ダミー
ダミー

←12月号へ                                      2月号へ→

 金総書記の急死で露呈した日韓首脳の情報音痴

 12月19日に伝えられた「金正日・総書記が17日に急死」というニュースには疑わしい点が多い。北朝鮮では17日中に幹部党員に死亡が通知され、葬儀日程などが決められている。中国やロシアの情報筋は12月に入って持病の糖尿病の症状が深刻化していたことも把握していた。だから地方視察中の列車内で亡くなることはあり得ないとしている。北朝鮮の発表は、国民のために最後まで無理をしてついに殉職したとすることで、1994年の権力掌握以来17年にわたって北朝鮮国民を抑圧してきた独裁者のイメージを変えたい意図的なものだと分析している。
 しかし、それ以上に深刻な問題は、同時期に死亡の事実も掴めずに日韓首脳会談を開き、そのほとんどを慰安婦問題のやり取りに費やした韓国の李明博・大統領と日本の野田佳彦総理の情報音痴ぶりだ。
 北朝鮮の後継政権となりそうな金正恩氏は、「2012年に強盛大国を目指す」と言ったが、この方針を撤回し、政権維持のための権力闘争に入らざるをえなくなった。その相手は長男の正男氏。中国の支援が正男氏に向けば正恩氏の権力掌握には大きな障害になる。当面の服喪期間に軍事委員会委員長のポストを掌握するため、軍部内の強硬派と協力する状況が続くが、軍保安部署関係者たちには将来の国家戦略がない。不安を持つ党や官僚集団との激しい主導権争いは必定だ。その過程で北朝鮮からは約100万人が中国やロシアに脱出するともみられている。
 延坪島砲撃時にも米国情報筋の事前警告が無視されていた経緯もある。日韓ともに情報音痴のトップの下では、北朝鮮情勢に対処できない。


 労組の突き上げもむなしく財務省流の自動車税改正に

 自動車取得税と同重量税の見直し問題。取得税は「消費税との二重課税」、重量税は「暫定税率の一般財源化で課税根拠がなくなっている」ことから、長年、自動車業界は撤廃を求めてきた。今年は超円高もあり、「このままの状態が続けば、日本での生産を見直し、海外に工場を移さざるをえない」(日産自動車幹部)との自動車メーカー経営側からの強力な“圧力”もあり「議論は例年以上に盛り上がった」(日本自動車工業会幹部)。
 さらに自動車業界の援軍となったのが民主党の強力な支持母体である自動車総連などの労働組合だ。「超円高に加え、自由貿易協定(FTA)の交渉停滞など『六重苦』がこれ以上続けば経営側は工場の海外移転に加え、従業員のリストラなどに踏み切ってくる」(自動車総連幹部)との危機感が急速に労組側に蔓延。「重量税と取得税の撤廃による内需喚起によって国内生産が戻ってくることで雇用を維持させる」(同)方針を掲げ、経営側と組んで民主党税制調査会などに日参した。
 かつてない労組側の突き上げに、民主党内でも「重量税・取得税削減ゼロでは党が持たない」との声が急速に台頭。財源不足を理由に、「消費税の引き上げと一緒に考える」と譲らない財務省を締め上げた。何とか重量税の一部軽減までこぎ着けたが、取得税撤廃はゼロ。財務省は税制改正から議論をずらし、代わりに期間限定のエコカー減税の延長と同補助金の支給にすり替えた。
 民主党内部では「何とか体面を保てた」との声もあるが、逆に自動車総連では「内需喚起には力不足。円高是正には無力で、民主党の経済運営には失望し続けている」と、今回の税制改正の不十分さへの批判を強めている。


 中国の軍事力強化に備え陸自が大々的な転地演習

 中国の軍事力強化に対抗して、北海道の陸上自衛隊が九州に移動する転地演習が11月に行われ、津軽海峡フェリーが保有する双胴船「ナッチャン・ワールド」が初めて使われた。時速36ノットを誇る高速船だが、その後の検証で出た陸自の評判は「いまいちでした」というものだ。
 転地演習は、中国に対抗する「南西防衛」の実効性を確認する訓練で、北海道から隊員410人、戦車など車両120台が大分県の日出生台演習場まで移動した。
「ナッチャン・ワールド」は姉妹船の「ナッチャン・レラ」とともに、青森と函館をつなぐ青函航路でカーフェリーとして2007年9月から使われていたが、利用客が伸びず、わずか1年強で運航を休止。陸上自衛隊は使われないまま函館港に停泊されている「ナッチャン・ワールド」を転地演習用にチャーターした。
 本番当日。「ナッチャン・ワールド」は11月7日午後2時、90式戦車4両と装甲車を含む52両を搭載して苫小牧港を出航、9日午前6時に大分港に着いた。しかし陸自幹部は、「苫小牧と大分の距離は2000km弱。時速約67kmで航行できるはずなので、30時間で到着しなければならないのに実際には40時間かかった。冬場の高波に弱いと聞いていたが、これなら普通の輸送船と変わりない」と落胆する。
 今回の成果を踏まえ、今後も「ナッチャン」をチャーターするか検討するというが、「ナッチャン」2隻を陸自が買う考えはないそうだ。


 公明党対策に乗り出した民主党・輿石幹事長の事情

 12月9日に閉会した臨時国会の会期末直前、日本郵政グループを現在の5社から3社体制に再編することなどを柱とする郵政改革法案の取り扱いをめぐって、公明党を相手にギリギリの折衝を行ったのは民主党の輿石東・幹事長だった。
 結果的には会期延長による郵政民営化の修正こそかなわなかったものの、通常国会冒頭の処理をも視野に入れた民主・公明両党の連携が出来上がり、この問題では「郵政民営化の逆行」と反発する自民党に同調を働き掛ける形となった。同時に輿石氏はその後、「公明党や支持母体の創価学会関係者とも接触している」(民主党関係者)。
 今、輿石幹事長が公明党対策に大きく乗り出したのはなぜか。最大の理由は、内閣の要(かなめ)である藤村修・官房長官の調整能力の欠如が露呈したためだ。温厚な人柄で公明党とのパイプもあるとされてきた藤村官房長官だったが、前号既報のごとく高野博師・元公明党参院議員の内閣官房参与への起用問題で公明党を怒らせ、民主党と公明党の距離が広がったことで、「藤村官房長官は使えない」との空気が広がった。輿石氏はそうした状況を逆手に取って政権内における影響力の拡大を目論む。
 公明党ベテラン議員が解説する。
「公明党としても、自公政権時代に崩れた全国郵便局長会(旧全国特定郵便局長会)との関係修復の機会を狙っていた。そこで公明党も民主党の郵政改革路線を後押しする方針に切り替えた。そのあたりを輿石氏は嗅覚鋭く感じ取ったのだろう」


 旧石油公団人事で試される枝野経産相の天下り排除

 経済産業省所管の独立行政法人、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC=旧石油公団)の河野博文・理事長が、新春1月9日から外遊する枝野幸男・経産相に随行することが決まり、一部で波紋を広げている。今回の外遊は、タイ、ミャンマー、インドを歴訪するが、3カ国とも交渉テーマに資源問題はなく、大臣周辺からは「なんでついてくるのか」と不審の声が上がっている。背景には、元資源エネルギー庁長官である河野理事長の再任問題があり、天下り温存を狙う同省事務方に大臣周辺は警戒している。
 各省独法の役員が官僚OBの指定席となっていることを問題視し、政権交代後の民主党・鳩山政権が公募制を導入したのは周知の通り。経産省も民間人の登用を進め、経済産業研究所理事長にみずほ総合研究所専務の中島厚志氏が就任、同10月には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事長に日立製作所元社長の古川一夫氏が就いた。
 しかし、これらの人事は「より重要な独法を死守するための、いわば“目くらましポスト”」(同省幹部)なのが実態。事実、同時期に日本貿易保険(NEXI)理事長は鈴木隆史・元特許庁長官が再任され、日本貿易振興機構(JETRO)理事長には石毛博行・前経産審議官が天下っている。民間人に理事長を譲ったNEDOも、重要な石炭開発事業はJOGMECへ移管する計画であり、経産省は今後、JOGMEC、NEXI、JETROの3大独法を軸に政策を実行する方針だ。
 ところが、12年9月に任期切れとなるJOGMEC・河野理事長の再任に適当な“目くらましポスト”が見つからない。そこで、枝野大臣の外遊に急遽、河野理事長が随行することになり、再任に向けた根回しを事務方が画策したわけだ。独法役員の公募制は、枝野大臣が前任の官房長官時代に推進した制度。果たして天下り排除を貫けるのか。


 任命責任が重いセクハラ疑惑大使の交代

 交代した田村義雄・駐クロアチア大使の女性職員へのセクハラまがい行為は、霞が関では知る人ぞ知る問題行動。本人は非難されてしかるべきだが、 そういう人間であることを知っていながら、日本国を代表して派遣される特命全権大使に任命した政府の責任は重い。
 田村氏は東大法学部卒業後、旧大蔵省に入省したエリート官僚で、華々しい経歴の持ち主である。大臣官房企画官の後、三重県総務部長に転出、本省に戻ってから主計局の調査課長、主計官、さらに大阪国税局長を経て、環境省に移り、官房長、環境政策局長、事務次官まで上りつめた。その後、環境省顧問になってから09年3月、在クロアチア特命全権大使に任命され、首都ザグレブに赴任した。
 旧大蔵省のかつての同僚によると、田村氏はこれまでもセクハラ行為疑惑があり「要注意人物だった」というが、クロアチア大使館の事務職員として勤務する現地採用の20代の女性に公用車の中で強引に抱きついたりしてセクハラ行為は次第にエスカレートした。このことが報道されると、霞が関の官僚の間では「やっぱり」と思う人が少なくなかったという。
 外務省も田村氏の「問題行動」については、事前に情報を得ていた。にもかかわらず、そんな輩を大使に任命した上、現地の大使館には「十分注意するように」と訓令を出しただけだったという。


 規制でゲームオーバーかDeNAのビジネスモデル

 ようやく誕生した横浜DeNAベイスターズだが、暗雲は垂れこめたままだ。野球の話ではない。携帯オンラインゲームという本業である。
「ゲームそのものは無料だが、アイテムを購入させて課金するビジネスモデルなので、どうしても無理をしてしまう。同時に、出会い系サイトの側面もあって援助交際の温床にもなっている。子供がハマって高額請求されるケースもあり、いずれ規制されるだろう」(証券アナリスト)
 会員数3200万人で、みんなに“認知”されたゲームの印象だが、実際にゲームにハマり、売上高1127億円(2011年3月期)、営業利益561億円(同)の業績に貢献する会員は、月に数万円以上を使う総会員の1%程度のヘビーユーザーである。
 同社の企画会議は、彼らをどう誘導、使い込ませるかを論議する場で、「ネトゲ(ネットゲーム)廃人」を生み出すことへの自省はなく、その収益第1主義のあざとさは創業者の南場智子氏が築き上げたという。
「彼女にとってはDeNAの経営もゲーム感覚。そのゲームに勝って勝利者となり、満足した。引退(11年6月)理由は夫の介護だったが、1000億円以上の資産を残し、達成感があったと思う」(知人の経営者)
 プロ野球界では楽天の激しい反発に対し、「仲間を排除するのはおかしい」と批判する向きもあったが、同業者ゆえにビジネスモデルの限界に気付いていたともいえる。ゲームは流行りすたりがあり、規制を受けてつまらなくなると、一瞬で終焉する。規制を入れられる前に業態変換できるのか。そこが永続のポイントだろう。


 傍若無人な孫社長を一喝したベテラン経営者

 経団連の理事会で大立ち回りを演じたソフトバンクの孫正義社長。脱原発という持論をまくし立て、傍若無人に振る舞う孫社長を一喝した人物がいる。ライフコーポレーションの清水信次会長だ。御年85歳の流通業界のドンは、財界筋では評価を上げている。
 舞台は11月の経団連理事会。大企業経営者およそ300人が出席した同理事会が突如紛糾したのは、「エネルギー政策に関する第2次提言」の議事に移った時だ。同提言は原発再稼働の必要性を説くなど、旧来通りの経団連の主張にすぎないが、これに異議を唱えたのが孫社長。「経団連の総意のように提言を出すのは断固反対」と主張したほか、原発に関連する企業が歴代、経団連の会長や副会長を務めたことを指摘、関係者による謝罪を求めたという。
 攻め立てる孫社長と、必死に応戦する米倉弘昌会長によるやり取りに終止符を打ったのが清水会長だ。マイクを握ると、孫社長のことを「どこのどなたか知らないが」と前置きした上で、「これまで長時間議論し導き出した結論を、1人の発言で変えることはできない」と一蹴。その直後、拍手をもって提言は承認された。そして「あの孫社長を子供扱いするとは、さすがはベテラン経営者」と、「清水株」は上がる一方だという。
 その孫社長には、理事会での大立ち回りも「同日夜に放映された某テレビ番組向けのパフォーマンス」(財界関係者)との指摘も聞かれる。「あの振る舞いは長幼の序を逸している。謙虚さを身につけないと」と大物財界人は苦言を提する。清水会長と孫社長。その評価は立場によって対照的だ。


 調剤ポイントサービスで訴訟リスク抱えた厚労省

 ドラッグストアが加盟する日本チェーンドラッグストア協会が、「調剤ポイントサービス」禁止を決めた厚生労働省に対し、「訴訟を起こしても反対する」と、撤回を要求する姿勢を決めた。
 調剤ポイントサービスは、調剤を兼営するドラッグストアが処方箋に基づく調剤料金に1%のポイントをつけるサービス。ウエルシア関東が始めたのをきっかけに調剤に進出していたドラッグストアの間で広がった。処方箋が集まらないドラッグストアにとっては、儲かる調剤を病院前の保険薬局から奪える商法だ。
 これに驚いたのが日本薬剤師会と保険薬局。「値引きを禁止した健康保険法違反だ」と大反発。自民党の藤井基之・参議院議員に頼み質問書を提出してもらったが、当時の菅直人首相はポイントが調剤費に充当されないことから「違法とはいえない」と回答。が、薬剤師会が反対運動を続けた結果、厚労省は省令(療養担当規則)を改正してポイントサービスを4月から禁止すると決定した。
 当初、態度を鮮明にしなかったドラッグストア協会は、ドラッグストアの6割、店舗では8割がポイントサービス存続を要望していることから厚労省と全面対決することを決定した。ドラッグストア協会の宗像守・事務総長は「総理が違法ではないと答弁したものを厚労省が省令改正で禁止できるのか。第一、調剤ポイント禁止は厚労省が進める面分業を停滞させる行為だ」と反論する。
 訴訟になったら、健康保険法を改正する以外、厚労省には勝ち目はなさそう。社会保障と税の一体改革の真っ只中にいる厚労省は、また1つ火種を抱えた格好だ。


 オリンパスの新たな地雷、反社会的勢力との関係

 歴代経営陣による組織的な「損失飛ばし」の全容がようやく明るみに出てきたオリンパス。12月14日に、遅れていた2011年9月中間連結決算報告書を提出するとともに、11年3月までの5年間の決算を下方訂正した。これにより、現経営陣が是が非でも避けたい株式の上場廃止は、ひとまず回避のための最初の条件をクリアした。しかし、先行きは不透明なままだ。
 特に「新たな地雷」(市場関係者)として懸念されているのが、米「ニューヨーク・タイムズ」紙の電子版が11月17日に報じた、オリンパスと反社会的勢力との関係である。オリンパスには約49億ドル(約3770億円)の不透明なカネの流れがあり、うち1000億円を超える巨額資金が暴力団などに流れたと指摘。49億ドルの半分以上は「指定暴力団山口組を含む犯罪組織」に流れた可能性があると報じたのだ。
 反社会的勢力の動向に詳しい全国紙社会部デスクは、「『半分は当たっているが、半分は間違い』と山口組の幹部は苦笑していた」と打ち明ける。「要は、犯罪組織に流れたのは事実だが、ウチ(山口組)ではないよ、ということだ」(同デスク)。
 このデスクによると、オリンパスと「ズブズブの関係」を持っていたのは東京に本部を構える指定暴力団Sで、「『損失飛ばし』の事実をつかんだSが、1990年代末から与党総会屋としてオリンパスに食い込み、問題の発覚を抑えていた。これが、外国人社長の義憤によって図らずも表に出てしまった」のだという。これが事実だとすると、オリンパスの経営陣は企業会計上の責任だけでなく、企業市民としての道義的責任も蔑ろにしていたことになる。


 オリンパスの債務を某メガバンクが裏保証か

 その一方で、取り引きのある某メガバンクがオリンパスの債務について“裏保証”を行っているとの情報が金融界でささやかれている。引受先は複数の地方銀行で、オリンパス問題が表面化して以降、地銀からは恨み節が噴出しているという。
 裏保証は、債務者の断りもなく他の金融機関などに保証料を支払って債務を分担する仕組みだ。債務者からすると知らないうちに債権が反社会的勢力に流れる恐れもあり、決して良いスキームとはいえない。だが銀行としてはリスク分散につながるため、時には採用する場合があるといわれる。ただ優良企業で裏保証が行われるケースは稀だ。わざわざ、うまみを他行に渡す必要はない。
 では、優良企業のオリンパスに裏保証を行う理由は何なのか。ある市場関係者は、某メガバンクが「損失隠し問題が表面化する以前から、財務に関するグレーな情報を監査法人から入手していたのではないか」と分析する。何も知らない地銀各行は、世界に冠たる大企業という安心感と、巨額の保証料につられて次々と引き受け、某メガバンクが有する債務の半分以上は地銀が保証しているとの“解説”もある。
 裏保証は契約者双方に守秘義務があるため、表立って公表できない。このためオリンパス問題が表面化しても地銀は相手に苦情を伝えることができず、今になって地団駄を踏んでいるという。相対取引だけに真偽の程を確かめることは困難だが、「地銀から情報が漏れるのは時間の問題」(前述の関係者)との声もあり、予断を許さない状況だ。


 あおぞら銀行増配に見るハゲタカ外資の厚顔無恥

 あおぞら銀行が2012年度中間決算を発表した翌日の11月16日、呆れる人事が発表された。昨年4月まで新生銀行に籍を置き、傘下の消費者金融会社アプラスの会長であったクラーク・D・グラニンジャー氏を12月1日付で執行役員に迎えたのだ。
「グラニンジャー氏は、現あおぞら銀行社長のブライアン・F・プリンス氏と新生銀行時代の同僚で、友人関係にある。その引きで今年2月からあおぞら銀行のコンサルタントを務めており、今回、晴れて執行役員に就任した。両氏ともあおぞら銀行の筆頭株主であるサーベラスの息のかかった進駐軍にほかならない」(あおぞら銀行関係者)と言う。ハゲタカ外資の代理人は新生銀行を喰いモノにしても飽き足らず、あおぞら銀行でも暴利を貪るのか。
 グラニンジャー氏のあおぞら銀行入りと相前後して、同行は驚愕の増配を決めた。10月31日に2012年3月期の業績予想(当期純利益)を330億円から450億円に上方修正するとともに、普通株式の年間配当を1株当たり3円から一挙に9円に上方修正したのだ。
「いくら業績が上向いたとはいえ、この環境下に配当を3倍に引き上げるのは常識を疑う」(メガバンク幹部)と金融関係者も呆れる。しかもあおぞら銀行には、いまだ1794億円もの公的資金(優先株式)が残っているのだ。この増配は、大株主であるサーベランスと進駐軍経営者の懐を肥やすだけである。
 国が税金を棄損させずに公的資金を回収するためには、あおぞら銀行の株価は400円台まで上昇しなければならないが、同行の株価は200円台前半で低迷したままだ。


 税制改正の方便に使われる韓国産「第3のビール」

 低迷が指摘される国内のビール類市場で、唯一伸長しているのが「第3のビール」。2011年1月から11月の累計で、ビール類市場の35%余を占めるに至っている。
 そんな「第3のビール」市場に今、大きな問題が浮上している。きっかけは、すでに国内10%余のシェアを持つ韓国メーカーの猛攻だ。国内メーカー品は350ml缶で120円前後が相場だが、韓国製は平均20円ほど安い。
「第3のビール」は、麦芽以外の原料を使用、あるいは別種のアルコール飲料を発泡酒に加えるなどして作られる(リキュール)、と定められている。酒税は350ml当たり28円と、ビール(77円)、発泡酒(47円)に比べて安く、その分、価格が安いのが武器。
 そんな第3のビールに着目したのが、増税財源探しに血眼になっている政府・民主党。「国際的にみても、アルコール度数に応じた簡素な税制に見直すべき」と、税制改正に腰を上げた。しかし、業界関係者は問題点を指摘する。
「アルコール度数に応じて、という方向もさることながら、民主党内の『韓国の第3のビール進出に歯止めをかけるために、主力リキュールを増税すべきだ』という声が多いことが怖い。国産品もリキュールのウエイトが高くなってきているからだ」
 一筋縄ではいきそうないが、韓国製第3のビール躍進は、国内メーカーに諸々の観点から大きな脅威となっていることは間違いない。


 新興国シフトを鮮明化、国内最大手・資生堂の思惑

 国内化粧品最大手の資生堂が、新興国シフトを一段と鮮明にしてきた。中国、ロシアで市場開拓を加速しているのに加え、2012年5月には傘下の米国ベアエッセンシャル(カリフォルニア州)が、米国、日本に次ぐ世界第3位の化粧品市場であるブラジルに進出する。さらに、インド進出への本格調査にも近く乗り出す方向にあり、中間所得層の厚みが増し、化粧品市場の急速な成長が見込める新興国戦略を矢継ぎ早に打ち出している。
 資生堂は現在、10年度で6707億円だった連結売上高を、17年度までに1兆円を超える規模に拡大する経営計画に取り組んでおり、海外事業の強化をその最重点項目に据える。成長著しい新興国シフトはその中核戦略だ。中でも今回のブラジル進出は、10年3月に買収したベア社を活用してブラジル市場の開拓につなげるという買収効果も睨む資生堂の貪欲な姿勢が目立つ。
 天然ミネラル成分を使ったファンデーションなど「ベアミネラル」ブランドで知られ、北米で年間約500億円を売り上げるベア社は、南米初進出となるものの、その商品性、ブランド力はブラジルでも受け入れられると判断、17年までに取り扱い店を百店超に広げる計画だ。資生堂はすでに、自社の最上位ブランド「SHISEIDO」をブラジルで販売しており、「ベアミネラル」と併せて市場浸透を図る考えだ。
 成熟化した国内市場がすでに頭打ちであることが、資生堂の海外事業強化の背景にあることはいうまでもなく、新興国シフトは、国内トップの座にあぐらをかいたままでいられない危機感の現れでもある。


 挙国一致の現代自動車躍進、狙いは日本の高級車市場

 東日本大震災やタイの大洪水に伴う生産停止で苦しむ日本車メーカーを尻目に快走を続ける韓国の現代自動車。韓国政府によるウォン安政策や経済連携協定の矢継ぎ早の締結など「官民一体となって挙国一致で攻め込まれている」(トヨタ自動車幹部)と、主要市場で日系各社は悲鳴を漏らす。現代自動車のクルマについては「単に価格が割安というだけではない。米国では品質の高さからJDパワーで表彰されるなど、デザインや品質も日本車と遜色ないレベルまできている」(大手証券アナリスト)という。サムスン電子の家電製品と同様、独アウディなどのデザイナーをヘッドハンティングして、得意のマーケティングと絡めてスピーディーに商品投入するやり方は「日本勢も見習わなければ」(ホンダ幹部)と反省しきりだ。
 現代自動車は来年について「世界販売で700万台突破はほぼ確実。今後は台数を追うよりは品質を高め、利益率を上げていく」(現代自幹部)。要はブランド価値を上げることで利幅の大きな高級車を売る戦略に打って出るわけだが、その際にベンチマークにしているのが「日本市場」だ。
 かつて現代自は日本でも販売していたが、日本ユーザー特有の選り好みの強さやダイムラーやアウディなどドイツ車の根強い人気などで泣かず飛ばずの日々が続き、あえなく撤退した経緯がある。しかし、「競争の激しい日本の高級車市場で勝てれば、それ自体が他の市場の評価につながる」(現代自幹部)だけに、「まずは高級車から入り、徐々に量販車の分野に攻め込んでいく」(同)という。
 韓国ではトヨタの「レクサス」などの販売が好調なこともあり、「日本で巻き返すことで韓国自国市場での日本勢駆逐にもつなげていく」(同)としている。


 ウィルコムを蘇生させたソフトバンク流起死回生策

 経営再建中のPHS専業のウィルコムが、「蘇生」しつつある。2000億円規模の負債を抱えて会社更生法の適用を申請したのは2010年2月。「救世主」として登場したソフトバンクが12月に完全子会社化し、ソフトバンクモバイルの副社長から転じた宮内謙氏が社長に就任した。
 当時の契約数は三377万件。ピーク時の07年7月の465万件から2割も減っていた。
 宮内社長が就任早々に打ち出した起死回生策は「だれとでも定額」。基本料金のほかに月額980円を払えば、相手の端末が携帯電話でもPHSでも固定電話でも、10分以内の国内通話なら月500回まで追加料金が発生しないというプランだ。
 ソフトバンク仕込みの「お得感」が通話料金に敏感な層に受けた。純減が続いていた契約数は2月からプラスに転じ、11月も6万件余の純増で、444万件まで回復。年度内にも過去最高を狙うまでになった。社内の空気は一変。まるで別の会社のように活気づいている。「奇跡の復活劇」に、「やればできるじゃないか」「なぜ今までできなかったんだ」と周囲はかまびすしい。
 もっとも、一番ホッとしているのは総務省の通信官僚にちがいない。
「日本発のモバイル技術」への思い入れは強く、07年の「次世代無線ブロードバンド」の電波争奪戦では、NTTドコモの反発を買ってまでも「次世代PHS」へのテコ入れを図ってきた。「どん底からの生還」は同慶の至りというところか。


 大山鳴動して鼠1匹だった暴排条例の勧告第1号

 「紳助引退」にマスコミは盛り上がり、その過程で周知徹底されたのが暴力団排除条例だった。東京都の施行(2011年10月1日)は全国で最後。暴排条例は、住民に暴力団との接触を禁じたもので、「密接交際者」と認定されると「勧告」され、従わなければ名前を「公表」される。
 そして国民が興味を持ったのが「第1号は誰になるのか」ということ。警視庁も最初は、華々しく「第1号」を打ち上げるつもりで「芸能班」を組織、徹底的な情報収集を行ったのだが行き着かない。結局、「年内」にこだわった警視庁幹部によって、12月12日、東京都公安委員会は、「観葉植物リース会社」と暴力団幹部に対し「中止勧告」をした。
 バーやスナックに多いのだが、観葉植物を特定の業者に頼むと、それが暴力団の「みかじめ料」となる。この業者も、通常の4倍の価格でリース、3分の2を暴力団幹部に渡していた。たしかに「密接交際者」であり、「共生者」と呼ぶにふさわしいが、当たり前すぎて衝撃がない。
 ただ、それを「第1号」にせざるをえなかったところに暴排条例の難しさがある。暴排条例担当の警視庁幹部が、胸中を漏らす。
「勧告の前に認定という作業があって、『付き合ってますね』と、念を押す。その過程で、芸能関係者は『もうしません』と頭を下げるんです。認定の前に向こうから『(付き合いを)やめるにはどうすればいいですか』と相談してくるケースもあった。機先を制せられた印象です」
 だから「植木リース」なのだが、暴排条例は住民としての存在、社会生活を認めない。これからは確実に暴力団を追い込むことになろう。


 矢野元委員長の暴露本が創価学会の命取りか

 矢野絢也・元公明党委員長が10月下旬に出版した暴露本『乱脈経理』が、党や支持母体の創価学会にボディーブローのように効き続けている様子だ。
 同書は、国税当局が1990〜92年にかけて創価学会に税務調査に入った際、創価学会幹部の要請を受けた矢野氏が、組織の中枢、特に池田大作・名誉会長に調査が及ぶのを阻止するため、自民党の実力者や国税幹部に工作したとする内容を、自身のメモに基づいて克明に記したもの。登場人物はほとんどが実名で、創価学会のずさんな経理の実態や調査に手心を加えてもらうことを期待して、国連平和維持活動(PKO)協力法案の強行採決に手を貸したことまで暴露している。内容が虚偽なら、これほどまでひどい名誉毀損はないが、訴訟好きの創価学会はなぜか黙殺。山口那津男代表ら党幹部も触れたがらない。
 一般会員は出版自体を知らないか、知っても「反逆者の嘘」といった反応で、暴露本による財務(創価学会の集金)への影響は少ないとみられるが、党・学会に強烈な一撃となったのは間違いない。今後じわじわと効いてくるだろう。
 というのは、矢野氏に工作を働き掛けた創価学会側の1人である八尋頼雄・副会長は、現在でも政界とのパイプ役として活発に動いている実力者で、今後活動を制約される可能性があるからだ。また、次期衆院選でのリベンジに燃える党にとってはイメージダウンで、F票(会員以外の票)取りに影響が出ないとはいえない。さらには、裏の動きを暴露された国税サイドが世間の目を意識し、創価学会への再調査に乗り出さないとも限らない。


 生存率の低いすい臓がんに早期発見・早期治療の道

 すい臓がんは、がんの中で最も発見が難しいがんの筆頭に挙げられる。胃の裏側にあり、臓器自体も小さいため、進行するとすぐに周囲の臓器に転移しやすい。発見された時にはすでに手遅れ状態ということが多いため、生存率は極めて低く、全体の五年生存率は10〜20%程度だ。しかし、早期に発見された場合には、1期だと60〜70%程度に跳ね上がる。
 そうした中、米国UCLAのすい臓疾患センターが、すい臓がんと口腔内細菌の関連を研究し、口腔内の細菌を調べれば、すい臓がんの発症リスクを事前に知ることができ、すい臓がんの発見も可能という研究結果を報告した。唾液をとって検査するだけで、発症リスクや発見ができる可能性がある。
 研究によると、すい臓がん患者の口腔内細菌を調べたところ、健康な人の口腔内には見られない31種類の細菌が存在した。逆に、健康な人には存在する二十五種類の細菌が、すい臓がん患者には存在しなかった。特に、健康な人に存在するある種のグラム陰性球菌と連鎖球菌の二種類の細菌の有無を調べれば、がん患者が8割の確率で識別できるという。
 これまでも、口腔内細菌が心臓疾患や肺炎、糖尿病などと深く関わっていることが知られている。さらには、口腔内細菌が細胞に悪さをして病気を引き起こすのではないかという研究結果も出ており、口腔内細菌とがんの発症に関連がある可能性も考えられる。将来、すい臓がんの早期発見だけではなく、新しい抗がん剤が開発されるかもしれない。


 時事がウェブ系金融商品でロイターとの提携を解消

 時事通信社は、主力の金融証券系情報サービスでロイター通信と提携、海外の金融マーケットニュースや数値データの配信を受け、時事の日本の経済ニュースを組み合わせたウェブ系金融商品を展開しているが、両社はこの分野での関係を解消することになった。この商品は世界のマーケットで定評のあるロイターの情報を「売り」にし、「経済の時事」の1つの看板になってきた。それだけに、今回の「関係希薄化」は少なからぬ影響を与えそうだ。
 金融業界向け日本語サービスを展開しているトムソン・ロイター・ジャパンが自前の新サービスをスタートさせることが直接の要因といわれるが、時事通信が従来、力を入れていた経済系ニュース部門がリストラなどにより、かつての輝きを失っていることも影響しているようだ。すでに数年前にはDPA(ドイツ通信社)との契約も解消、他部門でのロイターとの契約は継続しているものの、このままでは「国際通信社」として、先細りの感は否めない。
 時事通信はこのところ経営不振が続き、2011年9月期中間決算で16億円の純損失を計上。従業員の冬のボーナスは1カ月強に抑制され、役員報酬も25〜45%のカットが続いている。頼みは保有する電通株だが、これも3分の2は金融機関からの借り入れの担保に入っているといわれる。社内では「毎年35億円程度の赤字が続いたら、あと何年持つか」とささやかれているという。
「日本の2大通信社の一角」だが、先行きに暗雲が垂れこめている。


 読売新聞社を悩ませる“清武の乱”の長期戦

 新聞業界全体が、“清武の乱”の行方を注視している。決着の仕方次第では、「各社の販売部数のシェアが変わりかねない」(同業界幹部)との見方が浮上してきたからだ。
 企業コンプライアンス違反を旗印に、「内部告発」した清武英利・前専務(61)と渡邉恒雄・読売グループ会長との戦いは、記者会見、コメントの応酬を経て、両者が損害賠償請求訴訟などを起こし、法廷の場に持ち込まれている。
 渡邉会長は「最強の弁護士10人を揃えた。私は法廷闘争で負けたことはない」と豪語、勝訴に自信を見せているが、裁判が始まれば、各種の資料の提出、証人の申請、喚問、証言などは避けられそうにもない。
「例えば、プロ野球が開幕した後、巨人の原監督とか桃井球団社長やコーチが証人で出廷する可能性は高い。当然、新聞、週刊誌、テレビなどのマスコミは大々的に報道するだろう。その時、読売新聞の読者がどう反応するかだよ。企業イメージの問題になる」(同社幹部OB)
 あの「江川の空白の1日」騒動では、読売の本社、支局、販売所に抗議が殺到。「3カ月で数10万部の読者が減った」(同)とされ、昨年春、東日本大震災後の節電、自粛ムードの中で、巨人が3月末の試合開始を主張した際にも、巨人や読売の本社、支局などへ抗議の電話が多く、かなりの部数が減ったといわれる。これらの前例があるだけに、裁判が長期化した場合には、巨人・読売ブランド力の低下は避けられそうもない。
「清武氏サイドには、もはや失うものはない。1審敗訴でも控訴、上告の道がある。裁判が長期化して、それに連動する形で部数が減るなら、社内でも渡邉会長への批判は徐々に高まってくるな」(事情通)


 プーチン政権が恐れるロシア版「アラブの春」

 12月4日のロシア下院選は与党・統一ロシアの得票率が過半数を割り、議席を減らす敗北となったが、プーチン政権が最も恐れているのは、若者がツイッターやSNSを通じて決起する「中東型民主革命」だ。
「野党の共産党や極右の自民党が議席を増やしても、裏では政権と通じた体制内野党で、政権にとっては怖くありません。しかし、アラブの春の波及は展開が読めず、脅威です」(モスクワ特派員)
 下院選直後の5日には、モスクワ中心部に7000人の若者が集結し、水増し投票など政権側の不正選挙に抗議、300人が拘束された。こうしたロシア版「ウォール街制圧デモ」は就職難や貧富の格差への不満を背景に断続的に発生している。
「ロシアでは企業の就職試験が事実上存在せず、学生は自分のコネで就職先を探すことになります。幹部の子弟らが当然有利で、利権構造の定着に反発する若者の海外逃避が続いている」(在モスクワ商社マン)
 コネも金もない若者がツイッターなどを利用してネットワークを作り、自然発生的にデモが続いているのだ。
「モスクワ中心部で1万人がデモをし、クレムリンに突入したら、革命になる」(モスクワの消息筋)
 3月の大統領選でプーチン首相の当選は確実ながら、不測の事態がないとは言い切れまい。


 EU条約改定を拒否した英キャメロン首相の賭け

 ユーロ危機に見舞われている欧州連合(EU)の首脳会議で、英国のキャメロン首相は財政統制条項を盛り込んだ条約改定を拒否、EUとは一線を画していく外交姿勢を示した。出身政党で反EUを掲げる保守党の立場を代弁した形だが、野党の社会党だけではなく、連立を組む自由民主党からの反発も強い。国際的な風当たりも強まりそうで、今回の決断はキャメロン首相にとっては大きな賭けとなりそうだ。
 12月8日から9日未明にかけて行われたEU首脳会議でキャメロン首相は、英国をEUの金融規制の対象外にすることを要求。条約改正に向け中心的な役割を果たしていたドイツ、フランスをはじめ他の多くの加盟国から批判された。ハンガリー、スウェーデン、チェコは議会との調整が必要という留保条件を付けているが、基本的には英国を除くEU加盟全26カ国で改定条約が成立することになった。
 歴史的にも他の欧州各国とは異なる独自の歩みを続けてきた英国は、EUの一員ではあるものの統一通貨ユーロを採用していない。さらに、ユーロ危機をきっかけに反EUの機運が高まっており、10月にはEU脱退に関する国民投票を行うよう求める動議に、保守党議員の4分の1以上が賛成した。
 世界有数の金融街シティーを抱える英国は、EUが計画する投機的な通貨取引への課税「ロビン・フッド税」に強く反発、条約改定拒否の最大の要因となった。ただ、英国の貿易は対EU諸国が6割近くを占めており、EUとの関係悪化は英国経済に深刻な影響を及ぼしかねない。


 EUの優等生ドイツでも… 3大銀行の1つが国有化か

 欧州随一の経済大国であるドイツの第2位の銀行であるコメルツ銀行が国有化される可能性が出てきた。ドイツは失業率が7%を切り、1990年の統一後、最低を更新。ユーロ危機が長期化の様相を呈する中、好景気を維持してきたが、そのドイツにも金融・債務危機の影響がじわりと忍び寄っている。
 創業1870年のコメルツ銀行は、ドイツ銀行、ドレスナー銀行と並ぶ「ドイツの3大銀行」。6万人近い従業員を抱え、金融都市フランクフルトに巨大な本店ビルを構えている。
 ところが、傘下の抵当銀行オイロヒポの業績低迷のあおりで、本体の経営も揺らいできた。
 欧州連合(EU)加盟各国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は12月上旬、域内の大手銀71行の財務状況に対する再査定で、資本不足額を計1147億ユーロ(約11兆8000億円)と発表。スペインやイタリアなど債務危機の渦中にある国の銀行が目立つ中、53億ユーロの不足が指摘されたコメルツ銀行が注目を集めた。
 コメルツ銀行のブレッシング頭取は、公的支援は受けないと繰り返し強調。公表済みのリスク資産300億ユーロの圧縮や、ハイブリッド証券6億ユーロの買い戻しといった対策を表明したほか、自動車大手ダイムラーのメルセデス・ベンツ部門の財務担当責任者、シュテファン・エンゲルス氏を2012年4月に財務担当取締役に迎え入れる予定だ。
 ドイツのメディアは、オイロヒポを政府に売却することで危機を乗り切ろうとしていると報じた。ただ、それでも自力再建は困難であり、解決策は国有化しかないとの見方が強まっている。ドイツ政府は金融危機の際、コメルツ銀行の株式の25%を取得した。同銀が12年半ばまでに十分な資本を調達できなかった場合、政府は同国の金融市場安定化基金(Soffin)を活用して株式を買い増し、国有化に踏み切るとの観測が浮上している。


 経営危機に直面した世界第3位の英旅行会社

 老舗の大手旅行代理店、英国のトーマス・クック社の深刻な経営状況が明らかになった。11月下旬には株価が年初に比べて70%以上も下落、倒産の可能性もささやかれたが、銀行団が1億ポンド(約120億円)の緊急融資を実施したことで、当面の危機は乗り越えた。ただ、欧州経済の落ち込みなど、同社をめぐる経営環境は依然厳しさを増しており、当分、綱渡りの状況が続きそうだ。
 創業者のトーマス・クック氏は1841年、禁酒運動の集会へ参加者を運ぶために世界で初めて本格的な団体旅行を提供したとされる。その後、近代的な旅行代理店として順調に業容を拡大。時刻表の発行、トラベラーズチェックの取り扱いなども手掛け、欧州ではドイツのTUI社に次いで2位。世界でも3位(トップは日本のJTB)の規模を誇る。
 しかし、ここ数年、消費者がインターネットで直接、交通機関や宿泊施設の予約を行うようになったことに加え、得意とするエジプト、チュニジアなど北アフリカの政情不安、タイの洪水などでキャンセルが続出。これに、ユーロ危機が客離れに拍車を掛ける形となった。6月末時点での純債務は9億250万ポンドに達し、8月からは最高経営責任者(CEO)が不在という異常事態が続いている。
 緊急融資を受けトーマス・クックは、1100店の店舗網で全職員の3分の2にあたる2万人が働く英国内の200店舗を閉鎖、1000人を削減する。さらに、所有する90余りの航空機のうちの6機を売却するなど、大規模なリストラが続いている。


 中国で王岐山株が急上昇、トップ人事は波乱含み

 中国次期指導者として習近平・国家副主席が国家主席兼党総書記に内定していて、2012年秋の第18回共産党大会で正式に就任する。しかし、コンビを組む次期首相に李克強・副首相が確定したとされたが、雲行きが怪しくなってきた。理由は中国経済の頓挫で、世界不況を前にして右往左往していることだ。
 この過程で経済対応に辣腕を振るう王岐山・副首相のほうが適任という評価が固まり、李氏は首相の器にあらずとして、飾りのポスト=全人代委員長に横滑りという観測がにわかに広まった。しかもダークホースの劉延東氏(女性)が次期常任委員会入りは確実となったと、香港の情報筋が言う。
 11年夏の北戴河会議(夏に避暑地に最高幹部、長老らが集まって年次方針を決める)で次期執行部人事は決まらず、とりあえず「333配分」だけが既定の方針とされた。つまり胡錦濤首席率いる「団派(共産主義青年団)」と革命元勲の子弟らの「太子党」、江沢民・前主席が束ね、産業利権を握る「上海閥」の3派連立政権をなんとか継続させる。
 しかし、派閥バランスからいえば、団派は李克強、李源潮、汪洋でほぼ確定し、太子党の3席は習近平、王岐山が内定、残り1席をめぐる熾烈な権力闘争の過程で重慶書記の薄熙来氏が浮上。薄氏は書記として乗り込んだ重慶で既存利益集団を退治し、マフィアに繋がる党幹部を起訴、主犯7人は死刑になった。これを「重慶モデル」と呼ぶ中国の改革派メディアは薄氏の執行部入りを支持する。
 ところが胡首席、温首相は薄氏が嫌いで、2人は1度たりとも重慶視察に赴いておらず、逆に広東省へ行って自派のライジング・スターである汪氏を側面支援してきた。次期中国のトップ人事には、まだまだ波乱が予想される。


 中国で儲かるビジネス、そのトップは闇金融

 今、中国では闇の高利貸が引っ張りだこになっている。政府が不動産バブルの抑制に金利を繰り返し引き上げたために民間に資金が回って来ないからだ。それで、通常で約20%の金利が月を追って跳ね上がり、3カ月で40〜50%、1カ月で70%の高利が珍しくなく、今や高利貸が最も勢いのあるビジネスの象徴になっている。
 法で認められていない高利貸が跋扈する理由は銀行が民間企業・個人を相手にしない伝統があるから。中国の中小企業数は6000万とか1億ともいわれるが、このうち銀行が相手とする中小企業はほんの一握りの約10%に満たないと推定されている。
 不況もあって、いまや最も儲かるビジネスに躍り出たのが闇金融。官僚、国有企業、銀行員が出資したり、自らブローカー(小口をまとめて一本化する)になって高利貸を始める例が少なくない。
 極め付きの女性の例を紹介しよう。
 彼女の年齢はおよそ30歳、独身。身長175cm、超ミニファション姿は実にカッコよく女優と錯覚させるような華があった。待ち合わせの店にピンクのベントレーに乗って現れる。ベントレーは日本で購入すると約2000万円から3000万円。中国は関税が高いので4〜5000万円はする。それを遊び心満点の“ピンク色”にしていて贅沢が極まっている。
 彼女自身が動かすカネは500万元(約6300万円)と少ないが、ブローカーとしてその数10倍をまとめるという。むろん、彼女の後に大物の官僚が控えていて、一体となって高利貸をしているのだ。



←12月号へ                 Top                 2月号へ→

ダミー
ダミー
ダミー
(C)2012 株式会社エルネオス出版社. All rights reserved.
〒105-0003 東京都港区西新橋1-22-7 丸万7号館 TEL.03-3507-0323 FAX.03-3507-0393 eMAIL: info@elneos.co.jp