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安倍晋三首相も塩崎恭久・官房長官も縁故主義の政治家なら、これを陰で批判した西田恒夫・前外務審議官(右)もまたネポティズムの塊だ


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日本外交の枢要なポストはネポティズムで固まっていた。
左から柳井俊二・元次官、川島裕・元次官、斉藤邦彦・元次官、林貞行・元次官
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巻頭レポート

今や日本外交の弊害になっている!!
外務省に蔓延(はびこ)る
ネポティズム(閨閥主義)体質

■能力も資質も適さないのに国政を司る二世議員、三世議員の弊害が指摘されて久しいが、今や重大な岐路にある日本外交の本丸・外務官僚の縁者びいきもひどいものだ――

外務省ナンバー2が安倍首相批判を開陳?

 安倍政権の外交政策を陰で徹底批判していた西田恒夫・前外務審議官(政治担当)が就任1年余りで更迭され、1月に駐カナダ大使に転出した。西田氏は親しい記者と頻繁にオフレコ懇談を行い、政権批判を繰り返したが、昨年11月、それが「週刊現代」ですっぱ抜かれたのが致命傷だった。
「安倍さんはゴーマンになっているな。塩崎(官房長官)もいずれ行き詰まるだろう。最初は清新なイメージがあったけど、彼は独善的で霞が関に評判が悪い。調整などできないからね。首相補佐官会議など、安倍チームが青臭い主張をしているので僕は出席するつもりはない。特に世耕(首相補佐官)はバカだ」、「池田大作は金正日と一緒だ。北朝鮮のマスゲームも学会を真似たらしいね」、「盧武鉉(韓国大統領)は変わり者なので、正直、相手にはしたくない。来年まであの政権はもたないんじゃないか」――。
 この発言が報じられた後、鈴木宗男・衆院議員が外務省に発言は事実かと質問趣意書を提出したが、外務省側は、平然と「御指摘のような発言が行われた事実はないと承知している」と回答した。だが、外務省担当の霞クラブ記者団の多くは直接西田氏から同趣旨の発言を聞いており、むしろ誰が「週刊現代」にリークしたかが話題になった。「発言内容自体は100%事実。自分も同じことを聞いている」(霞クラブ担当記者)からだ。
 外務省ナンバー2だった西田氏は、省内の実権を握る谷内事務次官率いる「谷内チーム」から外され、記者団を相手に関係者を批判して憂さを晴らしていたらしい。そのたびに「極秘」と書かれた記者団のメモが霞が関や永田町をメールで回っており、公表は時間の問題だった。高級官僚としては考えられない脇の甘さである。
 通常、政務担当外務審議官は実務交渉の最高責任者。世界各地を回って外交攻勢の先頭に立つ枢要ポストだ。これに対し、外務事務次官は東京に腰を据えて全体を統括するのがこれまでの日本の外交スタイルだった。
 ところが安倍政権では、首相の懐刀となった谷内次官が前面に出て、米中ロ韓との次官レベルによる「戦略対話」を推進。安倍首相の中国・韓国電撃訪問や、最近の日ロ関係修復もタフネゴシエーターといわれる谷内次官の功績だった。この間、西田氏は交渉プロセスから外され、フラストレーションが溜まっていたようだ。

西田前外務審議官の「幻想外交」のツケ

「外務省唯一の切れ者」、「次期次官候補」といわれた西田氏が安倍首相から遠ざけられたのは、昨年7月、北朝鮮のミサイル実験への対応が契機だった。国連安保理決議の採択で、当時官房長官だった安倍首相が厳しい制裁決議案を米政府と組んで主導したのに対し、西田氏は制裁を伴わない穏健な決議案でまとめようとし、官邸の足を引っ張った。北朝鮮の脅威への危機感が希薄で、国民意識からずれていたのだ。
 西田氏の外交資質は、2、3年前のわが国の国連安保理常任理事国入りをめぐる外交活動でも疑われた。西田氏は総合政策局長時代、安保理改革の先頭に立ち、中国に対抗して第3世界への多数派工作を指揮したり、ドイツ、ブラジル、インドと結束した。
 だが、西田氏は最大の同盟国・米国を事前に説得できず、結局、米国も安保理拡大に反対した。小泉前首相の靖国神社参拝に反発した中国の反対工作も予想以上だった。米中の同調を得ずに多数派工作を進めても失敗するのは自明の理だった。案の定、常任理事国入りは無残な失敗に終わったが、西田氏の「幻想外交」のツケは大きい。多額の国連工作資金はムダになり、アフリカなどに約束した政府開発援助(ODA)のばら撒きが今後、税金から拠出されていく。
 外務省は2007年度予算で、アフリカのマリ、ボツワナ、マラウイなど6カ国への大使館新設を取り付けたほか、今年度の定員も32人増加する。5年間で国家公務員5.7%の削減を目指す政府方針との整合性が問われよう。今年度のODAは5300百億円で、前年度比12.1%も増加する。破綻した「西田外交」のツケを国民が被るといっても過言ではない。

“更迭”しても利権ポストを用意

 理解に苦しむのは、懇談の場とはいえ、政権を真っ向から非難した高級官僚の左遷先が、駐カナダ大使というおいしいポストである点だ。通常、民間企業で経営陣を真っ向から非難し、スキャンダルに発展した場合、懲戒免職を含め厳しい処分が科される。ところが外務省では、更迭されても、G8(主要8カ国)の大使という利権ポストが用意されるのだ。
 西田氏自身、これほど政権を批判した以上、潔く辞任すべきだった。辞職した上で、記者団との懇談ではなく、堂々とメディアに登場し、論壇で安倍批判を開陳すべきだろう。大使ポストを提示され、ホイホイ受けるようでは、人格が疑われるといわざるをえない。
 西田氏のもう1つの問題点は、2年ほど前、子息を外務省に入省させていることだ。子息はキャリア外交官として入省し、国際法局に勤務しているという。
 多くの民間企業は、親が勤務している期間中は子弟の就職を禁じている。親子の情実や馴れ合い、ネポティズム(縁者びいき=閨閥主義)体質を防ぐのが目的であり、その厳しさが企業の競争力につながっていく。
 ところが外務省では、伝統的にキャリア外交官の二世や三世、甥や姪が次々に入省。高級外交官が自分の娘を若手キャリア外交官と結婚させるといった、血縁と閨閥のネットワークがアメーバのようにはびこっているのである。
 毎年20人程度のキャリア外交官が入省するが、平成に入ってからも外交官二世はそのうち毎年1〜4人を占めている。外部からは調査が困難な甥や姪も相当数入っているはずだ。
 この問題は以前、国会でも論議され、01年度から従来の外交官試験を廃止、一般の国家公務員の採用試験と一体化された。それでも西田氏の子息のように、毎年二世、三世の入省が続いているのだ。
 霞クラブ記者は言う。
「かつての外交官試験は、国際法や外交史など一般公務員試験にはない科目が多く、語学も高いレベルが要求された。しかし、公務員試験への一本化で、逆に受けやすくなった。公務員試験に合格しさえすれば、あとは縁故採用に道が開かれる」
 外務省は「毎年20人程度採用するうちの1割前後なら、常識の範囲内だ」と主張するが、すでに述べたように大手民間企業では考えられない話だ。外務省はまた、「父祖と同じ仕事を選ぶことは志の継承につながる」と強調する。しかし、閨閥や血縁の蔓延が日本外交の惰性や堕落、外交官の利権漁りにつながっている現状も注視すべきだ。
 かつて、外務省のドンといわれた小和田恒・元外務次官の娘の皇太子妃・雅子様が外務省試験を受けた際、面接官のほうが緊張して震えたというエピソードがある。採用に際しては、幹部の子弟が優遇されている疑いが濃い。閨閥の維持が、外交官を志望する一般家庭の有能な若者の未来を阻み続けているのである。
(以下、本誌をご覧ください)
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