ダミー
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 選挙制度は民主と公明が連用制移行で一致

 衆院選挙制度改革をめぐり、民主党は「1票の格差」是正とともに、現行の小選挙区比例代表並立制の下で、比例部分(定数180)の80議席削減を公約としている。これに対し、比例削減は少数政党に不利になるため公明党が強く抵抗。与野党間の協議は前進していないが、実は水面下では民主党と公明党の間で、並立制を公明党が主張する連用制に移行する案で調整が進んでいる。
 連用制だと、比例代表の獲得率に従って割り当てられることから、小選挙区が主体となる現行の並立制よりも小政党には有利に働く。それゆえ、前回衆院選で小選挙区をすべて落とし、次回衆院選での失地回復を目指す公明党にとっては「理想の制度」(同党選対関係者)となる。一方、民主党にとっても並立制に比べて議席減の幅を縮小することができる長所がある。
 実は昨年秋頃、公明党の一部から連用制を求める声が高まった後、収束した経緯がある。それがここへきて、野田内閣の支持率低迷が続き、衆院解散・総選挙の先延ばし説もささやかれ出し、衆参ねじれ国会の解消を図りたい民主党と、自党に有利な形で大幅な選挙制度改革を実現したい公明党の思惑が一致してきた。
 そうした中、先の内閣改造で入閣した岡田克也・副総理は1月16日の講演で、「もう少し第3党が議席を持てる形にして、第1党と第三党が連立を組める形を考えるのが1つの工夫だ」と発言し、公明党に秋波を送った。するとある公明党幹部はこう言い切った。「ちょっと早過ぎるが、目指す方向は正しい」。与野党対決構図の裏での民公接近は、今後の政局の隠れた焦点となりそうだ。


 あの「豪腕・小沢一郎」が極端な金欠病に陥る?

 小沢一郎・民主党元代表が今、ひどい「金欠病」に陥っている──。こう断言するのは、政敵の仙谷由人・政調会長代理である。創価学会幹部も同じ見方をしている。
 民主党の内部事情に詳しい幹部によると、2006年から09年の3年間で、小沢氏は代表、幹事長として党から「組織対策費」の名目で党財務委員長の銀行口座から40億円のカネを引き出した。これは小宮山洋子・元財務委員長(現・厚生労働相)が調べ上げており、カネは選挙の陣中見舞いなどに使われたという。
 小沢氏がすべての役職から外され、党員資格が停止された現在、党のカネを全く手にすることができなくなった。小沢グループへの資金パイプは「ショート」状態だという。小沢氏の手元にいくら残っているかは彼のみぞ知るだが、チルドレンへの接し方、恒例の自宅新年会の廃止などを勘案すると「相当深刻な金欠」(仙谷氏)らしい。小沢氏側近は、BSテレビの「BS11」に「小沢氏を恒常的に出演させてほしい」と売り込んでいる。これもカネを使わずに自分の言いたいことが言えるメディアを確保したいためといわれるが、盟友の輿石東・幹事長は小沢氏に「一銭も流していない」(党幹部)。
 普通、新党結成には20億から30億円が必要と言われる。仮に、小沢氏が30人を引き連れて新党を結成すれば、10億円の議員収入と離党する人数分の政党助成金は確実に入手できる。当座の資金は、小沢氏がストックしているカネでやりくりしなければならないが、そのストックが底を突いているというのだが。


 中韓両国が懸念する松原新大臣の立ち位置

 野田改造内閣で、超党派の拉致議連で事務局長を務めてきた松原仁氏が拉致問題担当相に就任した。真っ先に拉致被害者である横田めぐみさんの両親を訪ねて解決への意欲を示し、被害者家族も「適任者が選ばれた」と期待を寄せる。その一方で、中国や韓国は松原氏の登場を複雑な思いで受け止めている。
 中韓両国が憂慮するのは、松原氏が「新しい歴史教科書をつくる会」の主要メンバーである点。「つくる会」の活動に対し、両国では以前から「かつての日本の軍国主義的な動きの再来につながらないか心配」(中国シンクタンク研究者)といった意見が燻っている。そうした経緯から今後、松原拉致担当相との連携に慎重な態度で臨むことも予想される。
 日本と同様に拉致問題を抱える韓国では「拉致問題解決のために日本と協力しなければならない」(同国政府関係者)と考える人が少なくない。ただ、「韓日友好を損なう活動をしている人物と仲良くしていると見られれば、国内で激しく非難される。政治生命を失うことにもなりかねない」(知日派政界筋)という事情も無視できない。松原拉致問題担当相と積極的に接触しづらい雰囲気がある上、何かにつけて同担当相の言動に過敏な反応を示す可能性もある。
 北朝鮮が金正恩体制になることで、拉致問題は「大きく前進するチャンス」(日本の北朝鮮問題研究者)との観測が浮上している。中井洽・元拉致問題担当相が中国・瀋陽で北朝鮮側と協議したことが明らかになるなど、実際に動きも出てきた。その時期に松原氏を拉致問題担当相に据えたことを適切な判断だったとするためには、中韓両国の懸念を解きほぐす努力が必要だ。


 枝野大臣に知恵をつける改革派“アンチ電力”官僚

 “アンチ電力”の旗幟を鮮明にする経済産業省の枝野幸男大臣と同省首脳陣の神経戦が続いている。経産省は省内の審議会「総合資源エネルギー調査会」を舞台にエネルギー政策の見直しを進めているものの、枝野大臣は局長クラスからの説明を受け流している。その一方で昨年12月27日、発送電分離を掲げた電力改革の論点整理を発表した。
 これは、枝野大臣が八田達夫・大阪大学招聘教授はじめ5人の“アンチ電力”の有識者に独自にヒアリングしてまとめたもので、審議会とは一線を画する。とりわけ東京電力に対して枝野大臣は、料金値上げも原発再稼働も認めず、債務超過ギリギリまで追い込むことで発送電分離を勝ち取る構えとみられる。
 こうした事態に「大臣に知恵をつけているのは誰だ」と、同省首脳陣は疑心暗鬼。疑われているのは、1982年同期入省の改革派3官僚。野田内閣の「エネルギー・環境会議」を取り仕切る日下部聡・国家戦略室審議官、東電の事実上の管財人である嶋田隆・原子力損害賠償支援機構事務局長理事、そして、資源エネルギー庁の今井尚哉次長だ。
 3人の中でも、今井次長は発送電分離を仕掛けた剛腕次官・村田成二氏とも同じ官房総務課長経験者として親しい。何より今井次長は、枝野大臣と栃木県立宇都宮高校の先輩・後輩の間柄で、「孤独な大臣は気を許せる話し相手を求めている」(幹部)という。安達健祐次官の周辺も気付いてはいるものの、手出しできない状態だ。枝野大臣は表向き融和的な態度を示しているだけに、同省首脳陣との神経戦は当分続きそうだ。


 すでに内示はした? 東京電力国有化の現実度

 経産省・資源エネルギー庁が、東電福島原発事故後の東京電力の経営形態について、「一時的な国有化ではなく、全面的な国営化」を検討していることがわかった。
 経産省の国営化案は「今後の事故処理、賠償には国が全面的に責任を持つ」との前提で、(1)東電の定款を改正して、国が株式の六六%を所有する、(2)東電から火力発電所だけを切り離した新会社を設立する、(3)残りの水力、原発、地熱発電などは東電に残す、いわゆる新旧東電の形態、(4)発送電分離政策を強力に推し進める──などというもの。
「簡単にいえば、東電をバラバラにして解体する。最終的には旧関東配電みたいになるということだ。そのほうが新規参入業者も簡単に参入でき、業界の新生、活性化にもつながる」(経産省幹部)。
 この案は「すでに東電には内示してある」(同)とされ、これまでの1兆円程度の資本注入と、それと引き換えに33%の株式を国が所有する「一時的な国有化」とは様変わりすることになる。これに対し電力業界からは「東電が細分化されるなら、本当に電力の安定供給が守れるのか」、「火力発電所だけを統合した新東電が設立されるなら、新会社は利益を計上しなければならないから、料金は必ず現状より値上げになる」など、早くも反発の声が出ている。
「この国営化は、東電叩きが顕著な枝野経産相の威光を借りて、電力自由化派の一部官僚が天下り先の確保も兼ねて画策しているもの。だが、国営化して新会社なら3兆円程度の資金が必要になる。世論の支持は得られそうもないし、官邸や財務省が認めるのは困難だ」(事情通)。


 最終処分場は福島第2原発で決まり!?

 「福島第2原発が最終処分場の最適候補地なんですよ」と、東京電力関係者が打ち明ける。
「最終処分場」は使用済み核燃料を処分する場所のことだが、この設置がどれだけ困難かは、運転を停止し、使用済み核燃料を“保管”していただけの福島第1原発4号機が運転中の1〜3号機と同じか、それ以上に危険な状態になったのでも明らか。
 実は、日本の原発は青森県六ヶ所村の再処理工場の稼働にメドが立っていないまま、使用済み核燃料を原発内のプールに溜め置いているのが現状で、フン詰まり状態。原発事故で、最終処分場の建設地探しが喫緊の課題となっている。
 だが、緊急性とは逆に、事故で国民の「忌避反応」は高まり、いかに札束を積み重ねても受け入れる自治体などない。つまり、国有地しかない。その最適地が、原発を建設するほど地盤がしっかりしており、しかも事故の影響で県知事・県民が強く再稼働に反対し、廃炉にするしかない福島第二原発なのだ。
 昨年末、「年間線量が50ミリシーベルト以上」の土地については、5年以上の帰還を認めない「帰宅困難区域」にするという新たな区分を発表、それに乗じて細野豪志・環境相は、除染後の汚染土壌の「中間貯蔵施設」を、年間線量が100ミリシーベルト以上に達する土地を買い上げて、そこに設置することを原発周辺の双葉郡自治体に要請した。
 原発周辺地は国が買い上げ、そこを放射能汚染土壌や使用済み核燃料などの「核のゴミ捨て場」にするしかないという国の“本音”が密かに語られてきたのだが、それを公言する日が近づいている。


 北朝鮮に警戒強める防衛省。日本攻撃、難民流入も想定

 防衛省が北朝鮮に対する警戒を強めている。権力を継承した、金正日・総書記の3男の金正恩氏の未熟さは否めない。軍が反旗を翻したり、政争が起こって日本に影響が及ぶ可能性もあるとみているのだ。
 防衛省幹部は「仮に北朝鮮にクーデターなど軍事的な動きがある場合、航空機による要人の亡命や難民の発生が想定される」と言う。北朝鮮はレーダーに映らない木製のアントノフ2輸送機を100機以上も保有している。探知できないのなら、10万人という世界に例を見ない大規模な特殊部隊の侵入を止められないことになる。「特殊部隊は小型潜水艇やエアクッション揚陸艇まで持っている。やろうとう思えば日本への侵入は容易です」と自衛隊幹部。
 日本攻撃の際には、ノドンやテポドンといった弾道ミサイルによる攻撃も起こり得る。自衛隊には迎撃するミサイル防衛システムがあるとはいえ、雨あられのように降り注ぐ弾道ミサイルをすべて打ち落とせるはずがない。
 とはいえ、北朝鮮が暴発したり崩壊しても、日本と北朝鮮の間には韓国がある。前出の自衛隊幹部は「韓国軍と在韓米軍との戦いを抜きに、日本だけ攻められることはない。戦力の大半は朝鮮半島での戦争に割かれ、日本に差し向けられる戦力はわずかだと思う」と分析する。
 ただ、その場合でも大量の難民が船で押し寄せるとみられ、日本列島が大混乱に陥る可能性は高い。北朝鮮の人々の思いはどうあれ、正恩氏への権力移譲がスムーズに進むことが日本の安定につながるようだ。


 廃炉でも除染でも大儲け、ゼネコンが潤うカラクリ

 放射能に汚染された土壌の除染作業が本格化している。福島第1原発事故から9カ月以上が経過、今年から「放射性物質汚染対策特別措置法」が施行され、住民全員が避難している「警戒区域」などの高濃度汚染地域は、国が直轄で除染を行っている。
 この除染で最も儲かるのは誰か。
 ゼネコンである。除染は基本的に瓦礫と汚染土壌の処理。大手ゼネコンは原子炉建屋などの建設を通じて放射性物質の取り扱いに慣れ、廃棄物の集積と運搬は本業。その先の「仮置き場」の設置や「中間貯蔵施設」の建設も担う。
 実際の作業は、地元業者を下請けに使うことになるが、放射性物質の管理を含む作業はゼネコンに委ねたほうが間違いがないということで、昨年末から原発周辺で始まったモデル事業は、鹿島、大成建設、大林組の「原子炉建屋御三家」が受注、「原発で儲け、廃炉と除染でも儲けるのか」と批判された。
 それに加えて、環境や放射能の専門家や医師が、「放射能汚染の危険と除染の重要性」について訴えれば訴えるほど、ゼネコンが儲ける“カラクリ”になっているのは誰もが釈然としないだろう。
 ゼネコン関係者が打ち明ける。
「先生方が真摯に訴えれば、放射能汚染を心配する国民の不安は大きくなり、その声に応える形で、政府は除染区域を5ミリシーベルト以下から1ミリシーベルト以下にするなど、範囲が広がっていきます。それだけ、われわれの仕事が増える」
 除染の必要性が高まれば高まるほど、原発事故に責任があるはずのゼネコンが潤うという矛盾。ここを認識して作業を監視する必要がある。


 あっけなく後退した医療イノベーション構想

 年末の御用納めの12月28日、医療イノベーション推進室室長の中村祐輔氏が辞任した。年が明けた1月5日、藤村修・官房長官は新室長に松本洋一郎・東大副学長が就任したと発表した。
 医療イノベーション室は、新成長戦略会議で医薬品開発を日本の経済成長の牽引役として位置付け、昨年1月に内閣官房に設置した組織。中村前室長は東大医科学研究所教授としてヒトゲノム解析の第1人者で、副室長には再生医療で有名な岡野光夫・東京女子医大教授、ノーベル化学賞受賞者の田中耕一氏が就任し、製薬業界代表と厚生労働省、文部科学省、経済産業省から企画官が加わり、文字通り産官学の頭脳を集めた、鳴り物入りの新組織だった。中村氏も就任当時、医薬品開発、再生医療、医療機器開発の分野ごとにタスクフォースを設置し、「日の丸印」の新薬開発を促すために創薬支援機構の設立を訴えるなど意欲的だった。
 だが、設立2カ月後の東日本大震災と福島原発事故で状況が一変してしまった。政府は復興支援、原発事故対策に追われたうえ、後ろ盾になっていた創設時の官房長官、仙谷由人氏は野田政権下で力を失っている。医療イノベーション室の構想は事実上、宙に浮いてしまった。
 こうなると、出向していた各省の企画官はイノベーション推進室が掲げる予算より本省の予算獲得に奔走し、中村室長とイノベーション推進室が目指した創薬支援機構のための2012年度予算はゼロ。やむなく「13年度予算に計上したい」と1年後の話に後退してしまった。相も変わらぬ縦割り行政に愛想をつかした中村氏は室長を辞任し渡米、シカゴ大学で研究に没頭するという。


 iPhoneは「毒饅頭」、ドコモが参入しない訳

 「ドコモ、夏にiPhone参入」。「日経ビジネスオンライン」が12月に報じた記事は業界に衝撃を与えた。だがNTTドコモは即日、否定する文書を出した。「基本合意した事実はない。現時点で具体的な交渉をしている事実もない」と完全否定だ。
 年が明けても、ドコモがiPhoneの発売準備をしているという噂は業界のどこからも聞こえてこないのだが、ドコモ関係者は「ドコモとしては獲得に本気で乗り出せない。アップルの奴隷になることを受け入れるわけにはいかないから」と言う。
 ある関係者はiPhoneを「毒饅頭」にたとえる。人気商品の販売権を手に入れれば確実に売り上げは増える。だが、iPhoneという最も人気のある端末を1番安く売らなくてはならないのだから、他の端末が売れるはずがない。当然、通信会社の業界への支配力は大きく落ちることになる。実際、ソフトバンクはiPhone以外のスマートフォンではかなり苦戦している。
 ドコモはiPhoneを扱うのか。日本の端末メーカーは固唾を飲んで見守っている。ソフトバンク、KDDIに続き、50%以上のシェアを誇るドコモまでもがiPhoneを販売すれば、壊滅的な打撃を受けかねない。「業界の盟主」ドコモとしては、国内の端末メーカーの不安を拭うためにも完全否定のコメントを強く出す必要があったのだ。
 iPhone参入を強く否定せざるをえなかったドコモのコメントから、アップルなどの海外勢に押される業界の苦境が浮き彫りとなった格好である。


 3.11で存在感を増したコンビニが超強気の新戦略

 セブン‐イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートのコンビニエンスストア大手3社が、国内出店強化に急速に舵を切っている。計画によれば、3社の新規出店数の合計は2012年度で約3,100店に達し、11年の度見込みから3割増え、過去最多となる見通しだ。「コンビニ飽和論」がささやかれた時期があったことを考えれば、市場環境は様変わりしたように映る。
 新規出店に対する大手3社の“潮目”を変えたのは、昨年3月の東日本大震災だったことは間違いない。震災を契機にコンビニの社会的インフラとしての存在感は増すと同時に、震災で大きく変わった消費に対する価値観を吸収する受け皿として機能してきた。
 実際、「3.11」後に一段と強まった消費者の中食志向を大手3社はいち早く取り入れ、主たる購買層も従来の若年男性層から、主婦層、高齢者を取り込む方向にシフトし、品揃えも大きく変えた。その結果、既存店での来店者増、売上増につなげた。それは、コンビニが進化し、業態転換にも近い変わりようでもある。まさに流通サービス業は変化対応業であることを実践し、「3.11」後の消費のニューノーマル(新しい常識)を先取りしたかにも映る。
 半面、コンビニ業界全体としては、am/pmのブランドはファミリーマートに吸収され、その店舗名は消え去り、サークルKサンクスの地域フランチャイザーがローソンへの移籍に動くなど、大手3社への寡占化の流れが一段と加速してきた。こうした一連の流れは、消費のニューノーマルを先取りした大手3社が主導し、コンビニ新時代の幕開けを意味しているのかもしれない。


 再上場目指すJALに初のパイロット出身社長

 今年9月の再上場を目指す日本航空(JAL)。2011年3月期の連結営業利益は1,884億円と過去最高の利益を上げるなど、業績は順調に回復している。このJAL復活と再上場体制固めに向け、再建の陣頭指揮をとってきた稲盛和夫氏は名誉会長に、大西賢社長も会長に退く。次期社長には専務執行役員の植木義晴氏が就任する。
 植木氏は、時代劇俳優で東映の設立にも参画した、あの片岡千恵蔵を父親に持つパイロット。パイロット出身社長は世界的にも珍しく、JALにとっては初めてのこと。
 植木氏は、社内では「稲盛会長の薫陶を1番得て、稲盛流の経営手法を受け継いだ“まな弟子”のような存在」(JAL幹部)だという。担当は路線を管理する路線統括本部で、「稲盛氏のアメーバー経営を継いで、路線ごとに採算管理を徹底して収益改善につなげた。その功績が認められたのでしょう」(同)。
 次期体制を固めたJALは、思惑通り9月に再上場できるのか。足元の業績は「再上場に何ら問題はない」(大手証券アナリスト)とされる。
 だが、「JALの業績は今がピーク。今後は、新機材の更新が始まって費用がかかる。さらに格安航空会社との競合も激しくなり、収益環境は厳しさを増す」(全日空幹部)との声もある。前出の大手証券アナリストも「JALの将来性を考えると、再上場の際の資本金や株主集めに厳しさもある」と懸念。さらに再上場後についても「これまでの有形無形の政府支援も終わり、厳しい市場の目にさらされる」とみる。こうした見方を跳ね返さなくてはならないのが次期体制。正念場を迎え、気を引き締め続ける日が続く。


 石原都政最大のアキレス腱、新銀行東京が震災地救済?

 石原慎太郎・都知事の肝入りで創設された新銀行東京を東日本大震災の復興を支える復興ファンドとして衣替えする構想が浮上している。
 新銀行東京は都の追加出資を受けるなど再建途上にあるが、2011年3月期決算で本業の儲けを示す実質業務純益が2億7,500万円と開業以来、初めて黒字となった。しかし、実態はリストラによる経費削減効果(店舗を新宿の1店舗とし、最大750人いた従業員も4分の1に縮小)と、過去に積み立てた貸倒引当金の戻入益(09年度42億円、10年度21億円がそれぞれ戻入益となった)に支えられた黒字決算で、本業である預貸で利益が上がっているわけではない。早晩、この貸倒引当金の戻入益は枯渇し、再び赤字に転落しかねない懸念がある。
 そこで目をつけたのが東日本大震災の復興需要である。資金難に陥っている被災地の中小・零細企業に融資する復興ファンドとして新銀行東京を転換する構想だ。大震災の被災地を救うということであれば、新銀行東京に投じられた1,400億円もの出資金(都税)も浮かばれる。都民も納得し、石原知事も名誉ある撤退ができる。
 石原都知事については、大阪市長となった橋下徹氏や亀井静香・国民新党代表らとの連携による新党立ち上げの話も浮上している。石原都政にとって最大のアキレス腱といわれた新銀行東京が、大震災の復興ファンドとして被災地住民に寄与することになれば、国政に転じる格好のPR材料となろう。


 トップ人事が注目される正念場のパナソニック

 今年、国内の大手企業のトップ人事で最も注目されているのがパナソニックだ。大坪文雄社長が現会長の中村邦夫氏からバトンを譲られたのが2006年6月。今年6月で満6年を迎える。
 この間、大坪社長は創業者の松下幸之助氏が手掛けた事業部制の解体や、松下電器産業からパナソニックへの社名変更、さらには三洋電機の買収などを手掛けてきた。しかし業績は低迷が続き、2012年3月期決算では税引き前利益で4,200億円もの大赤字となる見通しだ。
 社内では当初、「この低迷の責任をとって大坪社長引退、中村会長も一線から退く」との観測が出ていたが、最近ではこの見方とは裏腹に「現時点では社長、会長ともに留任との見方が多くなってきている」(パナソニック幹部)という。「今、社長になると詰め腹を切らされるとの思いが幹部にあり、なり手がいない」(同)というのが一つの理由だ。さらに「中村─大坪ラインがしっかり責任をとって後継に負の遺産が残らないようにしてから去るべきだ」(別のパナソニック幹部)との声もある。
 こうしたパナソニック内での“責任のなすりつけ合い”に業を煮やすのが傘下に入った三洋電機の従業員。パナソニックの買収後、三洋の白物家電事業は中国のハイアールに売却されるなど、「いつも真っ先にリストラの餌食になってきた」(三洋電機幹部)。また、力を入れるはずの電池事業も「シナジーを高めるための取り組みは皆無で、このままでは韓国や中国勢に追い越されてしまう」(同)と不満を漏らす。
 さまざまな問題を抱えるパナソニック。今回のトップ人事は名門復活への大きな鍵となりそうだ。


 純増数で伸び悩むドコモがゲーム機特需で首位奪還

 携帯電話会社の加入者獲得競争で異変が起きている。電気通信事業者協会(TCA)が毎月発表する事業者別契約数によると、2011年12月の月間純増数はNTTドコモが21カ月ぶりにトップに返り咲いたが、その原動力となったのは「通信機能付き携帯ゲーム機」。もっとも、スマートフォンに比べたら料金は格安なため、純増数が収入増に直結するわけではない。どうやら「嬉し恥ずかし」の気分のようだ。
 各社の純増数は、ドコモが42万9,900件、2位は20カ月連続トップを続けてきたソフトバンクモバイルで37万7,300件、3位がKDDIの29万4,300百件。
 ところが、ドコモの純増数のうち約19万件は、12月17日に発売された、ネット対戦が楽しめるゲーム機「プレイステーションヴィータ」に最初から組み込まれているプリベイド方式の契約分。これを除けば、「iPhone4S」の投入で急伸しているソフトバンクモバイルとKDDIの後塵を拝し、3位に転落してしまう。
 番号を変えずに携帯電話会社を乗り換える「番号持ち運び制度」の利用件数でも、KDDIとソフトバンクモバイルが転入超だったのに対し、ドコモは転出超で「1人負け」だ。
 今後、無線通信は通話やメールの「人―人」から、ゲーム機などの「人―モノ」や、機器間通信の「モノ―モノ」へシフトしていくのは確実とされ、今回の「ゲーム機特需」はその象徴。新規契約を競う加入者獲得競争も様変わりしそうだ。


 スマートフォン効果でソフトバンクが大規模採用

 爆発的に広がるスマートフォンが、氷河期が続く就職戦線に朗報をもたらしている。
「iPhone効果」で事業者別契約者純増数のトップを爆走しているソフトバンクグループが、今春入社の新卒採用を急遽、約100人追加募集することになったからだ。この時期の大規模採用は、最近の日本の大企業では珍しい。
 ソフトバンクグループは、4月入社の新卒採用として昨秋までに約400人を内定していた。ところが、その後、「iPhone4S」の登場もあってスマートフォン市場の伸びが加速、2012年は「顧客争奪戦」が一段と激化する見通しとなり、急遽、戦力を増強することを決めた。
 今回の追加募集による入社組は、内定済みの新卒採用と同じ待遇。先の選考で落選した人も、他社に内定が決まっている学生も応募できる。入社後は、主に営業部隊として現場に配置する予定だ。
 今春卒業予定の大学生の就職内定率(12月1日現在)は71.9%。前年同期を3.1ポイント上回ったものの、最近では2番目に低い水準だ。いまだに就職が決まらず奔走している学生は少なくなく、追加募集には相当数の応募が見込まれている。
 携帯電話市場は加入者が頭打ちになってしばらく停滞していたが、ソフトバンクモバイルはいち早く「iPhone」を導入してスマートフォン市場を牽引、NTTドコモやKDDIに圧倒的な差をつけ「一人勝ち」を続けてきた。
 だが、ライバルたちも態勢を整え、巻き返しを図っており、ヤングパワーの大量投入で「主戦場」での攻防を有利に進めようというハラのようだが、「急造部隊」が成果を上げるかどうかは予断を許さない。


 中国仕様に開発して成功、東レに学ぶ中国進出戦略

 中国は海外資本の進出のあり方に対して、一定の線引きを強めている。要は「中国の今後に役立つもので積極的に進出してほしい」ということなのだが、こうした中で東レの進出は極めて巧みといえる。上海に研究所を設けて、厳寒の地である中国専用の繊維を展開しており、マイナス温度での外出が容易な、特異な繊維を織った服の生産が始まっている。
 その延長線上で今年早々には、中国向け家庭用浄水器「トレビーノ」の発売を開始した。中国の水道水質に合わせて開発した4機種である。わざわざ中国向けに独自開発した理由は、(1)中国の水道水質は日本の水道水に比べて濁りの成分や有機物が多い、(2)その結果、定期交換する部品のカートリッジが短期で詰まりやすくなってしまう、(3)対応策として、ストロー状の糸の膜である「中空糸膜」の面積を従来品より大きくすることでカートリッジの長持ちを工夫した──ということにある。
 東レでは、初年度の売り上げ目標を計10万台としている。販売地として大都市部の北京・上海・広州に照準を合わせる。つまり、「まずは富裕層向けに」というわけである。商品価格からして、それは当然の戦略で、据え置きタイプで2,500元(約3万1,000千円)、蛇口直結型でも550元(約6,000円)もする。
 中国政府は不動産(住宅)バブルの抑制策を打つ一方で、より安い住宅の供給策に前向きな姿勢を見せている。住宅戸数増加=中国向け浄水器生産増効果(1台当たりの価格低下)は、東レ側の視野に十分に入っているはずだ。


 ベトナム参入で熾烈化、医療ツーリズム競争

 新しい「観光産業」として日本でもようやく力を入れ始めた医療ツーリズムだが、お隣韓国では昨年実績で8万1,789人もの外国人が医療観光で訪れ、今年は約11万人に達する見通し。その経済効果は、今年は約6,200億〜6,300億ウォンと推計されており、今後、韓国にとっては有力な外貨獲得産業になると期待されている。将来的には、医療ツーリズムによる外国人患者は100万人規模になると見込まれる。
 アジアの医療ツーリズムでは、ほかにタイやシンガポール、インドなどが力を入れているが、最近ではベトナムも参入し、ますます患者獲得競争が激しくなりそうだ。
 ベトナムといえば日本の医療支援が盛んな国で、日本医療の影響も強い。医師や看護師には米国や日本で医学教育を受けた者も多い。ハノイに新しく開設した医療ツーリズム向けの病院はビンメック国際総合病院。医療設備は国際基準を満たし、最新医療機器も備えているだけでなく、医師の半数は博士課程を修了した専門医である。病室などの設備も5つ星ホテル並みの豪華さだ。病室数600、VIP用の特別室や首相専用の診察室なども設置されている。
 日本でも政府が医療ツーリズムに力を入れる方針を出してはいるが、医療界には反対意見も根強く、後れを取っているのが現状だ。そんな中でもアジアとの関係を強めている福岡県では、県内の医療機関を受診する外国人向けのサポートを始めた。
「福岡アジア医療サポートセンター」を開設したのがそれで、医療ツーリズムで来日する外国人向けに、英語、中国語、韓国語で対応できるスタッフが受診時の通訳や医療機関などの紹介を行う。台頭するアジア諸国との競合は医療分野でも始まっている。


 創価学会内部で進む“太子党”結成の動き

 創価学会の内部では、絶対的な指導者である池田大作・名誉会長から長男で副理事長の博正氏への権力世襲を疑う者は少ないが、創価学会の「北朝鮮化」だけでなくて「中国化」も着実に進んでいることはあまり知られていない。池田氏の親族だけではなく、最高幹部の子弟の要職への起用も着実に進んでいるのだ。さながら元幹部の子弟グループが一大勢力を築いて習近平・国家副主席を次期最高指導者に押し上げた中国「太子党」を彷彿とさせる。
 原田稔会長の息子・星一郎氏は、首都・東京の青年部を取り仕切る総東京青年部長。昨年9月には、池田氏が会長を務める創価学会の海外組織・創価学会インターナショナル(SGI)の青年部長兼務となった。また、池田氏の最側近で次期会長候補の1人と目される谷川佳樹・副会長の娘・佳子さんは昨年6月、創価大学・創価女子短大に学ぶ女子学生部員の集い「創大秀麗会」の委員長に就任した。
 同時期には、青年部を卒業した古参会員(壮年部)の責任者である萩本直樹・壮年部長の息子・秀樹氏が学生部の教育室長に起用され、いずれも「聖教新聞」に顔写真入りで紹介された。その3カ月後に秀樹氏は、現職兼務でSGI学生部長に出世している。
 池田名誉会長が表舞台から姿を消して今年5月で2年。「聖教新聞」紙上では相変わらず、池田氏と歴代の中国指導部との交流を頻繁に紹介し、中国を礼賛しているが、「縁故」が幅を利かす組織作りもしっかり見習っている?


 iPadを脅かすウルトラブックの実力

 ある出版社部長の弁。
「思った以上に軽い、薄い、速い。マルチタスクだし、購入してみてiPadを使わなくなってしまった」
 購入したというのは、“タブレットキラー”になりそうなウルトラブックのこと。いわば、ノートPCを極限まで薄く、軽くした代物で、国産勢ではノートPCで先駆けた東芝が投入。このほか台湾のエイサーやアスース、中国のレノボが昨秋以降、相次いで投入してきた。評判も上々なことから、今春以降、各パソコンメーカーが一斉に参入してきそうだ。
 iPadに代表されるタブレットはタッチパネル操作で、キーボードのタイピング量が多い人には違和感を訴える向きも多かった。それでもタブレットが勢いを増したのは、「ノートPCだと起動時間が長いから」という理由が大半。
 薄さ、軽さでタブレットと遜色なく、高性能CPUを搭載して起動も見違えるように速いとなれば、タブレットと形勢逆転の可能性は大いにある。タブレットは医療機関や文字入力がさほど多くはない営業マンにはこれからも重宝されるだろうが、いつでもどこでも情報収集して、フェイスブックを使う程度ならスマートフォンでこと足りる。スマホとウルトラブック併用者は、冒頭の出版社幹部のように相当な勢いで増えていきそうだ。
 パソコンメーカーにとっても、ウルトラブックは救世主的存在だ。液晶テレビ同様、既存のノートPCはコモディティ化が激しく、新製品が出ても価格下落が激しく、もはや儲かる商材ではない。その点、今のところはウルトラブックの値崩れは大きくない。参入企業が増えて値崩れが起きる前にどれだけ儲けておけるかの勝負といってもいいだろう。


 電力会社の会見オープン化、記者の資質も懸念材料に

 全国の電力会社が実施している定例会見が、これまでは参加が許されなかったフリー記者らにも全面開放されることになった。
 情報開示という側面からは「旧態依然の電力会社も変わって当たり前」という声がある半面、「自称記者たちのパフォーマンスの場に利用される」(関係者)という懸念もあり、電力各社では当面、頭の痛い対応を余儀なくされそうだ。
 会見のオープン化が進んだ発端は北海道にある。北海道電力が同社本店内で開いている会見に、一般紙や通信社、地元テレビ局などで構成される「北海道経済記者クラブ」加盟社以外の記者を排除、地元の雑誌と激しい対立が表面化したことに始まる。この北海道内の対立が今度は東京に持ち込まれ、あるフリー記者が枝野幸男・経済産業相に北電の対応ぶりを追及、枝野経産相から「フリー記者を排除しないよう指示する」との言質を勝ち取った。大臣の発言に慌てた資源エネルギー庁は全国の電力10社に対し会見のオープン化を直ちに要請し、実現したわけだ。
 しかし一方で、フリー記者の資質も疑問視されている。真面目に取材活動を続けるフリー記者は確かに存在する半面、「3.11」後の原発に関連した会見では、「どなる・わめく・いなおる」的なパフォーマンスに明け暮れる「自称記者」も少なくない。情報開示に閉鎖的な体質を改めることが電力各社に求められるのは当然だが、「秩序なき開放」は、会見という重要な情報開示の場の存在意義を損なう懸念もある。


 「脱原発」のドイツが隣国に電力支援を要請

 東京電力福島第1原発の事故を受け、2022年までにすべての原発を廃止する方針を決めたドイツが昨年12月、電力不足の恐れのため、南隣のオーストリアから電力の供給を受けた。送電網規制当局の連邦ネットワーク庁は「あくまで予防措置」と強調するが、電力供給への不安を露呈する形になった。
 供給を受けたのは12月8日、9日の2日。同庁や送電網運営会社によると、洋上風力発電施設が集中するドイツ北部で強風が吹き荒れた結果、過度の電力を生産。送電網が電力に耐えられず、工場が多く需要の高い南部への送電に支障をきたした。
 これに加え、南部にある原発1基が点検のために11月下旬から稼働を停止。南部で電力が不足する可能性が高まったという。
 オーストリアとドイツは昨夏、いずれかの国で電力が不足した場合に支援する協定を結んでいる。今回はこれを初めて適用。ドイツは2日間で100万キロワットの供給を受けた。オーストリアは3基の火力発電所を使用。うち1基は休止中の予備の発電所で、このためにわざわざ稼働させた。
 北国のドイツでは脱原発に転換後、夏よりも暖房需要が増す冬場の電力不足が懸念されていた。ネットワーク庁は「電力が不足したのではなく、送電網の問題」と主張する。しかし、メルケル政権が脱原発を打ち出した際、最も不安視されたのは電力の生産手段ではなく、ほかでもない未整備の送電網だ。北部でどれほど最先端の再生可能エネルギーの生産手段を用意しても、電力を供給できなければ意味がない。今回、送電網の不安が改めて浮き彫りになった。


 お次はスコットランド!? 英キャメロン首相の賭け

 ユーロ危機の克服に向けた欧州連合(EU)の条約改定を拒否し、与党の保守党などから喝采を浴びた英国のキャメロン首相だが、今度はスコットランド独立問題で英政界を驚かせている。同首相はスコットランド自治政府が求めている独立の是非を問う国民投票について「18カ月以内に実施するなら法的拘束力があるものと認める」と表明、内閣でも具体的な検討を始めた。
 ただ、投票の結果によっては国家分裂にもつながりかねない微妙な案件だけに、キャメロン首相はEUに続きスコットランド問題でも大きな賭けに出たといえそうだ。
 英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北部アイルランドで構成される。スコットランドは1707年に統合された。しかし、本来の言語は英語ではなくゲール語で、歴史的、文化的な背景もイングランドとは異なり、統合は強制された不法なものと考える住民も多い。さらに近年、北海油田の発見で財政上の裏付けができたことなどで再独立の機運が高まっており、2011年5月の議会選挙では英国からの独立を求めるスコットランド国民党が過半数を獲得。14、15年頃に国民投票を実施する意向を示していた。
 ただ各種世論調査によると、国民投票があった場合、独立に賛成すると回答したのは35%前後。次第に賛成が増えているとはいえ、過半数にはまだ遠い。さらに独立に際して、北海油田の収入や英国の財政赤字の分配の仕方なども大きな問題となる。当初の予定より期限を早めたキャメロン首相の提案は、カリスマ性の高いスコットランド自治政府のアレックス・サモンド首相への支持が広がらないうちに独立を断念させるのが狙いのようだが、中央政府の介入が逆に反発を呼び、独立派を勢いづかせる危険性も指摘されている。


 「皇帝」プーチン批判の急先鋒はロシア女性たち

 ロシア下院選に抗議する昨年末の10万人集会の映像を見ると、女性の姿が目立つ。実はロシアでは、女性のほうが長期政権下の閉塞感、不正、汚職腐敗に怒っている様子なのだ。
「ロシアの男性はすぐに妥協するところがあるのに対し、ロシアの女性は潔癖で、行動力、決断力がある。女性が決起したらプーチンもピンチでしょう」(モスクワ特派員)
 12月24日のモスクワでの集会では、プーチン首相に近いテレビキャスターで社会活動家のクセニア・ソプチャクさんが登壇。選挙やり直しを要求して注目された。
 クセニアさんはプーチン首相の恩師、故ソプチャク元サンクトペテルブルク市長の長女。プーチン氏はソプチャク家と家族ぐるみの付き合いだっただけに裏切られた思いだろう。
「彼女の風貌は、ウクライナのオレンジ革命の指導者、ティモシェンコ元首相に似ています。今後、抗議運動のリーダーの1人になるかもしれない」(ロシア人記者)
 与党・統一ロシアの党員だった元ボリショイ劇場のプリマ・バレリーナ、アナスタシア・ボルチコーワさんも、選挙不正を「ロシアの恥」と非難。反政府活動に加わる意向だ。
 メディアでも女性記者の舌鋒のほうが鋭いし、学者では、リリア・シェフツォワ・カーネギー財団モスクワ支部主任研究員が「プーチン時代は終わろうとしている。当局がどうあがいても、劇的なフィナーレが待っている」と過激だ。プーチン氏はいよいよ女性をあなどれない。


 イラン制裁に同調しない中国のしたたかな戦略

 オバマ米大統領は昨年末に、イラン中央銀行と決済取引を行う金融機関を制裁対象とすることを盛り込んだ「国防権限法」に署名、日本や欧州、中国にも足並みを揃えるよう説得工作を活発化させている。国連安全保障理事会からの警告にもかかわらずイランが核兵器開発を続けているとみられることへの制裁だが、中国などは制裁に同調するどころか、この機にイラン産原油の値下げ交渉を行うなど、したたかに漁夫の利を狙う。
 ガイトナー米財務長官は1月半ばに来日し、野田首相や安住財務相らと会談。イラン制裁の必要性と具体的内容について協議した。
 日本の原油輸入のうちイラン産は約9%。このうちおよそ9割が長期契約に基づくもので、一気に日本国内で原油不足が生じることはない。ただ、東電福島第1原発の事故で石油需要が高まっているため、サウジやUAEなどからの代替輸入のルート確保が目下行われている。最終的にはイラン産原油の約半分が他国産に替わると予想されている。
 欧州連合(EU)も1月中には日本と同様にイラン産原油の輸入削減を決定する方針で、韓国も米国との交渉を進めているところだ。
 こうした中で、独自のスタンスをとっているのが中国だ。ガイトナー長官が訪中した時も同国外務省は「圧力や制裁を掲げるやり方には反対」との姿勢を打ち出している。それどころか、買い手が少なくなったイランに対して値引き提案するなど、したたかな計算で動いている。中国はイランにとって最大の顧客だが、その地位を活用しながらアジア地域での米国の影響力拡大を阻止しようとしているようだ。


 北極圏開発狙い沿岸諸国が虎視眈々

 地球温暖化に伴って北極圏での海氷が減少しているのを追い風に、エネルギー開発や航路としての利用拡大が見込まれている。沿岸諸国は先んじて利権を確保しようと積極姿勢を示しており、早くも資源争奪戦が始まっている。
 将来の資源開発を目指し、ロシアは2007年、潜水艇で北極点の海底を探査し、ロシア国旗を海底に立てる挙に出て世界を驚かせた。北極圏の大陸棚をめぐっては、ロシアのほか、米国、カナダ、デンマーク、ノルウェーが自国の大陸棚の延長にあり、自国領土だと主張している。
 一方、AFP通信によると、金融危機で大打撃を受けたアイスランドでは、中国人の富豪が広大な荒野を購入しようとした問題をめぐり、将来の資源開発などをにらむ拠点確保ではないかとの警戒感から、政府が承認を却下したという。
 北極圏の石油・天然ガスの埋蔵量は、世界全体の最大約25%に達すると推定される。金やマンガンなど、鉱物資源も豊富に埋蔵されているとみられている。これまでは海氷に阻まれ探査・採掘は困難だったが、温暖化の影響で採算に見合う見込みが出てきた。安定的な輸送も可能になるとみられている。
 米ワシントン大学の研究者によると、2010年夏の北極圏の氷の量は過去最低水準に減少した。今世紀中には、夏場には氷が溶け、海水面が現れるとの見方もある。そうなれば、航路としての活用も期待される。
 ロシアのプーチン首相などは、近い将来、ロシア沿岸は、欧州とアジアをつなぐ航路としてスエズ運河のライバルになるだろうとの見方を示しているほどだ。


 メリル・ストリープ主演、映画「鉄の女」の前評判

 「鉄の女」というニックネームを英国のサッチャー首相につけたのは、当時のソ連のブレジネフ書記長である。その後、彼女はレーガン、ブッシュ両米大統領と渡り合い、冷戦終結の大胆な米ソ会談をお膳立てした。先んじてゴルバチョフと会ったのだ。
 映画化で最初に主演の打診があった時、メリル・ストリープは「断るのも奇妙ですが」と返事を保留。サッチャーに関して資料を集め、徹底的に調べた。そして声や手の動きまで真似ができるようになり、顔も似せた。名優ストリープとて62歳。熟慮する時間が必要だったのだ。
 脚本はベテランのアリ・モーガン。「最初は嫌だったが、気持ちが変わったのは、サッチャーの娘のキャロルが雑誌インタビューで『母に認知症が始まった』との発言を見たから。彼女の人間性、家庭の主婦、母親という側面の温かさも出したいと思った」と脚本を引き受けた。
 監督は、舞台演出で有名なフィルリダ・ロイド。「彼女は男より男性的で大胆で、女性の弱さを少しも見せなかったからモンスターといわれたが、サッチャーも人間。この映画は政治宣伝じゃありません」と作品の意義を語る。
 すでに英米で封切られ、「勇気を与え、国際感覚を英国人に植え付けた」とする保守側の絶賛から「あれは保守のプロパガンダだ」という左翼の悪評まで、メディアはこぞって大きく取り上げた。共通する評価は時期的にも「英国がサッチャー時代にユーロ不参加を決断したことは良かった」だった。ちなみに邦題は「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」。3月16日に封切られる。



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