ったようだ、とワシントンの観測筋は言う。
 中国を巻き込んでドル基軸体制継続という外交目標を達成しようとしたことを意味し、しかも中国が保有する米国債を市場で売る行為はドル相場の暴落を招くから、中国と米国は通貨では運命共同体の道を選んだということになるだろう。
 米国と中国は東南アジアだけでなく中東とアフリカの大市場をもドルと人民元の同盟体制で開発・運用しようというわけで、米中は表向き敵対するかに見えて舞台裏では通貨でつながっているのである。


 社債デフォルトが始まり、中国経済は危険水域に

 中国で社債のデフォルトが始まった。大手太陽光パネルメーカー「超日太陽能科技」は3月5日に、償還間近の社債利払いは不能になったと発表した。もともと太陽光パネルは政府が奨励し補助金も出るとあって一大ブームを惹起したが、過当競争のうえ事故が続出、超日太陽能科技の社債格付けは最低レベルに格下げされていた。
 さらに今後、320兆円規模の地方政府債と400兆円規模の「理財商品」(投資信託の類)のデフォルトが本格化すれば、中国経済は奈落へ墜落する危険性が高まる。
 好調だった石炭業界もピークを打った。2000年代に4倍に跳ね上がった石炭価格が2割から3割下落し、国際価格も暴落したため海外炭のほうが安くなって失速した。鉄鉱石もインドやオーストラリアで余り始め、粗鋼生産6億トンという異常な生産過剰、在庫過多に陥った鉄鋼業界は再編を余儀なくされ、あちこちの鉄鋼所で火が消えた。鉄鋼大手「山西振富能源集団」は資金繰りが悪化したため「中誠信託」なる高利の投資信託を売り出した。中国工商銀行が預金者に販売して70億元(1200億円)をかき集めたが、実態は元利保証はなく、詐欺だった。しかし、販売した中国工商銀行は責任を取らなかった。2014年1月、債務不履行が生じ、各地で取り付け騒ぎに発展している。間もなくこうした動きが本格化するだろう。
 欧米企業もなべて中国からの撤退態勢を敷き、独自技術が少ない中国の、世界を瞠目させた高度成長は呼吸困難に陥ると予測されている。





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