ダミー
ダミー

写真(上)
ダミー
反日感情をエスカレートさせているのは内政問題?



写真(上)
ダミー
台湾も揺れている
ダミー
ダミー



ダミー
巻頭レポート
日本企業の対中戦略にも影響する
混乱、団結、混沌と、激変する台湾


■中国が揺れている、というべきだろう。関係国と軋轢を生むことが目立ち始めている。
台湾問題ではきな臭さを漂わせるが、日本企業は……(国際エコノミスト・宮崎正弘)

 日本人に暴力をふるっておいて、過激な「反日デモ」は日本の責任というのは、瀋陽の日本領事館を土足で主権侵害しておきながら、あれはテロリストから日本の領事館を守るためだった、とのたまわった滅茶苦茶な論理と似ている。「やらせ反日」の正体見たりだ。
 その反日デモの話題ばかりが日本のマスコミを賑わしているが、米国ではチャイナ・バッシングが猛烈に再開された。率直に言って、こちらのほうが国際経済には重要だ。貿易赤字が2月単月だけでも140億ドル余。この勢いだと、05年度の対中赤字は1,680億ドルを突破することになる。米国が耐えられるのは、どのあたりまでか──。早晩、ブッシュ政権も対中経済政策の重大な決断を迫られるだろう。
 こうして中国の周辺で注目されるのが、台湾の実情である。

不人気を招いた
陳水扁総統の優柔不断


「反国家分裂法」が成立する直前まで、台湾政界は混乱の極みにあった。リーダーシップが行方不明、未曽有の危機に陥っていたのだ。 陳水扁政権の独立路線の大幅な後退(主因は中国より米国の圧力)は、まるでクリントンの曖昧路線のようだ、と台湾与党の支持者からもあしざまに酷評された。
 カーター時代の1979年に米国は中国と復交したが、代わりに台湾の防衛を約束した「台湾関係法」を制定している。
 ところが、陳水扁政権に甚大な打撃となったのは、米国の台湾政策が冷却したかに見え、突き放すようにパウエル国務長官(当時)が「台湾は主権国家ではなく、米国は一つの中国政策を堅持する」とした昨年来の発言だった。米国の「台湾離れ」という冷たい状況を作り出した政治責任を、陳水扁政権は国民から問われていた。
 なにしろ米国が要求している武器輸入を、台湾国会は3年間も議決しないで店ざらしにした。このため、米国の保守派さえ陳水扁政権に苛立ったのだ。議会で過半数の席をもつ野党連合(国民党と親民党)が執拗に反対したのも、陳政権への厭がらせである。
 2004年選挙では住民投票が成立せず、主権国家でないといわれた陳水扁総統は何を思ったか、「天敵」の宋楚瑜(親民党党首)と突然、握手する。
 議会で予算を通過させるための党利党略とはいえ、独立派が毛嫌いする「親民党」との妥協は、与党内からさらに悪評を買った。
 友党「台湾団結連盟」(李登輝・前総統が指導)との間に距離が生まれ、黄昭堂、辜寛敏、金美齢らが総統府顧問を辞任した。
 与党間でさえ、「改憲」か「改正(修憲)」かの基本的立場の相違で長らく揉めてきた。いまや憲法論議どころではなくなった。
 勢いづく国民党は連戦主席を引退へ追い込もうとして、馬英九(外省人、台北市長)vs王金平(本土派、国会議長)との次期主席争いが本格化した。
 米国の静観と、中国からの圧力で、台湾独立は風前のともしびとなった観がなきにしもあらずだが、台湾における政治議論は依然として独立を軸に続いている。

奇美実業の許文龍氏が
出した“転向声明”


 現在の台湾には、「独立」に関して3つの議論が存在している。
 第1は「なし崩し論」。事実上、台湾は独立しているのだから「無用の大騒ぎをするな」という主張で、これは民進党の主流派と国民党の一部にある議論だ。
 第2は「台湾は中国の一部」であり、現状維持を続ければよいというもので、台湾は地方政府でしかないという北京寄りの主張。これは、反国家分裂法の狙い通りの議論である。台湾は劣勢に陥り、台湾独立運動を「分離主義者」と定義する北京に口実を与える。そもそも台湾ばかりか、中国には4000年の歴史をみても、伝統的にいくつもの政府が存在した。清朝は国家としての「中国」だったのか、とする反論もあり、この意見は台湾では少数派だ。
 第3は「台湾人民に主権がある」という論理である。孫文は異民族だったゆえに清朝の打倒を口にした。日本は、清朝との間に結んだ1895年の下関条約で台湾を領土とした。国際法は、こうした国際条約に基づく。しかし、「カイロ宣言はプレスリリースにすぎないのにポツダム宣言に挿入され、そのポツダム宣言を日本が受諾した。カイロ宣言に書かれた台湾や満州が日本に盗まれた(stolen)とした語彙が一人歩きし、(台湾が中国の一部という)誤解の元凶となった」と、台湾独立建国連盟の黄昭堂主席は言う。
 台湾からの猛烈な反対をよそに、全人代最終日(3月14日)、中国は、台湾独立に対して武力侵攻を合法化する「反国家分裂法」を成立させる。
 ところが、北京の思惑は完全に裏目に出た。混乱してきた台湾の政界が急遽、団結を示し、100万人デモが組織されたうえ、米国からの武器システム輸入予算も議会通過の見通しとなった。
 世界からは台湾への同情が集まり、わずかに「反国家分裂法」に賛成した国はロシア、北朝鮮、シンガポール、ウクライナとなった。
 中国にとって最大の失点は、EUが対中国武器輸出再開を延期せざるをえなくなったことだ。
 米国の首都ワシントンでも「台湾侵略を合法化する無謀な試み」と反対デモが行われた。曰く、「台湾には自由を追求する権利がある」、「我々は中国人ではないし、一度も中国人だったことはない」。
 米国議会は直後の3月16日に、中国の反国家分裂法への非難決議を出した。「NYタイムズ」紙は「このような大がかりな反対デモは、中国が成立させた反国家分裂法がいかに政治状況を激変させたかを物語る」(3月26日付)とし、こう続けた。「陳水扁総統は、驚くべきことに統一派の宋楚瑜率いる『親民党』と(議会対策のための)合作を発表したが、直後の世論調査は、両党がともに支持率を激減させていた。だから、陳水扁総統自身も反対デモに加わって、また独立色をにじませる行為に出た」。
 このムードに水をさしたのは国民党だ。「あのデモはお祭り騒ぎのカーニバルでしかない」と批判しつつ中国へ大型使節団を派遣したのだ。来日中だった連戦・国民党主席も夏に訪中の意向を示した。
 しかし、もっと深刻な動揺が台湾経済界に広がった。
 奇美実業を率いる許文龍はデモの当日、新聞に「公開状」を発表し、「台湾の経済発展は、いまや大陸とは分離できない状況になった。台湾独立は戦争を招きかねず、台湾人民が災禍に見舞われるだろう」とする“転向声明”を出したのである。これは多くの台湾国民を失望させた。
 すでに大方の台湾財界人は大陸とのビジネスを拡大するため、「独立」を口にしなくなっていた。台湾プラスチックの王永慶も、エバグリーンの張栄発も、エーサーの施栄振もまた、しかりだった。
(以下、本誌をご覧ください)
ダミー
ダミー
ダミー
(C)2005 株式会社エルネオス出版社. All rights reserved.
〒105-0003 東京都港区西新橋1-22-7 丸万7号館 TEL.03-3507-0323 FAX.03-3507-0393 eMAIL: info@elneos.co.jp