ダミー
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 “消去法”のツケが残る? 東京五輪組織委「森会長」

 2020年東京五輪の大会組織委員会会長に就任した森喜朗・元首相(76)。ただ、安倍晋三首相は「政治色を出したくない」と最後まで難色を示し、最後は消去法による選択だった。まず、このポストに意欲を示したのは東京都知事辞任前の猪瀬直樹氏。就任は規約上問題ないが、首相官邸がノーだった。
 キヤノンの御手洗冨士夫会長やトヨタ自動車の張富士夫・名誉会長はいずれも固辞。張氏と親しい麻生太郎・副総理兼財務相がそのコネで安倍氏の望む本命、トヨタ自動車の豊田章男社長に三拝九拝したが、色よい返事は得られず。結局、森氏にお鉢が回ってきた。森氏は東京五輪招致委員会の評議会議長を務め、各国首脳や国際オリンピック委員会(IOC)の委員らともパイプがある。スポーツに造詣が深く、財界とも幅広い人脈があるという、それなりの選定理由も十分だった。
 森氏は「私はうまくいってあと5,6年しか生きられない運命。最後のご奉公だ」とご機嫌。ただ、この言葉が現実となるなら、五輪開会式を迎える会長が誰となるかは気になる。16年に予想される衆参ダブル選挙で麻生氏が高齢を理由に出馬を見送ってその座に就く可能性も。
 開会式の当日は、平成天皇が開会宣言を行うことになろう。仮にその役を皇太子に譲っていれば、ますます学習院大学出で皇室との関係がとりわけ深い麻生氏の「出番」が求められる、と関係者は言う。高円宮妃のIOC総会でのプレゼンテーションを実現させたのも麻生氏の説得による。ともあれ、スポーツ界に賞味期限切れ近くなった人材しか出番がないのは侘しい。


 小泉氏、「原発即ゼロ」で支金援助の経済界と隙間風

 小泉純一郎・元首相と経済界の間に冷たい“隙間風”が吹き始めている。都知事選で細川護煕候補(元首相)が公約に掲げた「原発即ゼロ」は事実上、小泉元首相が「強力な支援」と引き換えに細川候補に飲ませたもの。結果にはよるものの、今後の国政選挙での“一点イッシュー”にもなりかねないだけに、経済界は「小泉対応」を急ぐ。
 細川候補は元々「脱原発」論者ではあったが、「原発即ゼロにはやや違和感があった」(同候補関係者)。だが、選挙を戦う上で「原発即ゼロを強硬に主張する小泉さんに乗らざるをえなかった」(事情通)という。しかし経済界にとっては「飲めない公約」(経団連幹部)。原発停止以来、毎年の化石燃料費は3.5兆〜3.8兆円。貿易赤字の最大要因だ。
 さらに財界が嘆くのは、小泉氏が首相退任後も「陰に陽に元首相を支援してきた」という自負だ。これまでも、退任した大物首相を財界はさまざまな形で支援している。中曽根康弘・元首相の世界平和研究所会長就任はその典型例。小泉元首相も、07年に財界の肝煎りで発足した「国際公共政策センター」(CIPPS)の顧問だ。会長は奥田硯・元経団連会長、理事長は政治評論家の田中直毅氏だが、「事実上、小泉氏のためのシンクタンク」(経団連幹部)。
 同センターの研究活動は、外交・国際問題、環境・エネルギー、構造改革、震災復興などで14人の研究スタッフもいる。これらの活動費用も、当然ながら同センター理事のトヨタ、日立など十数社が負担する。
「研究、提言は自由ですが、代替案もなしに、いきなり原発即ゼロでは、巨額の貿易赤字が累積して、いずれ日本経済を弱体化させます。小泉さんとCIPPSとの関係も見直さなければ」(財界幹部)


 北方領土解決を遠ざけた? 安倍首相「靖国参拝」

 日露の北方領土交渉は今年秋に予定されるプーチン大統領訪日で重要局面を迎えるが、年末の安倍首相の靖国神社参拝が尾を引きそうだ。
 ロシア外務省報道官は靖国参拝について、「国際世論と異なる、偏った第2次世界大戦の評価を押し付ける一部勢力の試みが強まっている」と批判。今後の領土交渉でも、この主張を強める可能性がある。
 ロシア政府筋によれば、1月末か2月初めに開かれる外務次官級協議で、ロシア側は歴史認識問題を真っ向から提起し、日本が旧ソ連に対して被害者とする見解は通用しないとの考えを示す方針という。
「ロシアでは、2015年の戦勝70周年を控えて民族愛国主義が高まっており、北方領土は戦利品という立場を強めるとみられます」(モスクワ特派員)
 大戦後の秩序維持は、国連大使を長年務めたラブロフ外相が重視しており、ロシア外務省は領土問題の抵抗勢力になりつつある。それゆえ外務省と交渉しても無意味で、プーチン大統領の判断次第といえる。
「プーチン大統領は柔道などを通じて日本に独特の親近感を抱き、日本をアジアのドイツに位置付けたい考えです。戦勝意識の強いロシア外務省とは異なる」(同)
 領土交渉はプーチン大統領次第という個人頼みになりつつあるが、大統領も外務省の意向を無視して日本に譲歩することは難しい。靖国参拝はロシア外務省を勢いづかせた点で、対露外交ではマイナスとなった。


 思い入れの靖国参拝後は日米関係修復が最大課題

 安倍晋三首相の靖国参拝への中韓両国の反発は、ご本人には「想定内だった」(首相周辺)。むしろ、反発を期待していたとすらいえる。秋頃に関係改善に動こうとした外務省当局者に「余計なことをするな」と釘を刺したとも伝わる。
 これに対し、「完全な想定外」(同)だったのは、米政府の厳しい反応だった。米国側の知日派には対中強硬派が揃っており、「A級戦犯が合祀されている靖国参拝も許容範囲」(外務省OB)とみていた。ところが、参拝直後にオバマ政権は「とても失望(disappointed)した」(駐日大使館)と表明。国務省も同様に「失望」を露わにした。
 米国の対日専門家からは批判的な声も上がったが、「オバマ大統領はタカ派の安倍首相とケミストリー(相性)が合わない」のは日米外交関係者に共通の認識。靖国参拝への米側の厳しい反応は事前に予想できはずだ。その点を読み誤ったことには「安倍政権の外交音痴の表れ」(外務省OB)との指摘もある。
 日韓関係も、昨年秋以降はようやく水面下で修復に向けて動きつつあったが、首相の靖国参拝で「一からやり直しになった」(日本側外交筋)。日中、日韓の冷え込んだ関係には米政府も苛立ちを強めている。「今後も膠着状態が続くと、四月に予定されるオバマ大統領の訪日が先送りされる可能性も否定できない」(有力シンクタンク関係者)状況だ。
「日米関係がこのままではまずい。中国に強硬だったブッシュ政権時代と同じ感覚でオバマ政権と付き合っていてはいけないということだな」
 今さらながら、安倍政権内からはこんな声も漏れる。そこで、安倍首相としては、まずは日中関係の修復を最優先する方針に切り替えた。しかし、日中間の政治的パイプは細く、周辺では頭を抱え込んでいる。


 オバマ政権は対中国重視が本音

 そのブッシュ政権とオバマ政権で国防長官を務めたロバート・ゲーツ氏が書いた回顧録『DUTY』が全米で話題を呼んでいる。オバマ大統領やバイデン副大統領に外交能力が乏しい一方で、ヒラリー・クリントン前国務長官は傑出した人物と評価しており、オバマ外交の実態が暴露されている内容で、安倍首相にとっては「相手」を知る好材料だ。
 オバマ大統領の外交政策は、その判断基準として国務省や国防総省の外交プロの情報を重視せず、ホワイトハウスの側近の進言によることが多いと危惧されてきた。ゲーツ氏の回顧録でも、イラクやアフガニスタン戦争で現地司令官の判断を尊重しなかったことが明かされている。
 現在のオバマ外交は、アジア重視と言いながら、そのコアとなる日米同盟や対中国政策にブレが大きい。その原因も、国務省や国防総省のアジア専門家の分析よりも、ホワイトハウスの安全保障担当補佐官であるスーザン・ライス女史の「G‐2」、つまり中国と新たな大国間関係を築くという考え方に引っ張られがちで、足元の日米同盟の重要性を二の次にする傾向があることにある。
 一方で、国務省やCSIS(米国際戦略研究所)などのシンクタンクにいるアジア問題研究家の多くは、対中国との勢力バランスから日米同盟を強化する必要性を訴えている。中国のナショナリズムは、抗日戦線の勝利を経て政権を奪取した中国共産党によるナショナリズムのため、弱い日本を徹底的に叩く傾向にある。それに対応する必要があるからだ。
 しかし、オバマ大統領はこうした考え方の延長線上で日中間の戦争に米国が巻き込まれることを強く危惧している。さらに、この内向きな姿勢をリベラルだと自己評価している。そのため、専門家たちは、彼の任期中は米国の対東アジア外交は一貫性を欠くものとなると予測している。それだけに、オバマ大統領にものが言えるのが売りでもあるキャロライン・ケネディ駐日米国大使は真価が発揮できる時でもあるが。


 安倍首相のアフリカ外交に成算はあるのだろうか

 安倍外交はアフリカ重視路線で何を始めようというのだろうか。正月休み明け早々のアフリカ歴訪で安倍首相は、昨年5月、アフリカ首脳50カ国が横浜に集結した「日本アフリカ会議」での合計1兆4000億円の経済援助に上乗せの大盤振る舞いをしてきた。インフラ整備が主目的の友好とはいえ、謎が多い。単に中国への牽制が目的なら、砂漠に水を撒くような怪しい経済援助となるだけだ。やめたほうがいいと嘆く声が関係者から聞かれる。
 昨年1月、アルジェリアで日揮のエンジニアがテロリストに殺害されるという不幸な事件が起きた。あの時、安倍首相はインドネシア訪問中だったが、日程を繰り上げ急遽帰国した。対策本部を置いたものの、情報ネットワークのない日本は闇の中にぽつねんと取り残されていた。情報は英国からもたらされた。
 これからも日本企業の海外進出は続く。イエメンやスーダンにはアルカイーダの軍事訓練基地がある。日本はそんなアフリカ諸国へもテコ入れをするわけだ。アフリカへの急傾斜には危険がいっぱいなのである。


 米軍には棚ボタとなる普天間基地の辺野古移転

 沖縄ばかりか国内世論までも2分する米軍普天間基地の移設問題。政府が名護市辺野古に建設を予定する代替施設は、普天間基地よりはるかに強化された「新たな基地」だ。米政府は労せずして、思惑通りの新基地を手に入れようとしている。
 沖縄本島中部の宜野湾市にある普天間基地は、太平洋戦争の沖縄戦で米軍が突貫工事で作り上げた急ごしらえの基地。戦後、避難先から戻った住民の民家が周囲を取り囲み、「世界一危険な基地」(ラムズフェルド元米国防長官)と呼ばれることに。
 一九九六年、移設条件付きで返還が決まり、2006年に現在の辺野古案が日米の間で合意された。その案こそが米国にとって棚ボタなのだ。
 まず滑走路を2本として、普天間の1本から倍増。さらに214メートルの係船岸壁が造られ、歩兵部隊が佐世保基地(長崎)から来る強襲揚陸艦に乗り込むことが可能になる。海に面して弾薬搭載エリアも確保される。普天間飛行場は住宅があって米軍の基準で弾薬搭載ができず、嘉手納基地で搭載しているから、出撃基地機能は格段に強化される。
 米国の資料によると、米海兵隊は66年、辺野古の浅瀬を埋め立てて飛行場をつくる計画を立てた。80年代、市街地にあって使い勝手の悪い普天間飛行場の移設案と重なる。97年に米国防総省が作製した図面では、係船機能を持つ桟橋と弾薬搭載エリアが描き込まれた。付与した機能は現行の辺野古案と瓜二つだ。
 キャンプ・シュワブ近くに住む東恩納琢磨・名護市議は「80年代後半、米国は普天間飛行場の修復をやめた。日本のカネで代替施設をつくる機会をうかがっていたのだろう」と指摘する。国内世論を分裂させてまで、新たな基地を「日米同盟のコスト」として差し出そうというのだ。


 経団連・榊原次期会長は異例の「副会長OB」

 次期経団連会長に東レの榊原定征会長が内定した。次期会長の大本命は日立製作所の川村隆会長だったが、高齢を理由に固辞。経団連副会長の大宮英明・三菱重工業会長や内山田竹志・トヨタ自動車会長にも就任を打診したが、「財界活動の経験不足や社業に集中したいとの理由でことごとく断られた」(経団連事務局)という。最後には「経団連会長の就任を熱望している」(大手メーカー幹部)評議員会議長の渡文明・JXホールディングス相談役の名前も取りざたされたが「経団連の会長OBから止められた」(同)末、かつて経団連副会長を務め、米倉氏と親交の深い東レの榊原氏になった。経団連OBからの就任は異例だ。
 榊原氏就任の理由の1つとして「安倍政権が力を入れる産業競争力会議の民間議員を務め、原発再稼働にも賛同する現政権への近さ」(官邸筋)もあるという。「米倉氏とソリが合わなかった安倍政権とうまくいくのでは」(同)と期待が上がる反面、「財界総理といわれる経団連会長がますます軽量化し、産業界を牽引できるか不安」(自民党幹部)との声も政権側から聞こえる。
 各社が会長就任を拒否した理由は、「就任後は年間億単位の費用が掛かるほか、官邸や霞が関など中央官庁などへの根回し、さらには自社からスタッフを派遣しなければならないなど、有形無形の負担が重くのしかかる」(経団連幹部)からだ。
 榊原氏は年明けに米倉氏から次期会長就任を打診されたが、「特に政策スタッフの不足を懸念していた」(同)。そこでトヨタの豊田章一郎・名誉会長や新日鉄住金の今井敬・名誉会長など経団連会長OBがスタッフの応援支援を決めたという。


 経団連次期会長への期待は唯一、対中・韓関係改善

 そうして経団連次期会長に内定した榊原会長は、「交渉のエキスパート」(東レ関係者)と評される。異例人事の功名は、ズバリ、中国・韓国との関係改善だ。
 日本の先々を考える時、中韓をはじめアジアとの良好な関係は不可欠。東レ関係者は、「まずは少なくとも“政冷経熱”状態に戻す必要がある。榊原氏は、両国にとり別格の企業・東レを背景に中韓との関係の引き戻し役を背負わされた」と言及した。
 実際、東レは別格企業と称されるだけの実績を中韓で積み重ねている。中国では、国内と全く遜色のない研究・開発体制を確立し(02年=紅蘇省南通市、04年=上海)、現地社員を積極的に登用している。そこで例えば、激寒の国・中国で中国人社員と共に中国用耐寒服を可能にする新たな繊維を創り上げている。
 韓国でも東レは、世界屈指とされる海水の淡水化のための「RO膜(逆浸透膜)」技術を導入、飲料水・工業用純水醸成、下水や工業用排水から有害物質を除去する。韓国政府は10年4月、榊原社長時代の東レに対し「産業勲章」を授与した。東レが受賞したのは金・銀・銅・鉄・石の5段階のうち「金塔」産業勲章だ。
 中国は、「工場進出はもう不要。技術の導入が可能な形の(海外企業の)進出を」と公言するが、東レは早期から技術進出、それも国内同様の研究所を創設していた。東レをバックにした榊原氏の「交渉力」に期待が集まる。


 ノバルティス事件の核心は製薬会社と大学の癒着構造

 厚生労働省が、製薬会社ノバルティスファーマを薬事法違反(誇大広告)で東京地検特捜部に告発した事件は、日本の臨床研究そのものが抱える問題を浮き彫りにした。大学(研究者)と製薬会社の癒着の解明なしには事件の深層には迫れない。この構造を長年にわたって放置してきた文部科学省の責任でもあり、国を挙げた体質改善が求められている。
 そもそも薬事法違反は誇大表現を使った医薬品の広告を禁じたもので、それほど重い罪ではない。違反した場合は2年以下の懲役か00万円以下の罰金である。
 しかし、今回の事件は、ノバルティスの社員が、ディオバンという高血圧の治療薬に「脳卒中や狭心症を予防する効果がある」という臨床研究の結果を得るためにデータを改竄した疑いがあるというもので、立証されれば詐欺である。
 さらに問題なのは、その臨床研究を引き受け、論文を発表した5大学がノバルティスから研究費を受け取っており、中でも東京慈恵会医大、京都府立医大、滋賀医大の3大学は意図的なデータ操作があったことを認めている。ノバルティスの贈賄工作も疑われる。
 つまり、ここには、製薬会社が大学をカネで遇し、その見返りに大学が製薬会社の依頼で臨床研究を行って望み通りの論文を発表するという構造的な腐敗がある。
 ディオバンは、東京慈恵会医大などの研究発表を受け、急速に売り上げを伸ばすヒット商品となり、これまで国内で400万人が服用、1兆2000億円を売り上げた。臨床研究は法規制なく自由に行え、その結果で発売後でも効能を謳えるという環境が、こうした癒着を誘因している。薬事法違反での捜査を機に、臨床研究のあり方を再考すべきだろう。


 「業界イメージ変えたい」石化協が名称公募中

 国内化学大手で構成する業界団体、石油化学工業協会(石化協)が昨年12月から「石油化学」に代わる名称を公募している。天然ガスやシェールガス、植物由来の原料素材を活用する動きが生産現場で広がり、石油という語句だけで化学企業の活動をくくれなくなってきたというのが理由だが、根本にあるのは、会長である小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長の「業界イメージを変えたい」という強い思いだ。
 石油化学が何となく持つ「マイナー」「古臭い」「クリーンではない」といったマイナスイメージに、小林氏だけでなく、化学各社の採用担当者も苦しんでいるからだ。
「目を付けた優秀な学生がエレクトロニクスや金融に逃げてしまうケースが多々ある。待遇ややりがい、活躍できる場の広さなどでは負けていないのに」(業界大手採用担当)。
 ただし、業界内での議論の結果、「石油化学」を別名に変えてしまうという小林案は全面的には採用されず、「石油化学工業協会」という公式名称は変えずに、公募で決める新名称はイベントやポスターなど対外的なイメージ戦略の場のみで利用することになった。二月末まで協会ホームページなどで名称案を受け付け、四月に結果発表の予定だ。
 この決定に胸を撫で下ろしているのは実は経済産業省だろう。石油化学工業協会から本当に「石油」が取れたら、形式上の上部団体に当たる日本化学工業協会(日化協)との統合話が現実味を帯びてくるためだ。


 金融機関が最も懸念する徳洲会の事業継承リスク

 医療法人・徳洲会グループの公職選挙法違反事件で東京地検特捜部は、徳田毅・衆議院議員の姉、スターン美千代・容疑者や母、徳田秀子・容疑者を起訴した。スターン容疑者らは2012年末の衆院選に際し、徳田議員への投票を依頼するなどの選挙運動目的で、選挙の実務担当者のグループ幹部らに計6000万円を提供した疑いが持たれている。
 なお特捜部は、グループ創業者で徳田毅議員の父、徳田虎雄・元衆議院議員についてもスターン容疑者らと共謀した容疑者としている。しかし、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)ということから公判維持が難しいとみて、現時点では起訴は見送っている。
 実は、この徳洲会事件の動向に神経を尖らせているのが、何を隠そう取引金融機関なのだ。公職選挙法違反で有罪が確定すれば連座制が適用され、徳田毅議員は失職する可能性が高く、「一連の混乱が病院経営に与える影響が懸念される」(取引金融機関幹部)と言う。
 特に金融機関が懸念しているのは、事件を機にオーナーである徳田家が経営から手を引くような事態になること。「そうなれば、徳洲会グループの事業承継リスクが生じかねない。徳洲会は農村や離島などの僻地医療も手掛ける、いわば社会インフラで、金融機関としても支えなければならないだけに難題だ」(同)と語る。
 全国60以上の病院、280超の医療関連施設を擁する国内最大級の医療グループを強烈な個性とリーダーシップで引っ張ってきた虎雄氏の動向は、金融機関としても看過できない事態というわけだ。特に、徳洲会グループは最高峰と呼ばれる心臓病の医療チームを擁しているが、こうした優秀な医師陣がぐらつく経営を受けて他の病院に移るような事態になれば、経営に与える影響は無視できないと危惧されている。
「各地域の事情に応じた医療モデルを確立するなど、金融機関にとって徳洲会はこれまで超優良先であった」(メガバンク幹部)だけに、今回の公職選挙法違反事件に取引金融機関は戸惑いを隠せないでいる。すぐさま与信リスクが高まることは考えにくいものの、事件の進展いかんではイメージの悪化や財務への影響も無視できないとみられている。
 安倍政権は医療分野を成長産業として位置付けており、金融機関も病院の再生支援や事業拡大へのサポートに力を入れている矢先だけに、徳洲会の動向から目が離せない。


 5%の物価上昇で異次元の緩和は破綻の懸念

 日銀の黒田東彦総裁は1月16日の全国支店長会議の挨拶で、今年度末までに消費者物価2%引き上げる「量的・質的金融緩和(いわゆる異次元の金融緩和)」が「着実」「順調」に進んでいると自画自賛した。しかし物価上昇は、実質賃金や預貯金・年金額の実質額を引き下げるもので、国民の多数はそれを望んでいない。
 日銀が年四回実施している「生活意識に関するアンケート調査」の最新データ(昨年12月調査)でも、80.3%が物価上昇について「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答。「どちらかと言えば、好ましいことだ」という回答はわずか3.8%にすぎない。
 国民の大半が反対にもかかわらず、「デフレ脱却」という言い方で2%の物価上昇を日銀が目標に据えたのは、ちょうど1年前の政府と日銀の「共同声明」(昨年1月22日)だ。その後の昨年3月、当時総裁だった白川方明氏の首をすげかえ、インフレ・ターゲット論者の黒田東彦氏を総裁にしたのは、12年末発足の自民党の安倍政権だった。
「年間約50兆円に相当するペース」での長期国債の日銀保有残高の増加(昨年4月4日の同「金融緩和」導入時の日銀発表資料)とは、事実上の日銀の国債引き受けだった。日銀の国債引き受けは、いうまでもなく財政法第五条違反の禁じ手である。戦後の悪性インフレ発生の苦い教訓から、米占領軍の指示もあって、戦後財政民主化の1つとして法律で禁じられてきた。
「異次元の金融緩和」は昨年4月から実施され、日銀の長期国債保有残高は実績で、昨年4月の98兆円から、同年12月には142兆円と、9カ月間で44兆円も増えている。消費者物価指数も、直近の昨年11で前年同月比1.5%増(昨年12月27日発表)を記録した。
 円通貨の価値を引き下げる「異次元の金融緩和」は、たしかに対ドルの為替レートを投機勢力の思惑で物価上昇率以上に円安に動かす「効果」もあった。その結果、国内物価上昇だけなら国民から総スカンを食う「異次元の金融緩和」が「大幅な円安効果」のお陰で国民の批判から逃れているのだ。
 しかし、2%の消費者物価上昇が現実のものになれば、今年4月から消費税率が3%分アップすることによる物価上昇が上乗せされ、昨年4月から来年3月末までの消費者物価の上昇は約五%という大幅なものになろう。物価上昇を目標にする安倍内閣・日銀の異常が、いつまでも国民に通用するとは到底思えないのだが……。


 株式新指数の裏に込めた安倍政権の大きな期待

 アベノミクスで盛り上がる株式市場で1月4日に、「JPX日経インデックス400」という新指数の算出が始まった。実はこれ、「貯蓄から投資へ」を掲げる安倍政権の期待を一身に背負った戦略指数なのだ。秘められた狙いを隠すかのように、今のところ地味で目立たないが、日経平均株価指数(日経225)に代わるベンチマークを目指す一方で、企業経営者に市場のメッセージを伝える役割を担うことになる。
 新指数は日本を代表する400社で構成する。際立っているのはそのための抽出基準。この指数に採用されるためには何よりもまず資本効率が高くないとダメ。3年平均のROE(株主資本利益率)が40%以上、3年間の累積営業利益が40%以上など、効率的に株主資本を使っている企業に高いスコアが付与される。
 また、最近の企業経営にとって極めて重要な要素となっているコーポレートガバナンス(企業統治)も評価対象の1つ。業績に加え国際的な会計基準の採用や社外取締役の選任など、グローバルに通用する経営を推進することが採用のポイントになる。その上で最近3年間の売買代金や時価総額も勘案する。
 現在一般に浸透している日経225は、日々の出来高の多い企業を中心に採用銘柄が決まっており、企業の経営の質は考慮されていない。これに対して新指数は今後、世界で通用する企業を対象にしており、この指数に採用されるか否かで株価にも差が出る。まさに「貯蓄から投資へ」という時代の要請に応えるために生まれた指数といっていい。
 昨年1年間で日経225は50%を超えて値上がりした。しかし、日本の株式市場における売買比率は海外投資家が6割から7割を占めている。投資家のほとんどが外国人というのが実態。もの作り大国である日本の工場が海外移転で空洞化しているように、金融資産大国の株式市場も空洞化が進んでいるのだ。
 こうした状況を変えるべく政府は、120兆円の資金を抱える年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用見直しに加え、少額投資非課税制度(NISA)の導入、個人投資優遇税制の拡充策などの検討を進めている。新指数は、こうした流れの中で投資家と企業を結びつける役割を担うことになる。
 残念なのは、この長ったらしいネーミングからは新指数の狙いが全く見えないこと。新指数の算出に関わった関係者の努力は評価するものの、ネーミングの悪さはこの指数の存在価値を相殺している。この際、世界中の投資家にも分かるように「日本を代表する企業四百社の株価指数」に名称変更したらどうか。


 アベノミクスの蹉跌で経常赤字国への転落が心配

 「貿易立国」としての日本の地位が揺らぎ始めている。財務省が1月14日発表した昨年11月の国際収支(速報)によると、モノやサービスなどの海外との総合的な取引を差し引いた経常収支は5928億円の赤字で、単月の赤字額としては統計上比較可能な1985年以降で過去最大に膨らんだ。経常赤字は2カ月連続で、赤字額は前年同月から4132億円も拡大した。
 主因は貿易収支の悪化で、数年後の経常赤字国への転落の可能性も視野に入ってきた。貿易赤字の最大の要因は、原子力発電所の稼働停止に伴い、火力発電所の燃料などとして使われる液化天然ガス(LNG)、原油の輸入量が増加したことと、円安の進行でドル建ての取引額も上昇したこと。11月の貿易収支は1兆2543億円の赤字となり、11月としては過去最大の赤字額だった。冬場には燃料需要が膨らむため、「今後、数カ月は経常赤字が続くのは避けられない」(民間エコノミスト)。その結果、2013年暦年の経常黒字額は前年の約4兆8000億円を下回り、過去最小となる可能性が一段と強まってきた。
 しかし、燃料輸入費用の拡大だけを経常収赤字の要因と決めつけることには無理がある。安倍晋三政権による経済政策「アベノミクス」の第1の矢として昨年4月に日銀が放った異次元の金融緩和策から、円高基調から円安の流れに転化したものの、安倍政権が期待した輸出型企業が牽引し、日本経済が上向くシナリオは実現していないからだ。通常なら円安が進む過程で輸入価格が上昇して貿易収支は悪化するものの、その後は輸出数量の拡大により改善する「Jカーブ効果」があるはず。それが一向に顕在化してこない。
 甘利明・経済再生相はこの点について、「貿易立国の原点が揺らいでいる」との認識を示しているが、アベノミクスの誤算にも映る。製造業の海外生産拡大が輸出増加を生まず、Jカーブ効果を引き出せない原因とされ、このままでは年間でも16年頃に経常赤字国に転落する事態も十分に予想される。
 アベノミクスの第3の矢である成長戦略には、いわゆる「岩盤規制」という高いハードルが立ち塞がる。4月には消費税の8%への引き上げが迫り、過去最大の経常赤字と稼ぐ力が落ちた日本経済の再生に向け、アベノミクスの真価が問われることになりそうだ。


 新産業創出の鍵を握るコネクターハブ企業

 日本の「ものづくり」が大きく変化してきている。
 従来の「ピラミッド型」から「水平連携型」に転換することによって新産業の創出は地域に活力を生み出す動きが注目されてきており、地方自治体や政府もこうした活動への支援を強化していく方針を打ち出している。
 ネットワークの中心に位置する企業や人物がネットワークとネットワークとを結びつける役割を果たすという、「コネクターハブ」と呼ばれる新しい企業連合の動きがそれで、きっかけとなったのが2011年の東日本大震災だったとされる。
「被災地である東北では、実質的な事業活動の停止に追い込まれた企業が数多く出て問題となりました。一方でシンクタンクの調査によると、震災前より売り上げが増えたという企業が36.6%あったのです。調査によりますと、売り上げを増やした企業は、ネットワークの活用で新製品の開発やネット通販を使った販売に活路を見出した企業で、被災地でも地域ネットワークの中心にある『コネクターハブ』の企業が他の消費地などと結びつき販路を拡大していることが注目されたのです。例えば、石巻市にある企業取引のビッグデータを解析した結果、震災後に過去最高の売り上げを記録した企業に『石巻白謙かまぼこ店』や『共和水産』がありました。こうした企業は地方にありながら強力なネットワークを持つコネクターハブの例で、宮古市役所はこうしたコネクターハブ企業の復興を支援することで地域の水産業の復興につなげようという狙いで共和水産を後押しして、震災後、ライバルであった3企業と組んでグループをつくらせて新商品の開発に取り組んで注目されました」と経済産業省担当記者は言う。
 この例にあるように、企業同士を結びつけることによって、1社1社ではできなかったような強みを発揮する役割を持つコネクターハブ企業を、ビッグデータを解析することで見つけることができるようになったことが大きい。
 例えば、経済産業省がコネクターハブのモデル企業として注目している、京都府にある「ゼネラルプロダクション(ゼネプロ)」は、自らはファブレス企業だが、関西を中心に約160社と協業関係を築くことで、海水淡水化装置や野菜工場の冷却装置など、さまざまな製品の受注をこなしている。
 今後、こうしたコネクターハブ企業が中心となった連携、協業が日本の新たなもの作りの推進力になっていくことが期待されており、政府も、地方経済を支える中小企業活性化に資するとして支援に動いている。


 軽自動車税の増税めぐりトヨタとスズキが暗闘

 毎年4月に支払う軽自動車税が15年4月から、現在の7200円から10800円に50%引き上げられる。この増税に最も反対してきたのが、国内販売のうち軽自動車の販売が9割を占めるスズキだ。
「(スズキの)鈴木修会長(兼社長)が一線で頑張っているうちは軽自動車への増税はない」と業界の誰もが見ていたが、財務当局の巻き返しにあっさり陥落した。前回の税制改正で地方税である自動車取得税が、消費税が10%に上がる15年10月時点で撤廃されることが決まっている。これで穴があく約2000億円の財源を埋め合わせようと、所管の総務省が早くから同じ地方税の軽自動車税引き上げを狙っていた。
 業界団体である日本自動車工業会は、軽自動車税増税について「取得税の廃止は消費増税の影響を抑制するために撤廃されることが決まったはず。その財源を補填する議論はおかしい」と反発。表向きは業界団体が一枚岩のように振る舞っていたが、実態は違った。
 スズキの前に立ちはだかったのがトヨタ自動車だ。両社には軽自動車の税制などの「優遇措置」をめぐっては因縁がある。当時、自工会会長でもあったトヨタの奥田碩会長は「世界競争の時代に軽だけ恩恵が与えられているのはいかがなものか」と発言、鈴木会長と激しくいがみ合った時期があった。当時、トヨタは「ヴィッツ」など小型車を投入していた時期で、「軽自動車が何かと目障りだった」(トヨタ幹部)。税制のほか、車庫証明が不要、高速料金も安いなど、トヨタの小型車の前にことごとく軽自動車が立ちはだかった。
 取得税に代わる財源を執拗に求める総務省は、軽自動車など低価格車に有利に働く基礎控除を取り入れるなど、鈴木会長が納得する案も提示した。しかし、これに対しクラウンやレクサスなど高額車をもつトヨタが反発し、「TPP(環太平洋連携協定)や欧州とのEPA(経済連携協定)を進展させるためには、欧米諸国が指摘する軽自動車の優遇税制の撤廃はやむなし」と主張、官邸にロビー活動を繰り広げた。
 結局、経産省も「軽は儲かっているので相応の負担は避けられない」(幹部)と判断。「燃費に応じて減税する」との文言を入れることで決着させた。今後、スズキは巻き返しのため660?に抑えられている排気量や車両のサイズなど「軽の規格拡大」を狙うことになる。


 ドコモ、新OSの発売見送り「タイゼン」よりiPhone

 NTTドコモは、韓国サムスン電子やインテルと共同開発してきたスマートフォン(スマホ)用基本ソフト(OS)「TIZEN(タイゼン)」の導入を当面見送る。このままでは新OSは幻に終わりかねない。
「タイゼン」は、アップルの「iOS」やグーグルの「アンドロイド」の2強に対抗できる「第3のOS」として開発が進められてきた。2強と違って基本仕様が全面公開されているため、メーカーや通信会社が自由に改良して独自のサービスを展開できるという特徴があり、端末づくりの「切り札」とされている。
 ドコモは「タイゼン」グループの中核メンバーで、牽引役でもある。世界を席巻するアップルの「iPhone」の厳しい販売条件を拒んでスマホ市場で大幅に後れを取り、起死回生の独自サービスを展開できるOSの入手が必須だったからだ。だが、13年秋、5年越しで交渉してきた「iPhone」の販売権を確保したとたん、状況が一変。12月には、「iPhone効果」で契約純増数が27万9100件と大きく伸び、2年ぶりにソフトバンクとKDDIを押さえてトップを奪還した。
 こうなると、売れるか分からない「タイゼン」搭載端末の発売より、売れ筋の「iPhone」を優先するのは自明の理。中長期の戦略ビジョンより目先の収益を追った。
 ドコモの変わり身に収まらないのは、「タイゼン」グループのメンバーや「タイゼン」向けアプリを開発してきた事業者だ。ドコモの音頭で投資してきただけに、はしごを外された形になった。苦しい時代を支え合った仲間を裏切ってまで「iPhone」に奔走するドコモの姿に、王者の風格はもはや感じられない。


 総務省が規制緩和に動く民間ラジオ局の経営統合

 総務省が民放ラジオ局の経営統合を促進することを狙って、放送法の規制緩和に動き出している。
 13年4月現在、民放AM局は47、同FM局は51ある。いずれも聴取者離れが進み、広告収入減が続いている。日本民間放送連盟のデータによる12年度のラジオ局の営業収入はAM局合計865億円、全FM局が610億円で、それぞれピーク時から60%、40%減で、減収に歯止めがかかっていない。
 当然、番組提供を受けることもあるキー局などとの経営統合に思いがいく。だが現行法では、ラジオ局は1社で複数県の免許を持てるものの、県ごとに個別の番組を制作・放送しなければならず、合併しても制作費の削減には結びつかない。業界再編が進まないゆえんだった。
 しかし、11年の東日本大震災の体験から総務省は災害時のラジオの役割を重要視。ラジオ局の経営基盤の強化に向け、異なる放送対象地域の事業者同士の事業再編で放送番組の同一化ができるようにし、設備等番組制作コストの削減ができるようにする方針を固めた。
「マスメディア集中排除原則の特例」の緩和を進め、「経営の合理化に取り組もうとする放送事業者が、総務大臣の認定を得て『経営基盤強化計画』(仮称)を作成し、多種多様な事業再編を、より柔軟かつ円滑に行うことを可能とする」ことになった。
 昨年、民放連は総務大臣に「マスメディア集中排除原則の緩和」を要望。総務省は15年度施行を目指して放送法改正を急ぐ。そうなれば、放送局の整理統合には弾みがつく。


 奇策か「破れかぶれ」かみずほの住宅ローン戦略

 みずほ銀行が1月10日から発売した住宅ローン金利に驚きの声が上がっている。固定金利型2年物で年率0.55%と、店頭表示金利から2.10%も優遇する出血レートで、競合する他のメガバンクや自行の変動金利型をも下回る、前代未聞の金利水準だったからだ。
 みずほ銀行の住宅ローンは3月31日までの期間限定の商品で、「今年4月からの消費増税を前にした住宅購入の駆け込み需要を取り込むことで、個人取引の囲い込みとメイン化を図る」(関係者)との戦略がある。住宅ローン取引を獲得すれば、預金のみならず、各種の個人ローンや決済取引が集中するようになるからだ。
 融資額は50万円以上、1億円以内(10000円単位)。最長35年まで借入可能で、当初の固定金利適用期間(2年)経過後は変動金利方式か固定金利方式のいずれかを選択でき、完済までその時点の店頭表示金利から1.7%優遇される。これらの金利優遇を受けるためには、みずほの「マイレージクラブ」入会および「みずほダイレクト」契約のほか、給料振込指定、マイレージカードの保有、住宅ローン利用店舗のカードローン取引のいずれかが条件になる。
 みずほ銀行は、オリエントコーポレーションとの提携ローンで暴力団向け融資が混入していた問題で、金融庁から業務改善命令を受け、当該提携ローンの取り扱いを1カ月間停止している。この不祥事で低下した「みずほブランド」の復活には、思い切った顧客還元が必要との思いがある。その第一弾に選んだのが今回の住宅ローンといっていい。


 大学淘汰の引き金となる奨学金滞納者の大学名公表

 奨学金滞納問題で大学淘汰が始まる──。文部科学省と独立行政法人「日本学生支援機構」(旧・日本育英会)が来年度以降、機構が貸与した奨学金の滞納者が多い大学名の公表に踏み切る可能性が出てきたからだ。
 いまや日本の大学生の2人に1人が奨学金を利用する時代。このため、国内の奨学金の9割を賄う日本学生支援機構(以下、機構)が貸与する奨学金の額は急増し、2013年度の総額は約144万人で約1兆2000億円にもなる。当然ながら滞納額も膨らみ、3カ月以上の延滞債権(12年度)は、約19万人で2682億円にも達する。
 その問題解決の切り札とされるのが滞納者の多い大学名の公表で、奨学金問題に詳しい弁護士は、「滞納の背景には、乱立で経営が苦しくなっている大学側が、学業にそれほど意欲のない学生にも安易に奨学金を勧めて入学させて囲い込もうする現実がある。そうした学生は就職も難しく滞納者となる」と指摘する。
 大学は支援機構から奨学金を貸与された自校の学生について、成績などを審査して貸与継続が適当かを見定める決まりになっているのに、その審査は“大甘”。業を煮やした機構は12年度、ほとんど単位を取らないなど「貸与打ち切り」とすべき約600人の学生を「警告」にとどめた大学の審査結果を覆した。
 大学名が公表されると、こうした奨学金利用の安易な推奨や入学後の“大甘審査”はなくなる一方、入学者も減るとみられている。さらに文科省と機構は、延滞率の高い大学の奨学生枠の配分を減らすことも検討中。いずれも実施されれば、奨学金頼みの傾向が強いとみられる地方私立大や、偏差値の低い下位校にとっては“致命傷”となりかねない。


 お粗末すぎて撤退も当然、ローソンの電子書籍

 「電子書籍元年」と騒がれたのが3年前だが、早くもローソンが電子書籍からの撤退を発表。その実態は撤退が当然と思えるほどお粗末なもので、「ローソンでまともに電子書籍に携わっていた社員はいない。実際の実務は大日本印刷の子会社が片手間で請け負っているような状態。初めからうまくいくはずがない」と、電子書籍業界の関係者は苦笑する。
「ローソンの電子書籍担当者なんて会ったこともない」と打ち明けるのは、大手出版社の電子書籍担当者だ。アマゾンや楽天など主要な電子書籍ストアが何度も交渉を重ね配信許諾を得てきたのとは正反対の姿勢で、最も大切な品揃えにおいて大きく劣っていたのだ。「集英社などの人気コミックを扱えない状態で放置するなんて信じられない。売り上げの半分以上を最大手の人気コミックに頼っているというのが電子書籍ストアの共通した実情なのに……」と電子書籍業界関係者も言う。
 電子書籍ストアが閉店すると、利用者は大きな不利益を被ってしまう。購入した電子書籍が閉店によって読めなくなるからだ。そこで今回の閉店に対する補償として、電子書籍購入額相当のローソンで使えるポイントを支給するという。
「閉店の対応としては良心的なほう。しかし、購入額全額を返却できるということは、ローソンでの電子書籍の売り上げがほとんどなかったことの証ともいえる」(ネット業界関係者)との手厳しい声もある。日本の電子書籍市場でアマゾンがシェアの半分以上を押さえたというのが業界の常識であり、アマゾンによる完全支配が確実に近づいているようだ。


 東西広域暴力団が蠢く電通LED事件の闇

 電通の100%子会社「電通ワークス」(東京都中央区)に、LED照明の架空取引を持ちかけていた詐欺師グループが1月16日、2億3000万円を詐取したとして逮捕された。
 東西広域暴力団が電通の“信用”を利用、同社をみんなで食いものにしようとした構図が明らかになってきており、警視庁組織犯罪対策四課は、再逮捕を繰り返して全容を解明する方針だ。
 発覚のきっかけは、77万本、約120億円分という多額のLED照明の発注を受けた電通ワークスが、LED開発会社のワールドワイドエンジニアリング(WWE)に下請けに出したところ、約40億円の前渡し金を詐取されたことだった。電通ワークスから相談を受けた警視庁は、2年近い歳月をかけて内偵捜査、満を持して詐欺容疑で立件した。時間がかかったのは、120億円の発注に至るまでに数多くの商流があり、そこにWWEだけでなく十数社の怪しい会社や多くの暴力団関係者が関与して複雑だったからだ。
 捜査関係者が言う。
「最初は実需を伴う取引だった。ところが、資材確保を名目に、発注の時点で発注金額の半分を前渡し金で渡すという商慣習をつくったために、WWEは架空発注で資金繰りをつけ始めた。そうなると、WWEの“仲間”の企業も電通ワークスに群がるようになる。やがて収拾がつかなくなり、120億円分という、とてつもない発注に至って墓穴を掘った」
 組織犯罪対策4課は暴力団担当である。ここが事件を受けたのは、WWEを軸に十数社が絡んだLED照明の商流に多くの暴力団関係者が潜んでいたこと。それも1つの暴力団だけではない。山口組、稲川会、住吉会といった広域暴力団が揃い踏みだった。
 組織犯罪対策四課は、LED照明の“闇”をどこまで明かせるか。関係者の期待は大きい。


 タニタ食堂の先を行く? 大人気の国循病院食弁当

 「ヘルシー食」と人気になったのがヘルスメーターのタニタが提供する「タニタ食堂」だが、このタニタ食堂の先を行く「健康食」と話題になっているのが、大阪の国立循環器病センター(国循)が開発した「病院食弁当」だ。
 もともとは国循が病院改革の一環として病院食も見直したのがキッカケだった。通常、入院患者の病気に合わせて栄養管理士が献立を考えるが、国循では京料理のプロである料理長が腕を振るって減塩の病院食を作って提供したのである。すると、入院患者だけでなく、患者家族や見舞い客、外来患者が「われわれも病院食を食べたい」と言い出したという。あまりの要望の多さに国循は病院食のレシピを公開。さらに『国循の美味しい!かるしおレシピ』(セブン&アイ出版刊)を出版。続編と合わせて25万部のベストセラーになる人気ぶりだ。
 今では国循弁当人気に刺激を受けた各地の病院でも病院食を改善し、「おいしい病院食を院内のレストランで食べられます」と謳う病院が次々に出現。さらには、その人気に目をつけて社員食堂に献立を提供するネット業者や大手商社が国循と提携したり、惣菜と弁当業者のデリケア社が国循の「適塩弁当」として大阪・梅田の大丸や京都大丸で販売を開始。関東でも駅弁業者の万葉軒が提携して昨年末に千葉そごうで、新年からは東京・上野の松坂屋で、適塩「いたわり弁当」と名付けて本格的に販売を始めた。
 タニタ食堂人気の次は国循開発の「減塩健康食」ブームになりそうだ。


 病気がわかる遺伝子診断で注意すべきは数字過信

 最近、遺伝子診断の話題が世間を賑わせている。乳がんの遺伝子検査を受けて自分の乳房を切除したハリウッド女優もいたが、いまや遺伝子診断は身近な検査になりつつある。
 米国などでは遺伝子診断を過剰に気にする風潮が問題になっているが、病気の発症は遺伝子だけで決まるわけではなく、食事や生活習慣、大気汚染、化学物質の摂取、ストレスなど要因は多種多様で、メカニズムもそう簡単ではない。あくまで、遺伝で受け継いだ体質がリスクを高めているわけで、病気そのものが遺伝しているわけではない。
 現段階では約40種類の病気が遺伝子リスクを調べられるようになっている。肥満は67%が遺伝、33%が環境とされている。肥満しやすい遺伝子を持っていても、食事や運動に注意すれば肥満を防ぐことは可能だ。また、アルツハイマー病の場合は62%、糖尿病は64%が遺伝的要因とされている。がんでは、乳がんが73%とかなり遺伝的影響が高いが、他のがんではそれほどでもない。遺伝の影響が強い病気では、自己免疫疾患であるクローン病で80%、緑内障は87%が遺伝的要因による。突然死の原因の1つ腹部大動脈瘤も遺伝リスクは72%と高い。
 遺伝子検査は、将来の自分の疾病リスクを知り、それに対する予防を心がける上で大きなメリットがあるが、数字に振り回される弊害も大きい。新しい医療技術をどう使うかがこれからの課題だろう。


 FRB副議長に大物起用で新体制はツートップ発進

 米国のオバマ大統領は1月10日、FRB(米連邦準備制度理事会)の副議長に、前イスラエル中央銀行総裁のスタンレー・フィッシャー氏(70)を指名すると発表した。また、空席だった理事ポストに前米財務次官のラエル・ブレイナード氏を指名。これで2月1日に就任するジャネット・イエレン議長(67)の新体制が固まった。
 FRBの新体制は、まさに創立100周年を迎えたFRBに相応しい重厚な布陣といえよう。初の女性議長となるイエレン氏は、ニューヨークの下町、ブルックリン出身。1929年の大恐慌を体験した医師と教師のユダヤ系の家庭に生まれた。高校では総代を務め、ブラウン大学で経済学を専攻、イエール大学大学院に進み、経済学博士号を取得。その後、ハーバード大学助教授を経て、77年にエコノミストとしてFRB入りした。ここで夫となるジョージ・アカロフ氏と出会う。
「おしどり夫婦」で知られ、アカロフ氏は後にノーベル経済学賞を受賞する。また、息子のロバート・アカロフ氏も英ウォーリック大学助教授を務めるなど、経済学者一家である。「温厚な性格で、周囲の意見に耳を傾けつつも粘り強く相手を説得するタイプ」というのが知人の共通したイエレン評である。
 一方、イエレン氏の後任副議長となるフィッシャー氏は、国際通貨基金(IMF)の筆頭副専務理事や米金融大手シティグループの副会長などを歴任した大物で、現FRB議長のバーナンキ氏や欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁らを指導したこともある、著名な経済学者でもある。大物副議長の起用で難しさを増す議会対策を乗り切り、浮揚する経済運営をより確実なものとしたいオバマ大統領の思惑が垣間見られる。
 イエレン、フィッシャーの新FRB「ツートップ」がどんな政策運営を展開するか、世界が注目する。


 ドイツ軍需産業がアジア諸国へ売り込み

 「アジアの紛争はわれわれのチャンス」とばかりに、ドイツの軍需産業がアジアで武器の売り込みをかけている。南シナ海の領土問題などをめぐる緊張の高まりで、アジアでは高性能潜水艦をはじめとする軍需品、武器の需要が高まっている。ドイツの軍需産業は成長するアジア市場に目を向け始めたのだ。
 造船大手ティッセンクルップ・マリン・システムズは昨年11月末、シンガポールから最新鋭の218SG型潜水艦2隻を受注した。注文設計で受注総額は16億ユーロ(約2300億円)。2020年にシンガポール海軍に引き渡す予定で、ドイツの専門家が乗員に訓練を施す契約になっている。
 218SG型は従来型より音が小さく、探知されにくい。そのうえ80日間を超す航行が可能で、1カ月近く継続して海面下で過ごせる。つまり、浮上しないまま長距離を移動でき、広大な海域に配備するにはうってつけ。シンガポールはドイツの技術を利用し、域内で最先端の武力を備えることになる。
 南シナ海は鉱物資源や漁場に恵まれているだけに、周辺各国は軍事力を前面に出して牽制し合う。その結果、アジアは中東とともに、世界では数少ない武器の成長市場となっている。13年の世界の五大武器輸入国のうち、3カ国を中国、韓国、シンガポールのアジア勢が占めており、ドイツにとってアジアは外貨獲得源として魅力的な市場というわけだ。


 両派に妥協点見出せずタイ騒乱は長期化する

 タイ王国の首都、バンコクは黄シャツ派(既得権益層=王室派)のデモ隊によって封鎖されている。今回のデモ隊の特色は、主体となるのが大学教授、学生などのインテリ層と都会の富裕層であること。彼らの狙いは政府機能を麻痺させタクシン派をタイ王国から追放することにある。
 一方、民主的な選挙で選ばれて政権を握る赤シャツ派(タクシン派新興富裕層・反王室派)は、貧富の格差是正、貧農救済などの大義名分を掲げている。
 黄シャツ派と赤シャツ派の根本的対立は、富の帰趨にある。タイでは首都、バンコクが地方の農村地帯を植民地化して富を収奪するという構図が長く続いていた。この構図を利用して、タクシン元首相は政権を獲得した。つまり貧しい農民たちにお金をばらまき、民主的選挙で票を得て圧倒的に勝利したのだ。
 赤シャツ派が握る政府に税金を払っているのは主に都会の富裕層、つまり黄シャツ派だ。その税金が農民、貧民層とタクシン派の新興富裕層に流れている。これでは既得権益層である黄シャツ派の衰退は明白で、今回の騒動となった。
 黄シャツ派の意向は軍事クーデターによる新政権樹立。王室もこれに賛成なのだが、事は簡単ではない。軍部が介入すると、市街戦で死者が出るなど大混乱が必至で、欧米も民主的に選ばれた政権の支持を明らかにしているからだ。
 黄シャツ派と赤シャツ派の妥協点はまったく見当たらない。はっきりしているのは、しこりと対立でタイの騒乱が長引くことだけである。


 内戦状態のイラク情勢を報道しないアメリカの都合

 イランの核開発をめぐってテヘランの宗教政権非難に忙しい米国の政界とジャーナリズムだが、なぜ隣のイラクの混乱では騒がないのか?
 米国は民主主義イラクを建設する手はずで大軍を送り込み、シーア派とスンニ派とクルド族の平和的鼎立状態を演出した。しかし選挙後、政権を握ったのはイランが後押しするシーア派。多数派のスンニ派は野党に転落し、北西部はクルド族の自治区、石油拠点の奪い合いが3派で演じられてきた。
 そうした中、シーア派の勢力拡大はめざましく、南東部に拠点を置く過激集団はサドル師を中心として政権に参画しており、傘下のシーア派武装集団がスンニ派住民の虐殺を始めた。この報復のためスンニ派過激派も武装。いってみれば内戦状態、これがイラクの実態だ。
 イラクにはいくつか過激テロ集団が存在する。その代表格はスンニ派の武装集団「イラク・アルカイーダ」(AQI)と、シーア派の過激派が集まる「アサイブ・アフル・ハック」(AAH)だ。この1月、AQIの軍事攻撃が本格化し、バグダッドに近いファルジャが陥落した。手も足も出ないマリキ政府は、これからのイラクの暗さを象徴している。
 せっかく回復軌道に乗った石油生産も停滞気味となり、アフガニスタンでカルザイ政権が米軍撤退後、おそらく崩壊すると予測されるように、イラクの民主化は振り出しに戻るだろう。結局、「米国の介入は何だったのか?」と、オバマ政権は選挙民に問われかねない。だからイラク報道が激減したと考えられる。


 周回遅れの独企業の進出で活況の広州・仏山市

 深刻な不況に陥った中国で、意気軒昂で異彩を放つ都市がある。広州の白雲空港まで高速バスで1時間。世界最大の家具メーカーが集積する仏山市(人口700万人)だ。いまや落ち目の上海よりも、この広東省仏山市のほうがビジネス旺盛である。仏山市の1人当たりGDPは15000ドル、世帯平均50000ドルの財産を持っている。その理由は次の通り。
 第1に、国有企業の民間払い下げに成功し、市場に競合が生まれたこと。個人の起業家精神を刺激したため独創的企業が増えたのだ。そして第2に、「ドイツ工業特区」を造成し、ドイツ企業がこぞって進出したことである。
 もともと仏山は、その名の通り仏教の門前町として発展してきた。いつしか家具、家庭用品、陶磁器の産地として急拡大し、広東省のデルタ工業地の中心である広州市とその周りの東莞、珠海などといった、自動車、コンピューター部品メーカーの集積地域とは異なった生き方をしてきた。それゆえに金融不況や不動産バブルの悪影響が少なかった。
 それだけに、最大の注目はドイツである。日本企業が対中投資を半減させてアセアン諸国などへ移ろうとしている時、周回遅れでドイツが中国に大々的に進出し、フォルクスワーゲンは中国だけで250万台を生産している(ちなみにトヨタは80万台)。欧米とは航空機、戦車など武器技術の交流も盛ん、メルケル首相は財界人を大量に率いて昨年も2回訪中した。
 それほどまでにドイツは官民挙げて中国に熱を入れる一方、ひと頃の人権批判を口にしなくなった。いましばらくは、ドイツ企業の進出で仏山市の活況は続きそうだ。


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