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写真(上)
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オープン当日に1万人の行列をつくった「LABI新宿東口館」(写真右下は山田昇・会長兼CEO)


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ヤマダ電機の新宿西口進出を迎え撃つ“西口の雄”ヨドバシカメラ


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[企業研究]


ローコスト経営とリベートで急成長
トップを独走するヤマダ電機の死角

■ヤマダ電機が巨大化しすぎて、適正利潤を維持できなくなったメーカーに芽生えた「警戒感」――

 4月16日、東京のJR新宿駅近くにヤマダ電機の「LABI新宿東口館」がオープンした。売り場面積は約8,000平方メートル。約100万点の商品が並ぶ店には、オープン記念の安売りを目当てに訪れた客であふれた。ヤマダは「午前10時の開店前には約1万人の行列ができた」と言う。
 新宿駅周辺には、家電量販店業界3位のヨドバシカメラと、同5位のビックカメラも大型店を構える。両店にとってヤマダ進出の影響は少なくない。LABI新宿東口館オープン当日にはヤマダのチラシを持って訪れる客が現れ、実際、販売価格が引き下げられた。その後も安売り競争は続いている模様で、「ヤマダ進出のおかげで、全般的に商品の販売価格を下げざるをえなくなった」とビックカメラ関係者は言う。
 昨年9月、ヤマダは東京・池袋の旧三越池袋店跡地に「LABI1日本総本店池袋」をオープンさせている。売り場面積は2万3,000平方メートルで、ヤマダの平均的な店舗の約6倍。家電ばかりでなく雑貨や食品を含む150万点の商品が並ぶ「安売り百貨店」に仕立てた。4月にオープンしたLABI新宿東口館はそれに続くものだ。
 来年には再び新宿に新しい大型店「LABI新宿西口館」を開く予定。その後、横浜や名古屋にも都心店舗を構えるという。ヤマダの都心店開設ラッシュが始まった。

郊外型から都心型へ転換し
目標は「売り上げ3兆円」


 破竹の勢いで都心に出店をするヤマダは1973年、松下電器産業(現パナソニック)の系列販売店として、現会長兼CEOの山田昇氏が前橋市総社町で創業したヤマダ電化センターが前身である。83年には甥の一宮忠雄氏(現社長兼COO)、その弟、浩二氏(故人)を援軍として迎え入れてヤマダ電機となり、当初は群馬県を営業圏とする家電量販店として活動を始めた。
 その名を広めたのは、95年から96年にかけて激化した競合他社との安売り競争。栃木を地盤とするコジマ、茨城に本社を構えるカトーデンキ販売(現ケーズデンキ)との三つ巴の戦いに、九州を地盤とするベスト電器や、関西の上新電機なども参戦。前橋市や高崎市に店を構えて競争を繰り広げた。「上州戦争」と呼ばれたこの販売合戦で、ヤマダ電機は強烈な安売りを展開して事実上の勝利を収め、その名を一気に全国区にした。
 その後はトントン拍子である。2000年には東京証券取引所第1部に上場。01年度にはライバルのコジマを抜いて家電量販店業界トップに立ち、04年度には連結売上高1兆円を達成した。そこからわずか5年後の09年度には、エコポイント効果なども追い風となり、家電量販店で初の連結売上高2兆円を突破。急成長はとどまるところを知らない。
 ヤマダの店舗展開は、これまで郊外が中心だった。近隣の住民が車で訪れるような店作りである。しかし、06年を境に店舗戦略は大きく変わる。この年、大阪・ミナミの中心街である難波に地上9階、地下1階の「LABI1なんば」をオープンさせた。これが都心型店舗の第1号店で、これを機に都心型店舗を一気に増やしたのである。
 ヤマダはまず郊外に店を出し、その後、都心に進出するという店舗戦略を取ってきた。都心には空白地帯が多く、まだ伸びる余地がある。国内家電市場が頭打ちの中で家電量販店が成長を遂げるのは難しいといわれるが、それでも「将来的には売上高3兆円」と野心的な計画を掲げるのは、おそらくこうした“ヤマダのとっての未開拓地”があるとの読みから生まれるのだろう。

販売員も価格も本部が管理
「情」を排除した効率経営


 急成長の秘訣は何なのだろうか。1つは徹底的なローコスト経営にある。「山田会長や一宮社長などの首脳でも、出張する際に宿泊するのはビジネスホテル」(ヤマダ電機関係者)という逸話がそれを象徴するが、同業他社に比べて低率の売上高販管費比率は、むろんそれだけで達成されるわけではない。
 家電量販店業界で最初にPOS(販売時点情報管理)を導入したのはヤマダといわれている。消費者が商品を購入する際、商品についたバーコードをスキャナで読み取ることで売り上げが記録され、こうした販売実績を合計したデータを本部が把握するというものだ。これにより「売れ筋」「死に筋」が把握され、在庫の抑制につなげられる。
 もっともPOSは今でこそ、どの量販店にも導入されているもので、ヤマダ特有の仕組みではない。その強さを特徴づけるのは本部が管理する店舗運営だろう。
 ヤマダの店舗の天井には至るところにカメラが設置されている。理由の1つは万引防止だが、もう1つ重要な意味がある。販売員がどの売り場に立って消費者に接遇するべきか、商品が飛ぶように売れている場所に適正な数の販売員がおらず、一方、暇そうな場所に販売員が多くいるといった事態が起きていないか、場合によっては必要以上に販売員が休憩時間をとっていないか――などを本部が監督するためのものだ。
 中央集権的な店舗運営は販売員の行動管理だけではない。各商品の値付けは完全に本部が管理する。表示価格よりもどの程度、売り値を下げられるか、最低限はどこなのかはすべて本部が管理し、それ以下の価格で商品を売ろうとしてもレジが受け付けない仕組みになっている。
 効率を究極まで高めるような手法に、「情」は入り込みにくい。これに嫌気がさして退職する社員も少なくない。しかし、これがヤマダの強さの源泉である。

リベートの強みを最大活用し
商品シェアにも影響を与える


 もう1つの急成長の秘訣は、強力な販売力を背景としたリベートである。
 2008年春、ヤマダのチラシからソニーの薄型テレビ「ブラビア」が消えたことがあった。関係者によれば、「ソニーがヤマダの作るチラシ用のリベートの支払いを拒んだため」といわれている。
(以下、本誌をご覧ください)
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