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写真(上)
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元木昌彦氏、55歳。
講談社の「週刊現代」「フライデー」などの編集長を歴任後、オンライン週刊誌「Web現代」を企画し、育てた。今年六月から同社関連会社の三推社専務。今月は「不肖! 宮嶋」の名キャッチフレーズで知られるカメラマン・宮嶋茂樹氏を訪ねる。
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写真(下)
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今月の同行者/宮嶋茂樹 氏(カメラマン)
みやじま しげき 1961年兵庫県明石市生まれ 40歳 幼少よりカメラを手にし 日大芸術学部写真学科卒業 在学中から愛国党・赤尾敏氏への密着取材 旧ソ連の売春婦の撮影などを手がける 卒業後フリーカメラマンとして写真週刊誌「フライデー」などで名ショットをものにする 著書に『ああ、堂々の自衛隊』『死んでもカメラを離しません』など多数ある
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元木昌彦のメディアを考える旅43
行動派カメラマン「不肖・宮嶋」が嘆く
写真週刊誌「フォーカス」休刊の時代背景
■日航機墜落事故の現場へ行かなかったことが戦場や事件現場を撮りに行くことにつながっている




 写真週刊誌「フォーカス」休刊が様々な論議を呼んでいる。新聞はこぞって、写真週刊誌の「のぞき見スキャンダル」から読者が離れてしまったとか、この際だから「フライデー」も一緒に潰してしまえなど言いたい放題だ。
 おいおい、ちょっと待ってくれ。中川秀直・官房長官をスキャンダルで首にしたのは「フォーカス」だぜ。桶川の女子大生を殺したストーカーを警察が捕まえる前に割り出したのもそうだ。おまけに警察が、殺される前に女子大生が助けを求めているのを無視していたことが表に出ることを恐れて、事件の主犯を逮捕しなかったことまで明らかにして、それをきっかけに、ストーカーを取り締まるための法律までできた。
 年に何回かは世間を驚かすスクープをものにしてくれたメディアがこう簡単になくなっていいのかい。出版社側は金がかかって儲からない写真週刊誌をやめて、広告が入る女性誌をつくるんだそうだ。これまで培ってきた写真週刊誌のノウハウはどうやって継承していくのか。出版道も地に落ちたか、なんて嘆いてもしようがないが、口幅ったい言い方をさせてもらえば、メディアを潰すことによって国民の知る権利を狭めてしまうことになるってことに、みんな無神経すぎるんじゃないか。 「フォーカス」はなくなっても、それに代わる、権力者たちを怯えさせて夜も眠れなくする新しいメディアをつくつてほしいなどと考えるのは、経営を知らない編集バカの遠吠えか。
 ところで今回のメディアのカリスマは「不肖!宮嶋カメラマン」だ。「フライデー」を振り出しに、今は「週刊文春」をメインに、スクープ写真を発表し続けている。オウムの麻原の拘置所内での姿を隠し撮りして驚かされたが、今回インタビューの直前に朝鮮民主主義人民共和国の金正日総書記がロシア入りした姿を、日本の大メディアを尻めに決死的スクープ撮影した。
 自衛隊に体験入隊したり、戦場を駆けめぐったり、本を書いたりのマルチカメラマンに思う存分語ってもらった。

元木 この金正日の写真(「週刊文春」8月30日号「我、金正日薄毛撮影に成功せり」)は凄いスクープですね。先日、「週刊文春」にいた花田紀凱氏と「フォーカス」の編集長・山本伊吾さんたちと一緒に酒飲んでて、この話になって、3人で「あれだけのスクープを、なぜ新聞や他のメディアが取り上げないんだ」と怒っていたんです。
宮嶋 でも、新聞社にはモスクワ支局がありますからね。支局のメンツが潰れちゃいますから、そんなことしたら。でも、カメラマンくらい東京から呼び寄せるべきですよ。各社が置いてるのは記者ばっかりですから。
元木 このスクープの裏話をお伺いしたいんですが、金正日のスケジュールは相当前からつかんでいたんですか。
宮嶋 彼は去年、北京に行ってますね。あれがヒントになりましたね。それで、「次に外国に行くときは撮ってやろう」と思ってました。プーチンが平壌に行ってますから、公式訪問はギブ&テイクですから、必ず金正日もモスクワに行くはずだということで取材していたら、4月に来るという情報をつかんだので1度行ったんですよ。そしたら来なかった。
元木 そういうのは「こういうスケジュールで来るよ」って発表するんですか。
宮嶋 国賓ですから、ロシアの場合は発表しますが、それがかなりいい加減なんです。今回も、前回のドタキャンがあったんで、眉唾かなと思っていたからちょっと出遅れたんです。カメラマンが動くと金が掛かりますから、今回もドタキャンされたら僕ら編集部に会わす顔ないですから、「もうちょっと待とうか」と。そうしたらハサンという国境の駅でロシアの国営放送に金正日が到着した映像が出たから、「これは間違いない」って慌てて飛んでったんですよ。
元木 前回つかんでいたルートと違っていたんですか。
宮嶋 前回は列車でなんて想像しなかったですから、飛行場とかをマークしました。ただ、彼は飛行機嫌いだと聞いていましたから、ひょっとしたら列車で来るかもしれないとは考えてましたね。

■金正日の飛行機嫌いは大韓航空機事件以来です

元木 警備は厳重だったでしょう。
宮嶋 凄かったけど結構穴もありましたね。今の中国ほどではないですけど、元警察国家ですから統制やるときは徹底的にやります。でもロシアの人たちが無関心だったから助かりましたね。一般の市民は全く関心がないんですよ、「北朝鮮だろ、それがどうした?」。
元木 相当ドキドキしましたか。
宮嶋 ビビリましたね、やっぱり。日本と違ってスナイパーが目につきますから。SPが前面に出て、疑わしいやつにはとりあえず空に向けて1発警告射撃をしてから、次に太股を撃つとか、向こうにはそんな発想はないですからね。物凄い特殊部隊のような覆面を被ったやつが、その辺にウロウロしてますから、それは怖いですよ(苦笑)。それに、ロシアのガラスがひどい。ヘロヘロで歪んで見えるからガラス越しに撮れないんですよ。危ないから、撮る寸前に窓を開けなきゃいけない。窓を開ける瞬間は怖いですね。
元木 見つかれば撃たれてもしょうがない?
宮嶋 ええ。現にウクライナホテルでカメラマンが殺されてますから。ただ、見つからない自信はありました。10センチくらいしか窓を開けないで、他の角度からは見えないところから撮ってますから。
元木 金正日がマリインスキー・バレー劇場にバレーを見に行くとき、同僚カメラマンはプラスチックでできてるカメラを持って潜入してますね。
宮嶋 マリインスキーという劇場はバレーの名門ですよね。さすがにあそこは貸し切りにできなかったんですよ。だから僕らも入れたんです。英語の放送とロシア語の館内放送で「全ての映像の権利はマリインスキー劇場にあるから写真撮影は一切するな」って厳しく言ってる。だけど、金正日お抱えのカメラマンたちがステージ始まったらバシャバシャ撮り始めるんです。それもストロボたいて撮るから雰囲気ぶち壊しですよ。35ミリの映画のカメラも持ち込んでるから物凄い音がする。悲しいシーンをやっているときに「ダララララッ!」って鳴らすんですよね(苦笑)。大ブーイングだった。

(以下、本誌をご覧ください)

 
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